間もなく「敬老の日」(9月15日)を迎えるが、日本の高齢者が置かれている状況をうらやましがっている国がある。お隣の韓国だ。日本以上のスピードで高齢化が進む同国では、高齢者の貧困率や自殺率、虐待件数が急増し、“老人地獄”といった様相を呈しているというのだ。老人を大切にする儒教の国というイメージの強い韓国で、何が起きているのか。
「一見、生活水準が似ているように見える韓国と日本だが、高齢者たちの生活だけは明らかに異なっている」
韓国紙・中央日報(日本語電子版)は10日、イ・ヨンヒ記者のこんなコラムを掲載した。イ記者は、コーヒーが1杯1000円(1万ウォン)もする銀座のカフェに高齢者があふれていたエピソードなどを紹介。韓国でこのような店に通える高齢者は「一部の富裕層高齢者」と嘆いている。
確かに、韓国の高齢者を取り巻く環境は厳しい。
OECD(経済開発協力機構)と韓国企画財務省が発表した資料によると、65歳以上の高齢者に占める貧困率は2011年時点で48・6%で、OECD加盟中ワースト1位だった。この数字はOECD平均12・4%の4倍に上る。2位のオーストラリア(35・5%)を10ポイント以上引き離しており、韓国が圧倒的な“老人貧困大国”であることを裏付けた。
前出のコラムは、保険研究院の資料をもとに、日韓の公的年金を比較している。日本で65歳以上の高齢者の公的年金受給率は2012年で96・4%、1人あたりの月平均受領額は160万ウォン(約16万4000円)だが、韓国では受給率が34・8%(12年)で、受領額は36万ウォン(約3万7000円、13年)に過ぎない。