イベントと勉強会とコミュニティの間

以下、ただの日記です。誰かに何かを伝えたいと思ってる記事ではないので、期待をしないでください。

以下の話題。どちらさまが運営なのか存じ上げないのですが、期待値と提供する品質に対する期待値の差、というのはありそうですね。

イベントを開催するという事は人の時間を預かるということ→あまりにも素人仕切りの【第22回東京ブロガーミートアップ】 : たのっちのぶろぐ by @tanocchi

WebSigも10周年で、34回の会議と言われる数十人規模のイベントと、「WebSig1日学校」と言うまる1日のイベントで数百人規模のイベントをやってきました。

WebSigは、提供品質を割と考えすぎてきた方だと思っています。ただ、そういう立場でも、なかなか難しいのは、確かにお金を頂いてはいるのですが、そうは言っても、僕ら自身も楽しみたいという部分との兼ね合い。

つまり興行主としてのスタンスではなくて、「みんなで場を共有し、スピーカーの話をお伺いする」という時間をシェアするというイメージですかね。

ただ、それが伝わらない可能性があるのも事実。そこら辺の空気をどう伝えていくのかもイベント主の仕事と言えるかなって思いました。

WebSigが始まった当時は、渋谷の会議室を有償で借りていて、2次会もレストランを借りてやるので、一言で言うと会場費用のコミットメントが必要です。

50人ぐらいですと、会議室で10万円程度、レストランで20万円程度のミニマムコミットがありますので、ドタキャンされると、赤字リスクに繋がります。

しかし、当時は先払いのイベントシステムはありませんから、基本的に後払いです。ですので

・質の低いイベント
・申し込みやすいけどロイヤリティの低いテーマ(企業色が高い)
・熱意の低いコミュニティ

ですと、ドタキャン率が上がり運営のリスクが上がります。

WebSigは、mixiグループの時代からやってるので、ついつい顧客満足度の視点でイベントの質というのをいつもテーマにしてしまいます。

しかし、ここ数年イベント開催のリスクが一気に下がりました。

・ITサービス企業の出世により、無料で会議室を借りられるようになった。
・ATNDを契機とした、イベント申し込みサイト
・Twitterのようなユーザ行動と同時に情報拡散が期待できるソーシャルの出現でプロモコストの低下(話題ベースで集まれる)

により熱意と自分たちのコミットだけあれば、イベントの0円開催が可能になったからです。

ちょっと言語が出てきたら知識の共有を目的とした勉強会しようよ!と知らない人も参加しやすくなり、友達感覚の気軽なイベントが開催できるようになった半面、さまざまな期待値と提供品質の差みたいなものがあるのだと思います。

丁度、WebSigは10周年を迎えまして、11月に10周年記念イベントをやろうとしています。

最近は、WebSigを取り巻く環境も変わってきて、運営側とお客さん、のようなスタイルでは、運営側が得られるメリットが変化してきた部分が否めません。

例えばイベント開催におけるスポンサーの例で言うと簡単なのですが、スポンサーは人材採用なりサービスの訴求などのメリットを期待して、イベント運営をサポートします。つまり明確なビジネス的メリットを期待するからこそイベントに時間をお金をかける行為が成立するのですが、もしイベントを運営する側が、ビジネスを期待していないのに手弁当で提供する場合には、それに変わる目的というのが必要だったりします。

かつてはWebSigメンバーの中でも、知りたい欲や一緒に考えたい欲があったからこそ、みんなで一緒に考えませんか?というスタンスで、「WebSig会議」というイベント名をやってきました。

最近は、Webもコモディティ化し、Web自体で知ることが少なくなってきた。むしろWebを使って、どういう付加価値を作っていくか?とフェーズが変わりつつあります。それこそが昨年のWebSig1日会議の「あたりまえのWeb」という問題意識でした。

もちろん実は、「あたりまえのWeb」なんてのはまだまだで、だからこそイベントが成り立つという部分はあるのですが、それでも「Web業界」みたいな言葉が、10年ぐらい前はなんとなく「Web制作」を示していたのに対し、ソシャゲー、Webサービス、アドテクなど分散化していく中で、問題意識が変わってきたというのがあります。

多分、YAPCが、個別技術のイベントから、サーバサイド寄りの総合技術イベントに変わりつつある状況など、他のコミュニティにおいても、少しずつ見えてきている変化なのかなと思っています。

そういう中で、勉強会形式では、運営も「学びになり楽しめる」イベント計画がやりにくくなっています。

WebSigの活動は仕事ではない。好きだからやっている集団。じゃぁ何が好きなのか?という部分をイベントテーマとして結びつけられる人が最低1人はいないとイベントとしては成立しません。

今度のWebSigの10周年記念イベントでは、より自分たちがやりたいことをやろうと企画しています。多分、初めてモデレータ自身がイベントの中心になるイベントだと思います。代表の和田を始めとする創業メンバーによるトーク、僕達がいつもイベント企画をしている時についつい出てきてしまうWeb業界議論の再現など、を画策しています。

それ以外のイベントでも目標としているのは、イベントなんだけど、イベントではない。提供者と受益者という構図で、提供者がコンテンツを作って、一方的に提供するのではなく、みんなと会話するようにイベントを作り、どう新しい気付きを参加者だけでなく運営者側も得られるか。そんなスタイルを模索しているような気がします。いろいろ難しいんですけどね。

冒頭の引用の記事の感想としては、

セミナーが提供者と受益者という関係性がある場合は、何かビジネスなりの目的があるものだと思います。このケースのイベントは接客形式です。文字通り顧客満足度で得られる成果を追求すべきスタイルです。

最近はみんなで一緒に楽しもうよ、というコミュニティ的なイベント開催では、もっと違う目的があって、みんなで共有しようよ感、というのがあります。そこに多少なりとも甘えの構造が存在するのはあえて否定しません。運営者も楽しみたいからです。

しかし、それを開き直って正当化するのも違います。テーマを提示して時間をいただくのは事実ですから、期待に対する提供する品質はコミットしなくてはイベントは成立しません。

しかし、その敷居は前よりも緩いからこそイベントが沢山増えているのも事実。結果として、イベント主催者は自分たちが取りたいスタンスを、初めてくる参加者の人たちにも、しっかり伝えていかないと期待値と提供品質にギャップが生まれちゃうよね、という部分で、カイゼンしていったらいいんじゃないかなと思いました。

別にイベント品質を高めるだけがカイゼンではないです、自分たちはこういうスタンスです!って伝えた上で、来たい人だけ参加していただくというのも大切なカイゼンだと思います。

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