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規制委審査、長期化の様相 六ヶ所・再処理工場・10月完成厳しく

 原子力規制委員会の新規制基準に基づく使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)の適合審査が長期化しそうだ。日本原燃は審査完了を6月ごろ、工場完成を10月と見込む。審査では、規制委が重大事故対策の拡充や、断層の追加調査など想定外の対応を次々と求めており、計画達成は厳しい状況だ。

 原燃は1月7日、再処理工場の審査を申請。規制委は同17日に審査を開始した。原燃が提出した約2500ページに及ぶ申請書に基づき、重大事故、地震、火山関連など主要22項目を検討する。審査は工場の重大事故対策などを確認する「設備関係」と、地震や津波の影響を見定める「地震・津波関係」に分かれて進む。
 先行する設備関係の審査会合では、規制委が2月、原燃の重大事故対策の踏み込み不足を指摘。原燃は対策を見直した上で、4月に全体的な基本方針を示したが、再度見直すよう厳しい意見が出された。5月中に、再処理の工程ごとの詳細な対策を示す予定だが、規制委が納得するかどうかは不透明だ。
 地震・津波関係の審査は3月に始まった。焦点は敷地内や施設周辺の断層の活動性の評価。現在、核燃料サイクル施設の敷地から北東約4キロにあり、工場に最も近い活断層「出戸西方断層」を中心に審査されている。
 断層は長いほど、動いた際の活動性が大きくなる。初会合で原燃は断層の長さを南北約10キロと主張したが、規制委は裏付け不十分とし、より詳しい試掘溝(トレンチ)による追加調査を求めた。原燃は調査を受け入れ、6月までに結果を得られるとの見通しを示す。
 より規模の大きい下北東方沖の「大陸棚外縁断層」(長さ南北約85キロ)の審査は今後、本格化する。原燃は「将来、活動する可能性はない」と訴えるが、規制委は活断層との見方を排除しておらず、長期化は必至だ。
 原燃が想定する審査終了まであと約1カ月。川井吉彦社長は今月8日の青森県議会特別委員会で「(10月完工の)旗は降ろしていない」と強調したが、現時点では審査のゴールは見えていない。
 県幹部は「万が一基準に適合せず稼働中止となれば、青森は核のごみだらけになる。規制委もその辺を念頭に置いて審査を進めているはず」と最終的には審査をクリアできると期待する。


2014年05月18日日曜日

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