朝鮮半島の秋夕(チューソク)とは、簡単に言えば日本のお盆だ。陰暦の8月15日(中秋節)であり、韓国では前後3日間が祝日になる。今年は9月6〜8日がそれに当たった。
秋夕に先立ち、大統領がメッセージを出すのが恒例で、朴槿恵(パク・クネ)大統領も5日、自身のフェイスブックにメッセージをしたためた。
いわく、「韓国経済を再びもり立てて、皆が幸せに暮らせる国をつくるよう、私も最善を尽くす」。
めでたい秋夕に向けたメッセージというのに、韓国経済が落ち込んでいて、国民が幸せでない状況認識を語っているように思える。
それは、そうだ。旅客船「セウォル号」が沈没してからというもの、2人の首相候補が罵声の中で葬られたことに象徴される政治の混乱は、まだ続いている。
朴氏は「国軍の名誉」という言葉が好きなようだが、いま陸軍では、いじめが大問題になっている。前線での乱射事件も「いじめの報復」が理由だった。いじめを苦にした自殺兵も相次ぎ、いじめ殺人まで起きた。
さらに、中部から東部戦線を守る野戦軍の司令官(陸軍大将)が任地を離脱して泥酔の挙句の果てに“裸踊り”のような醜態を演じて、事実上の解任になった。「国軍の名誉」など、どこへやら。
そして、あちこちの道路で突然の陥没(シンクホール)現象が発生している。まさに「韓国沈没」。国民が心やすらかでいられるはずがない。
韓国の国民性からすると、秋夕に続く、「仁川(インチョン)アジア大会」(9月19〜10月4日)で大いに盛り上がるところだが、開会式の入場券すら3割しか売れず、9月6日には3割の割引販売が始まったという。