日本人の"コーヒー偏差値"を変えた、あの一杯

セブンカフェ出現で、1万円コーヒーが売れる?

セブンカフェ、ネスレのバリスタ、スターバックス、ブルーボトルコーヒー……。激動期を迎え、話題に事欠かないコーヒー業界ですが、そこには世界の「最新ビジネス戦略」が詰まっていました。この連載では、コーヒー界の勝者の戦略から、今知っておくべきビジネスの潮流と、仕事で役立つ発想法などについて紹介していきます。
セブンカフェがもたらした真のインパクトとは?

2年前の2012年のこと。私は朝6時半という超早朝に始まる勉強会を主宰していた。目を覚ますために美味しいコーヒーが欲しい。しかし朝6時半に開店するカフェは見つからない。とても困ったことを覚えている。ところが2年後のいま、様相は一変した。ただ100円玉を持って、セブンイレブンに行けばよくなったのだ。

セブンの回し者ではないのだが、私と同じ思いを持っている人は少なくないはずだ。実際、セブンカフェは2013年に大ブレイクし、年間4.5億杯も飲まれ、いきなり500億円もの売り上げをたたき出している。これがどれだけすさまじい数字か。読者の皆さんにはよくおわかりいただけるのではないかと思う。

なぜ、スタバは1万円コーヒーを売り出すのか?

美味しくて安価なレギュラーコーヒーには強いニーズがある――。セブンの成功を見たローソンやファミリーマート等もすぐさま追随し、2013年、コンビニカフェ市場は7億杯にまで急伸した。

このセブンカフェから、私たちはとても多くのことを学ぶことができる。

セブンカフェの大きな影響を感じたのは、つい先日、銀座のある有名レストランでランチを取った時のことだ。美味しい食事の後、出されたコーヒーは普段飲んでいるレギュラーコーヒーとは明らかに違う。「もしかしたらインスタント?」とすら感じる残念な味だった。

以前なら気にもしなかったことが、これだけひっかかるのはなぜか?考えてみると、普段飲んでいるコーヒーはほとんどがインスタントでも、缶コーヒーでもなく、レギュラーコーヒーだ。スターバックスなどいくらでもカフェはあるし、コンビニですら美味しいレギュラーコーヒーが飲める。いきなり味覚が肥えて、低品質のものを受け入れなくなってしまったのだ。

巷で「高品質・高価格のコーヒー」が増えているのも、この話と無縁ではないだろう。たとえば9月17日にスターバックスがパナマ産のゲイシャ種という希少なコーヒー豆を使用したコーヒーを発売するのだが、これがなんと、250グラムで1万円。同程度のグラム数なら1000円強が大半であるスタバの豆の10倍という、見方によってはかなり冒険的な価格設定だ。ちなみに店頭での価格は、1杯あたり1850円だ。

美味しいコーヒーを知った消費者が、より高品質なコーヒーを求める――。日本のコーヒー市場は、底辺(100円コーヒー前後)が巨大化する一方で、頂上は高く、高品質化するというように、構造変化しているのだ。

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