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「革新」維持に腐心=クックCEO、初の新製品−米アップル〔深層探訪〕

時事通信 9月13日(土)8時31分配信

 米アップルは、ティム・クック氏が創業者の故スティーブ・ジョブズ氏から3年前に経営を引き継いで以降、初めてとなる新分野の製品として腕時計型端末「アップルウオッチ」を来年初めに発売する。スマートフォン「iPhone(アイフォーン)」やタブレット型多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」に続くヒットを飛ばし、「革新的な製品」を世に送り出してきた企業の面目躍如となるか注目される。

〔写真特集〕アップルウオッチ〜来年発売!〜

 ◇ライバル先行
 「人々がこの分野(腕時計型端末)に何を期待しているのかを問い直す」。クック最高経営責任者(CEO)は9日の発表会で腕時計型端末の市場開拓に自信を示した。この分野はソニーや韓国サムスン電子などライバルが先行。米グーグルも今年3月にウエアラブル端末向け基本ソフト(OS)「アンドロイド・ウエア」を発表し、モトローラなどが対応製品を投入した。「ウエアラブル元年」とも呼ばれている今年はさまざまな製品が登場しているが、「スマホの一部機能が使えるだけ」(業界関係者)というのが現状で、販売は思うように伸びていない。

 ◇サービスに焦点
 アップルの製品投入が遅れた背景には「革新的な製品」へのこだわりもあった。サムスンは腕時計型端末では製品の完成度よりも、先行して市場投入して得られる利益を重視。後発でシェアを拡大させたスマートフォンや液晶テレビとは異なる戦略を取っている。アップルは腕時計型端末をスマホでは不可能な健康関連サービスを提供する手段と位置付ける。心拍数を測定するセンサーなどを搭載し、将来的には医療機関と連携したサービスの提供を目指す。独自の音楽配信サービスと連携させて携帯音楽プレーヤー「iPod(アイポッド)」を大ヒットさせたのと同じ構図だ。

 ◇原点回帰
 クック氏が「アップルの歴史の新たな始まり」と位置付けた腕時計型端末の発表の場に選んだのは、アップル本社近くの歴史のある劇場。30年前にジョブズ氏がパソコン「マッキントッシュ(マック)」を発表した場だ。最近では、ジョブズ氏が長年敵視していた米IBMとの業務提携に踏み切ったほか、サムスンとの特許訴訟の大半を取り下げるなど、ジョブズ路線からの転換を着々と進めるクック氏。しかし、新製品の投入に関しては「人々の生活を変革する」というジョブズ路線の踏襲に腐心している。
◇アップルの歩み
1976年 創業。パソコン「AppleI(アップルワン)」発売
  77年 パソコン「AppleII(アップルツー)」発売
  84年 パソコン「マッキントッシュ」発売
  85年 創業者スティーブ・ジョブズ氏を追放
  96年 ジョブズ氏復帰
  98年 パソコン「iMac(アイマック)」発売
2001年 携帯音楽プレーヤー「iPod(アイポッド)」発売
  07年 スマートフォン「iPhone(アイフォーン)」発売
  10年 タブレット型端末「iPad(アイパッド)」発売
  11年 ジョブズ氏がCEOを辞任し、ティム・クック氏が就任(8月)。
      ジョブズ氏死去(10月)
  14年 腕時計型端末「アップルウオッチ」発表(シリコンバレー時事)

最終更新:9月13日(土)11時32分

時事通信

 

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