ぼくが日経新聞電子版を卒業してから早半年。
世間ではニュースアプリ戦国時代とも言えるような大合戦が繰り広げられている中、沈黙を貫き続けた日経新聞。
もちろん、ただ沈黙し続けていたワケではありません。
『まだだ。まだその時じゃない。』と、ひたすらに「その時」に向けて準備を進めていたのですね。
日経新聞のニュースアプリ『Niid』がリリースされたよ。
9月、ついに、満を持して日本経済新聞社から新しいニュースアプリ『Niid』がリリースされました。
早速使ってみました。
日経新聞をスマホ時代に再定義したら、こうなった。
詳しくはNiid公式サイトをご覧になって頂けると一目で分かるのですが、
- ビジネス戦略ナビ
- ヒット&トレンド
- 知りたい!アジア
- 英語で聴く日経
の4つの軸で、日経5紙をニュースソースとして記事を選りすぐって(キュレーション)紹介してくれる、というカタチになっています。
日経新聞や日経MJ、日経産業新聞など日経ならではのコンテンツをベースに「特定のテーマについて深く知るというユーザー体験」や「ビジネス英語を学ぶというユーザー体験」を提供してくれる、今までありそうでなかったニュースアプリ。
ビジネス戦略ナビで経営視点を。
ヒット&トレンドで顧客視点を。
知りたい!アジアでグローバル視点を。
英語で聴く日経でビジネス英語を。
ビジネスパーソンの血肉になりそうなカテゴリを最大公約数的に4つにまとめている点が素晴らしいです。
例えば、ビジネス戦略ナビの今日の特集は『新iPhone どう売るか』と、iPhone6/6plusの予約開始に合わせた旬なトピックを軸にニュースをキュレーションしてくれています。
読了目安時間が表示されていたり、記事の概要について3行でまとめられていたりして、とっても見やすいです。
デザインを担当されたのは、初期Gunosyのアプリデザインなどを担当されたGoodpatchさん。さすがの仕事ぶりです。
以前、こちらのエントリーにも書きましたが、日経新聞の記事のクオリティ、特集の視点はとっても素晴らしいなと思う反面、日経電子版はあまりに読みにくく辟易としていたこともあり、日経電子版を解約したのでした。
正直、日経新聞電子版は読みにくいです。 SmartNewsやグノシーなど、最近のニュースアプリのトレンドを見れば、 ああいった情報設計がスマホ時代には合っているということが分かるはずです。
彼らを単にパクるのはあまりにも芸が無いですが、
「日経新聞は、こうなんです。」と頑固になるのではなく、
彼らのエッセンスをうまく取り入れながら、
スマホ時代に最適化されたアプリデザインを期待したいです。
引用:日経新聞電子版を解約して、NewsPicksで定期購読をはじめてみた結果。
そういう意味では、期待通りのニュースアプリが、思っていたより早く出て来たなぁという印象です。
イノベーションのジレンマを超えて。
ぼくがさらにすごいなと思ったのが、日経新聞という大企業で「Niid」を生み出した方々です。
正直、大企業で新規事業を起こすのって想像以上に難しいことなんです。
既存の中核事業と関係ない事業であればいざ知らず、既存事業とコンフリクトを起こす類の事業を生み出すのは本当に大変。
だからこそ、日経新聞には期待をしつつも、既存勢力(=日経電子版上手く行ってるからいいじゃん組)の猛烈な反対にあってしまい、こうしたニュースアプリは生まれないのでは?と思っていました。
そんな中、日経本誌のみならず、MJや産業新聞などをも巻き込みNiidをプロデュースされた永吉さんはじめ、デジタル編集部のみなさまには心から敬意を表したいです。
マネタイズのゆくえ。
現時点では期間限定で「無料」で使えるものの、いずれ有料化という形でマネタイズをはかっていくNiid。
正直、プライシングがめちゃくちゃ難しいなと思います。
Niidのもたらす価値が高ければ高いほど、日経電子版からのリプレイスが起こり、結果的に既存事業との摩擦が起きる可能性もあるワケで。
長い目で見れば、スマホに最適化されたニュースアプリのカタチを世に問い続ける方が絶対良いのですが、目先の売上を毀損してしまう可能性がある中、Niidにブレーキをかけずにアクセルを踏み続けられるか。経営陣の胆力が試されるフェーズに移るでしょう。
Niidはまだリリースされたばかり。
これからどんどん改善され、成長していくアプリだと思うので、今後がとっても楽しみです。
これからはNewsPicks、カメリオ、そしてNiidの三刀流ですかね。
無料期間中に、ぜひみなさんも試してみて下さい。
※現時点ではiPhoneアプリのみの提供のようです。