としやの Blog

単なる日記です。子どもたちが大きくなったらニヤニヤしながら読み返す予定。

[音楽]syrup16gのアルバム 「Hurt」について書いてみた

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(個人的に好きなアルバムについて書いています。自分と、もしかしたら共感してくれるかもしれない人に向けて。)

(いつも読んでくださっている皆さん、ありがとうございます。今日は(今日も?)スルーしてくれても大丈夫です。恥ずかしいのでw)

 

 

 先日(2014年8月27日)にsyrup16gのアルバム「Hurt」が発売されました。前のアルバム「syrup16g」(2008年1月)以来6年ぶりです。一度解散を経ての今回のアルバム発売は、個人的にとても嬉しいものでした。正直こんな時が来るとは思っていませんでした。

 

2008年3月1日に日本武道館で解散したsyrup16gが6年の時を経てまた動き出します。
武道館でのラストライブで五十嵐隆はこう思ったそうです。
「明日は来ないね。明日はない。終わってしまうね。」
そして、やって来ました。syrup16gの3人と、syrup16gファンにとっての明日が。
昨年5月のNHKホール、五十嵐隆名義で行われた「生還」ライブに参加した、中畑大樹キタダマキ
あの日以来長い時間をかけて話し合い、遂にsyrup16gの名を掲げて活動を再開することが決まりました。
彼らにとって8枚目のフルアルバムをレコーディング中です。
秋には東名阪のツアーに出ます。
アルバムタイトルに選ばれた言葉は”Hurt”。
平安な眠りから覚め、傷つけられることも時には傷つけることもある荒海に漕ぎ出します。
今回レコーディングされた11曲はすべて未発表の書き下ろし。
再始動に向けた五十嵐隆の並々ならぬ決意が見えます。
生きにくい世界と対峙するための手がかりが音楽、そんなsyrup16gの曲が産み出された時代に共に生きる喜び。
胸を打つメロディーと、独特の世界観で他の追随を許さない歌詞世界が融合する時、syrup16gの世界がまた始まります。

【朗報】syrup16g ニューアルバムのお知らせ【速報】 | UK.PROJECT より

 

 

 このアルバムを手に入れてからは何度も何度も聴きました。聴くたびにいろいろな感情が湧き上がって、渦巻いて、心が震えて、、、

 もう好きすぎて、言葉にしようとしてみたけど、上手くできなくて。

 言葉にしても自分でも納得できないものになったり(誰かに言われて書いてるわけじゃないのにね、笑)、、事実、僕にはこの素敵なアルバムは手に負えないけど、書いてみます。

 

 他の方も指摘してるけど、このアルバムは五十嵐さんが解散後から生還に至るまでに、僕たちの前から消えてた時期に、自身が傷つき(Hurt)、自身に傷つけられ、音楽を一度は捨てようとしたけど、(それでも手を差し伸べてくれる他人に助けられ、)やっぱり彼には音楽しかなくて、それをするには自分で葬り去ったsyrup16gしかなくって、帰ってくることを決意した、葛藤の日々の記録のような作品でもあって。

 もちろんそんな見方をしなくても、彼らの奏でる音楽は力強く儚く輝くもので、五十嵐の言葉の世界は相変わらず心を揺さぶり絶望の淵を這いつくばるようなくせにか細い希望の光が差しこむようなもので、やっぱり僕にとってシロップの音楽ってのは音を楽しむ以上に意味のあるもので。

 ちょっと違うかもしれないけどシロップの音楽は小説や映画を通して得る体験に近いというか。

 

 「Hurt」は(五十嵐さんの)生還と(syrup16gの)再発までの物語なんだ。

 

 やっぱり一度syrup16gに侵された身としてはただ新曲が聴けるだけでも嬉しいし、その新曲達が(老害じゃなく)素敵なものだったら、ただそれだけでも幸せなんです。そしてこれからも彼らの音楽とともに同じ時代を生きていけるのは最高なんだと思ったのです。

 

★★★いったんおわり★★★

 

 うっ、やっぱり上手く書けない。以下では曲順にずらずらっと言葉を羅列してみます。曲の印象とか、思い浮かんだ情景とか。このアルバムは物語かもって書いたけど大雑把に分けると序盤は孤独な日々、中盤はいろいろ葛藤しながらも気づいていく様、終盤は再生に向けて心が救われて決意をする、ってような。僕が言葉にすれば陳腐な感じするけど抜群のメロディーと圧倒的な歌詞世界の11曲がかき鳴らしている素晴らしい世界です。

 

 まずはジャケット写真。モノリスを思い起こさせる立方体がすぐにも倒れそうなぐらい不安定に立っています。周りの放射的に砂鉄(のような)が広がっている様子からモノリスが強力な磁力(魅力)を備えたモノであることは分かります。だけどモノリスの周り、直近には砂鉄はなく、外の世界と断絶しているんじゃないかと。まぁ深読みしてもしなくても、意味深な感じの写真です。モノリスが五十嵐さんだとしてもいいし、僕らそれぞれでもいいし、まったくそんな意味なんてないのかもしれないし。

 

Hurt

Hurt

 

 曲は全部で11曲。以前の曲みたいに単語だけのタイトルはほぼ無いです。(天才、翌日、負け犬、手首、、まだまだあるけど)。

 あと、このエントリーは後で良い言葉が浮かんだら後で書き換えるつもりです。散発的な文章でごめんなさい。

 

  1. Share the light
  2. イカれたHOLIDAYS
  3. Stop brain
  4. ゆびきりをしたのは
  5. (You will) never dance tonight
  6. 哀しき Shoegaze
  7. メビウスゲート
  8. 生きているよりマシさ
  9. 理想的なスピードで
  10. 宇宙遊泳
  11. 旅立ちの歌 

 

1. Share the light

 切り裂くようなギターと感情を揺さぶるようなリズム。ひどく焦燥している印象。

鼻歌消えた世界で 無邪気にまだ鳴っている
ヤバいミストに漂って 消えたのも束の間
「何も知らなかった頃が幸せだった」なんて
うそぶくのが精一杯だ 後ろ暗い防空壕

Share the light
Sheer the light
Share the ray
Sheer the light

 自発的に音楽も断った世界で、独りで篭っている。だけど精一杯振り絞ってまだうそぶいたり、光を求めて、まだ求めている。

 暗くて静寂で孤独な日々だったのかな。(って感じで勝手に脳内再生しています。)

 

2. イカれたHOLIDAYS

 どこか気だるくて孤独な日々。HOLIDAYSだけどただ何もしていないだけの日々。

 

最新のポスター 欲張りな憂鬱で
身分不相応の未来を込めて
最強のモンスター 断りなき侵入で
つたない理想論 被害者の英雄で


価値残れない 現実の先に
衰弱していく 精神の果てに
夢を見ていた 夢を見ていた

 

3.Stop brain

 トラック4と双璧をなす前半のピーク曲。 とても軽やかに「Stop brain 思考停止が唯一の希望」って歌いあげるけど、叙情的。

 

君とおんなじように 生きてみたいけど
君もおんなじように 生きていくのは
とても大変で

行き詰まった状態で
立て籠ってる 崇高な希望
自尊心の喪失で
蹲ってる 迷宮の希望

Stop brain 思考停止が唯一の希望
Stop brain 思考停止が唯一の希望

 

4.ゆびきりをしたのは

 自虐的な歌詞が目立つけど、それでも自分の本心を確認するのかのように「勇気を使いたいんだろう」ってフレーズを繰り返すのが引っかかる。 

 まだ自己否定の日々のように見える。どこかで勇気を使いたい自分もいるのだけど。

はっきり断言する 人生楽しくない
だから一瞬だって 繋がっていたいんだ


勇気を使いたいんだろ
勇気を使いたいんだろ

 

  メロディー的にはたくさんの人が好きになる曲だと思う。

5.(You wil)never dance tonight

 

まだ見ぬ明日は 遠ざかり
ありきたりの今日は もう終わり
お馴染みの 水掛け論で
ずぶ濡れの 答え合わせ

You will never dance tonight
You will never dance tonight

空調消して 膝を抱えて
黙っているのさ
静寂過ぎて 少し怖くて
見上げてる空

 

 他人との接触は上手くいかずにまだ”明日”はこない。”You”は文字通り”あなた”なのかそれとも”音楽”のことかは分からないけど、 今夜も孤独な状態。

 

6.哀しきShoegaze

  曲はとても力強いのだが、詞の世界が悲しい。詞に入りすぎると感情にあてられて悪酔いしそう。

 

7.メビウスゲート

  一見普通のロックなんだけど、メビウスの輪に嵌り込んだみたいに淡々と困惑して展開する世界。ここらあたりから自分の内側から外側へ意識が行ってるような気がする。

 

8.生きているよりマシさ

  アルバムから唯一PVが作成された曲。タイトルとは裏腹にとてもPOP(シロップにしては)。一気に場面が進んだような印象。曲の中で過去を振り返りつつ、君に対して意識と感情が出てくる。

波を立てずに 穏やかな暮らしで
目立たないように 慎ましやかにして

もう君と話すには 俺はショボ過ぎて
簡単な言い訳も 思いつかないんだ
戸惑いの奥にある 強い不信感を
はね除ける 力が残ってたらいいのに

君と居られたのが 嬉しい
間違いだったけど 嬉しい
会えないのはちょっと 寂しい
誰かの君になってもいい 嬉しい

死んでいる方がマシさ 生きているよりマシさ
死んでいる方がマシさ 生きているよりマシさ

 もちろん詞の通りの意味じゃなくて(生きててよかった。じゃカッコ悪いでしょ)。この曲から後半に向けて救いの光が強くなる印象を受けました。

 

9.理想的なスピードで

  まぁでもさ、光は差し込んできたよ。でもね少し落ち着いて。自分なりの速度を取り戻すんだって曲。友人にからかわれて、少しでも軽口が言えた、、それだけでも人間として戻ってきてるんだ。

心と向き合うなんて 無謀さ
もともと 勝ち目はないのに
挑んで またボロボロになってる

理想的なスピードで なく
破滅的なスピードで なく

安心だけはしない
誰に 何言われても
安心だけはしない
死ぬまで

反省だけはしない
無意識に やってるから
反省だけはしない
死ぬまで

 

  曲と詞ともにゆったりしてて、じんわりとしみてくる歌。

10.宇宙遊泳

  どっしりと構えたリズムの上で、自由に軽やかに奏でられるギターとウタ。暗黒の宇宙ではなくて、爽快感のある空間を意識が自由自在に舞っているような。トラック9から助走して一気に飛び立つ救いの歌。

星の隙間で 踊っているだけ
爪先に合う 三日月は無く
行方知れずで 終わっていくだけ
どこにでもある 藻屑と消える

違う絵本に 描かれている
地続きじゃない 夢の行く先を
手がかりもなく 彷徨っている
眩いものは 全てまやかし

 

 もうね、最初から通して聴くと一転して救われるような気分になる曲。初めて聴いたときは、今までの空白の期間とアルバムの曲達がリンクして、、ここで涙腺が瓦解したんです。あぁ本当に帰ってきてくれた、ありがとう。って思ったんだ。

 

11.旅立ちの歌

 以前のシロップでは考えられないような歌。五十嵐さんも何度もボツにしようと思ったらしい。すごく前向き、ストレートに。希望の歌が今まで無かったわけじゃないけど、バカみたいに正面から。でも今回は真っ直ぐでいいと思う。

 

たいしたことはない 誰でもない
君の思うままに
もう多分はない 揺るぎはない
ただ信じるままに

旅立ちの歌
繊細さを胸に
そっと秘めながら歩く
君とまた会えるのを 待ってる

 

  今までも弱さをさらけ出してたけど、それも含めて高らかに歌い上げる。五十嵐さんの「君」の元へ旅立つ決意。

 

泣きたくなるから
反応してくれよ
必死に言葉紡いで
君とまた会えるのを 待ってる
残念の中で 落胆の雨でも
勇敢な姿を 誰かがずっと見ている
最低の中で 最高は輝く

 

 あまりにもシロップにしてはストレートすぎるし、今回のシチュに合い過ぎてるから、これから先は歌い続けるような曲ではないのでは、って聴き始めた頃は思ってた。でも何日も何回も聴いた今は、素直に良い曲だと思えてきました。

 

 

 生還ライブの時点でも新曲あったのに、なぜHurtを全部新曲で作ったのか自分の中では納得しました。syrup16gのセカンドシーズンを始めるには、前作のアルバムと武道館ライブで葬り去ったバンドを、このアルバムで再生する必要があったんじゃないかと。

  次はライブだけど、復活してすぐにこんなの聴かされたら、次の新しい作品も楽しみだよ。こんどは縛りがないんだから、さらなる高みを。(低みか?)

★★★★★★★

 不完全な気持ちがかなりありますが、いつまでも下書きにしてるとライブも来ちゃうので公開します。またいい言葉が見つかれば書き直します。自分のために。

 

  もうね、こんなの書いてて我ながらバカなんじゃないかとわかってるんだけど。誰かに届くわけないってわかってるんだけど。五十嵐さんの音楽を聴いて、聴いてたらいつの間にか僕の体には深く傷跡が出来てて、それは多分ずっと消えないんじゃないかと思うぐらい響いているんです。

 

おかえりなさい、五十嵐さん。

ありがとう。syrup16g

 

 

 

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