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理研が世界初iPS手術 STAP問題から“再生”へ希望の光

iPS、世界初の移植手術 笑顔で会見する高橋氏ら
iPS細胞から作った網膜の細胞の世界初の移植手術を終え、記者会見する理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの高橋政代プロジェクトリーダー(左)。中央は手術を担当した先端医療センター病院眼科の栗本康夫統括部長
Photo By 共同 

 理化学研究所と先端医療センター病院(神戸市)は12日、さまざまな細胞に成長できる人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った網膜の細胞を、目の難病「滲出(しんしゅつ)型加齢黄斑変性」を患う兵庫県の70代女性に移植、手術は成功したと発表した。iPS細胞から作った細胞を人体に入れる手術は世界初。STAP細胞問題で暗い話題が続いた理研にも久しぶりに“希望の光”がともった。

 手術は、理研発生・再生科学総合研究センター(CDB)の高橋政代プロジェクトリーダー、センター病院眼科の栗本康夫統括部長らによる臨床研究として実施。iPS細胞はがんになりやすいのではないかという懸念があるため、がんを作るような異常が起きないか調べることが主な目的だった。高橋氏は手術後の会見で「患者さんの思い、希望に一つの答えを出せたかなと思う」と話し、安どの表情を浮かべた。

 CDBでは小保方晴子氏のSTAP細胞問題に端を発し、論文の共著者だった笹井芳樹副センター長が8月5日に自殺しているのが見つかった。笹井氏は、体のさまざまな細胞や組織になる胚性幹細胞(ES細胞)から網膜組織をつくることに初めて成功し、今回の研究でも技術的なサポートしていた。

 一連の問題を受けてCDBの規模が半分程度に縮小されるなど暗い話題が続いた理研にとっても、“再生”への一歩だ。今回の研究は理研の目玉プロジェクトで、神戸市も支援。京都大の山中伸弥教授(52)が開発したiPS細胞を利用する再生医療の今後を占う手術として注目されていた。

 手術は午後1時40分ごろに開始。網膜組織にできた異常な血管を除去した上でシートを移植、当初の見込み通り約2時間40分で終了した。女性には全身麻酔を施し、手術終了15分後に麻酔から目覚めたという。順調に経過すれば3〜7日後に退院する見通し。

 滲出型加齢黄斑変性は血管の異常増殖で網膜が傷つき、視野がゆがんだり暗くなったりし、失明にもつながる。国内で約70万人の患者がいるとされる。病気を患う患者からは「理研の高橋先生が果敢に挑戦してくれた。患者としてエールを送りたい」と実用化に期待する声があがった。

 ▼山中伸弥教授 人のiPS細胞ができて7年という短い時間で大きな一歩を踏み出せたのは、これまでの努力のたまもので、敬意を表する。担当した移植細胞の品質の解析では、リスクをこれ以上小さくできないところまで小さくした。実際の患者でどうなるかは臨床研究をしなければ分からず、これからが本番だ。技術開発者として大きな責任を感じており、経緯を注意深く見守りたい。臨床研究では日本のあらゆる機関が協力することが患者のリスクを最小限にする近道で、今回の品質解析のノウハウを共有したい。

[ 2014年9月13日 05:30 ]

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