特別展「忍たま乱太郎 忍者の世界」の各展示コーナーを順次ご紹介していますが、ここでは閑話休題として、準備の際の裏話を一つ。
担当が特別展「忍たま乱太郎 忍者の世界」展を企画したとき、展示室の入口には忍術学園の看板を置こう、と決めていました。
そこではたと困ったのが、「忍術学園の看板の大きさはどれくらいなのだろう?」ということ。
忍術学園の看板が最もしっかり描かれているのは、原作第52巻の一連のエピソードです。
何者かに奪われた忍術学園の看板を取り返す話の中で、忍術学園の事務員・小松田秀作が忍術学園を立てて持っているシーンがP104に描かれています。
このコマを手がかりにして、忍術学園の看板の大きさを割り出してみよう、と思いました。
小松田秀作は16歳。町の忍術塾を卒業後、忍術学園で事務員をしている設定です。
彼の身長は明らかにされていませんが、一般的に、戦国期の日本人の成人男性の平均身長は160cmを超えることはなく、157cm~159cmだとされています。
また、文部科学省が継続的に行っている学校保健の統計調査でも、1910年の16歳男性の平均身長は157.3cmです。
他の成人忍者と比べても、彼の身長が特別に小柄な印象は受けません。
このことから、小松田秀作の身長を157cm前後と仮定しました。
再び原作のコマをみると、忍術学園の看板は、小松田の目線のやや下程度の長さに描かれています。
コミックス上で小松田秀作の頭のてっぺんから足元までの長さを計測すると60mm、看板の長さは48.5mmでした。
以上の小松田秀作の仮定身長とコミックス上の長さの倍率を元に換算すると、看板の長さは約127cm、幅は約29cmと推定されました。長さ約4尺2寸、幅約1尺となります。
この検討は個人差を無視した一般論に基づいていますし、実際は造作の都合上、きりのよい長さ130cm、幅30cmで製作しましたので、当然誤差があるものと思いますが、大きくはずしてはいないはずです。
「忍術学園」の書き文字は、尼子さんの原作から忠実に再現。
原作では上部に穴があけられていますが、今回は展示室入口の都合上、天井からワイヤーで吊して掲示せざるを得なかったので、看板を掛ける金具がないのに穴だけ空いていてもかえって違和感があるのでは・・と思い、あえて穴はあけませんでした。
こうして展示室の入口に、このたび製作した忍術学園の看板が掛けられました。
ほんのささいなディスプレイですが、ひそかな検討の成果を感じていただければ幸いです。