内海でM14「優勝へ突っ走る」DeNA戦連続無四球完封
◆巨人4―0DeNA(12日・東京ドーム)
巨人・内海がエースの貫禄を見せた。DeNAを相手に4安打完封で5勝目。チームを4連勝に導いた。初回に阿部が先制打、4回に片岡が2ランを放つなど、投打ががっちりかみ合った。貯金は最多の18、優勝マジックは14。敗れた2位広島とは5ゲーム差に広がった。さあ、実りの秋へ。巨人の加速が止まらない。
唯一のピンチをくぐり抜けた。内海は9回2死一、二塁、グリエルを遊ゴロに打ち取ると、喜びを爆発させた。三塁を踏ませない4安打無四球完封で、チームを今季3度目の4連勝に導いた。「前回、チームの3連勝後に自分がやられていたんで結構プレッシャーはありました」。重圧から解放され、気持ちよさそうに汗を拭った。
東京ガス時代の同僚・片岡と一緒に上ったお立ち台。序盤の直球が120キロ台だったため、片岡に「直球は128キロしか出ていなかったけど…」と冷やかされた。普段より約10キロは遅い表示だ。大観衆からも笑いが漏れたが「僕は本格派なんで、直球が一番よかった」と切り返して、盛り上げた。そして「いい状態、いい雰囲気でこのまま(優勝へ)突っ走っていきたいです」と高らかに宣言した。
全球種を低めに集めた。3~8回は完全投球。DeNA戦は連続完封で今季3戦2勝。防御率0・35と抜群の安定感だ。「スピードガンにだまされずにいけた。(坂本)勇人にも『そんなに遅く見えない』と(言われた)。『そんなはずはない』と思って投げました」。自分を信じて腕を振った。
前回5日のヤクルト戦(神宮)では6回途中4失点で8敗目。ふがいない自分を責めた。甲子園での練習中、小山ら後輩にも「どのへんを意識して投げているの?」と質問攻め。田畑投手コーチにはスマートフォンでキャッチボールの動画を撮ってもらいチェックした。「何とかしたい一心」で、シャドーピッチングなどを繰り返した。
精神面でも奮い立った。「『やられたらどうしよう』とかマイナスに考えず、『負けない、絶対にやれる』と思って中継ぎのつもりで1回1回投げた」。通算勝利数は113となり、巨人時代の上原浩治(現レッドソックス=112勝)を抜いた。
チームは今季初めて、先発投手に4戦連続で白星がついた。しかも4人全員が7回以上を投げた。9月は8勝2敗と白星が大きく先行。8勝中、7勝が先発投手についている。投手陣に安定感が出てきた。原監督は「(内海は)精度が良かった。今季、彼の中ではかなり地団駄(じだんだ)を踏んでいるだろうし、いい時期にいい投球をしてくれた」とたたえた。
広島が敗れたため、優勝マジックは2つ減って14。最短Vは変わらず20日だ。「足を引っ張りたくないという思いばかり。後輩に引っ張ってもらって申し訳ない。恩返ししないと」と内海。投手リーダーが完全復調し、巨人がリーグ3連覇へ突き進む。(岸 慎也)