日本原燃は7日、青森県六ケ所村に建設中の再処理工場など一連の原子力関連施設について、稼働に向けた安全審査を原子力規制委員会に申請した。再処理工場は原子力発電所から出る使用済み核燃料からプルトニウムやウランを取り出す施設で、核燃料サイクルの中核となる。日本原燃は規制委による審査を経て、10月の完成を目指す。
日本原燃の松村一弘副社長が7日午前、規制委の事務局である原子力規制庁に申請書を提出した。松村副社長は記者団に対し「全社を挙げて万全の体制で(審査対応に)臨みたい」などと語った。申請したのは再処理工場のほかウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料工場、ウラン濃縮工場など。
1993年に着工した六ケ所村の再処理工場は当初、97年の完成予定だった。廃液をガラスで固める工程などで不具合が相次ぎ、完成時期は20回延期された。約8000億円を想定していた建設費も2兆円以上に膨らんだ。2011年に東京電力福島第1原発事故が発生、昨年12月に施行された核燃料関連施設の新規制基準での申請となった。
新基準では核燃料施設に対しても原発と同様、爆発や火災など過酷事故への備えを厳しく義務付けた。日本原燃は約300億円を投じ、移動式の消防ポンプや泡放水施設などの配備を進めている。
原発では核燃料が原子炉周辺に集中するのに対し、再処理工場では放射性物質が分散し、常に移動している。化学薬品の爆発や火災の危険もある。こうしたリスクをふまえ、規制庁は核燃料関連施設を担当する専門チームを新たにつくって審査にあたる。
審査は半年以上かかる見通し。焦点となるのが下北半島の太平洋沖に延びる「大陸棚外縁断層」の扱い。日本原燃は独自の調査をもとに活断層ではないと評価しているが、規制委は付近の地下構造の調査を進めている。活断層だと判断されれば追加補強工事などを迫られ、審査は長期化する。
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