韓国政府が、たばこ価格の引き上げを正式に発表したのに続き、12日には住民税や自動車税など年間4000億ウォン(約414億円)規模の地方税引き上げ案を発表した。今月15日には立法予告をする予定だ。先月には年間5680億ウォン(約588億円)規模の国税引き上げ案を発表しているが、それからわずか1カ月で再び大規模な増税案を打ち出したわけだ。
韓国政府が今回、地方税引き上げ案を打ち出したのは、無償保育など各種の福祉費用の増加による財政難を解消するためだとみられる。韓国各地の自治体は今月初めに声明を出し「無償保育や基礎年金導入が原因で福祉負担が増加した。中央政府の支援が増えない場合、福祉デフォルト(支給停止)を宣言することもあり得る」として政府を圧迫した。今回の地方税引き上げ案には、地方自治体に配慮し、足りない福祉費用を地方税引き上げで賄うという、政府の意向が反映されているとみることができる。政府も12日「20年にわたり異常に低かった地方税を、現実に合わせて調整するため、引き上げ案を準備した。追加で集める税金は、福祉・安全分野に優先的に投じたい」と発表した。
この地方税引き上げ案が国会を通過すれば、来年から施行できる。しかし、増税に対する国民の反発を懸念する国会との協議が難航し、施行がやや遅れる可能性もあるとみられる。
今回の地方税引き上げ案の核心は、大きく分けて、住民税引き上げ、自動車税引き上げ、各種の地方税減免措置の縮小の3点。住民税は、1999年以来16年にわたり据え置かれていたものを2倍以上引き上げることとした。
現在、住民税の個人均等割分は各地の市・郡・区によって1人2000-1万ウォン(約200-約1040円)、平均4620ウォン(約480円)を賦課しているが、これを2年かけて「1万ウォン以上2万ウォン(約2070円)未満」へと大幅に引き上げる方針だ。この場合、例えば現在住民税として年間200ウォンを納めている全羅北道茂朱郡の住民は、最低でも税額は5倍に引き上げられ、1万ウォン納めなければならない。また、法人に賦課されている住民税も、課税区分を現在の五つから九つへと段階的に細分化し、2年かけて100%引き上げることとした。この案が実現すれば、年間1800億ウォン(約186億円)の税収が新たに生まれると政府は見込んでいる。
1991年以来据え置かれていた自動車税も、2017年までに2倍に引き上げられる。営業用乗用車や営業用・非営業用乗合自動車および貨物自動車などは、いずれも引き上げ対象に含まれる。これにより、例えば現在は自動車税として年間6600ウォン(約680円)が賦課されている1トン以下のトラックの場合、3年かけて1万ウォンまで段階的に税額が引き上げられる。また、一般の大型バスの自動車税は、同じ期間に4万2000ウォン(約4350円)から8万4000ウォン(約8700円)まで引き上げられる。このように自動車税が高くなった場合、タクシーやバス料金の値上げにつながる可能性もある。ただし、多数の国民が利用している非営業用乗用車については、引き上げ対象から除外された。政府は、自動車税の引き上げで年間1200億ウォン(約124億円)の新たな税収があるとみている。
これと共に、現時点で大病院、農協、中小企業などが享受している取得税および財産税の減免措置も、段階的に縮小もしくは廃止される。例えば大病院は現在、国民の健康に及ぼす影響を考慮して取得税と財産税を100%免除されているが、この免除率を25%に縮小するとしている。これにより政府は、年間3兆ウォンに達する地方税減免額を約2兆ウォンに減らし、1兆ウォン(約1000億円)ほど税収を増やすことを目標にしている。