●大橋崇行『ライトノベルから見た少女/少年小説史 現代日本の物語文化を見直すために』(笠間書院)
Tweet10月中旬刊行予定です。
大橋崇行『ライトノベルから見た少女/少年小説史 現代日本の物語文化を見直すために』
(笠間書院)
The History of entertainment for Young Adulthoods and the Consideration about characters :
Rethink about modern Japanese culture of stories
ISBN978-4-305-70743-7 C0095
四六判・並製・カバー装・304頁
定価:本体1,800円(税別)
〈少女小説〉と〈少年小説〉が、
戦前から戦後にかけてのまんがの成立を大きく規定し、
日本の「まんが・アニメ」文化の礎を築いてきたのではないか―。
ライトノベルを起点に〈少女小説〉〈少年小説〉に戻り、日本の物語文化を見直す。
特権化されてきた、まんが・アニメーション文化論を超え、現代日本の物語文化を見直すとき、そこにはどんな問題が立ち上がってくるのだろうか。
これまであまり行われてこなかった、まんが・アニメと小説とがどのようにつながるのかという問題を、〈物語文化〉という問題意識から考える文芸批評。
大塚英志〜東浩紀を経てゼロ年代批評に至る既存のサブカルチャー論に、文学研究の視点から全面的に反論。日本のキャラクター文化言説の再編成を行う、刺激的な書。
【......これからの私たちがまんがやアニメーション、ライトノベルについて語るときに求められるのは、それぞれのメディアを「特殊」な文化として囲いこみ、それぞれのメディアにおいて作り出されただけを限定的に論じるというあり方ではないはずである。むしろ、日本のまんが文化、アニメーション文化、そしてそこに加わったライトノベルという媒体、その他日本語によって作られている〈物語〉を伴ったさまざまな文化全体の中で、それぞれがどのように位置づけられるかということを考えていく視点が必要である。
このような視点のあり方を、筆者は〈現代日本の物語文化〉についての考察と称している。......】......本書第三章より
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本書の刊行記念イベントが開催されます!
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大橋崇行『ライトノベルから見た少女/少年小説史』(笠間書院)
刊行記念トークセッション
大橋崇行×河野至恩
日本文学・文化を捉え直していく方法―まんが・アニメ・ラノベと世界文学という地平―
ジュンク堂書店池袋本店
開催日時:2014年11月01日(土)19:30〜
★入場料はドリンク付きで1000円です。当日、会場の4F喫茶受付でお支払いくださいませ。
※トークは特には整理券、ご予約のお控え等をお渡ししておりません。
※ご予約をキャンセルされる場合、ご連絡をお願い致します。(電話:03-5956-6111)
■イベントに関するお問い合わせ、ご予約は下記へお願いいたします。
ジュンク堂書店池袋本店
TEL03-5956-6111
東京都豊島区南池袋2-15-5
これまでの「オタク文化」言説では、日本のまんが、アニメーションが、あたかも日本固有の特殊なものであるかのように考えられてきた。果たしてそれは正しいのか。「まんが・アニメ」文化は実は、「文学」を含めたそれ以外の文化・メディアとの関係性を踏まえて検討することで、初めてその実態と全体像が見えてくる。本セッションでは、いわば囲い込まれて局所的に論じられ続けてきた日本文化・文学を、根底から捉え直すための方向性を探っていく。
「ライトノベルを起点に〈少女小説〉〈少年小説〉に戻り、日本の物語文化を見直す」という目論見によって書かれた大橋氏の新著の議論を軸に、『世界の読者に伝えるということ』(講談社現代新書、2014年)の著者・河野至恩氏と、日本文化・文学をどう捉え直していくか、異なる文化や言語との関係性や、世界文学という地平まで視野に入れ考えていきます。
【講師紹介】
大橋崇行
河野至恩
文学研究者(比較文学・日本近代文学)。上智大学大学院グローバル・スタディーズ研究科・国際教養学部准教授。1972年生まれ。
県立静岡高校卒業後、渡米し、ボードイン大学で物理学・宗教学を専攻。プリンストン大学大学院比較文学部博士課程修了(専攻は日本近代文学・英文学)。プリンストン大学非常勤講師、オハイオ州ウィッテンバーグ大学ティーチングフェロー、ウィスコンシン大学客員助教授などを経て現職。2012年、ライプツィヒ大学客員教授としてドイツ・ライプツィヒに滞在。著書に『世界の読者に伝えるということ』(講談社現代新書、2014年)、訳書にHiroki Azuma,Otaku:Japan's Database Animals(東浩紀『動物化するポストモダン』の英訳、ジョナサン・エイブルと共訳、2009年)、アルバート・ウェント『自由の樹のオオコウモリ』 (日本経済新聞社、2006年)など。
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■著者紹介
大橋崇行(おおはし・たかゆき) OHASHI Takayuki
1978年生。作家、ライター、国文学者。上智大学大学院修了(修士)後、総合研究大学院大学修了。博士(文学)。国文学研究資料館研究員を経て、岐阜工業高等専門学校一般科目(人文)科助教。
ライトノベルに『妹がスーパー戦隊に就職しました』スマッシュ文庫(PHP 研究所、2012年)、『桜坂恵理朱と13番目の魔女』(彩流社、2014年)。小説に『ライトノベルは好きですか? 〜ようこそ!ラノベ研究会』(雷鳥社、2013年)。評論に(共著)『ライトノベル研究序説』(青弓社、2009年)、『ライトノベル・スタディーズ』(青弓社、2013年)。校訂等に、山田美妙作・十川信介校訂『いちご姫・蝴蝶 他二篇』(岩波文庫、2011年11月 ※注釈を担当)、谷川惠一・大橋崇行校訂、解題『山田美妙集6巻』(臨川書店、2013年)。全国大学国語国文学会平成25(2013)年度「文学・語学」賞受賞(「美妙の〈翻訳〉―「骨は独逸肉は美妙/花の茨、茨の花」の試み」(『文学・語学』206集掲載))。
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■ご予約・ご注文は版元ドットコムで
http://www.hanmoto.com/bd/isbn978-4-305-70743-7.html
または、直接小社まで、メールでinfo@kasamashoin.co.jpご連絡いただいても構いません。またはこちらのフォームで、購入希望としてご連絡ください(書名・冊数・お名前・ご住所・電話番号を明記してください)。
http://kasamashoin.jp/mailform.html
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【目次】
はじめに
一般文芸のライトノベル化という現象を前にして
「まんが・アニメ」文化は、「おたく」文化として特権化されてきた
そもそも「おたく」文化とそれ以外とのあいだに、本当に距離はあったのか?
「まんが・アニメ」文化の礎を築いたのは、〈少女小説〉〈少年小説〉ではないか
ライトノベルを起点に日本の物語文化を見渡す
第1章◉ライトノベルとキャラクター
ライトノベルの現在
一般文芸のライトノベル化
「ライトノベル」は定義可能か
一般的すぎた東浩紀の「データベース理論」
〈文学史〉としての「リアリズム」
リアリズムという幻想
本書の目的―〈物語文化〉を見直す
「ライトノベル」とは
「ジャンル小説」としてのライトノベル
「ジャンル外」作品群としての少女向けレーベル
「ライトノベル」一九九〇年「誕生」説について
① ネット上に見られる情報共有のあり方
② 「ライトノベル」という用語の「誕生」
③ 普及しなかった「ライトノベル」
④ 「ひとくくり」にすることの是非
a 性別隔離文化
b ファンタジーブームとTRPG
c 少女小説の動向と前田珠子の越境
d 越境の不可能性
e カルト化するライトノベル読者とその克服のために
ふたたび、「ライトノベル」へ―〈物語文化〉への視覚
第2章◉「少女小説」「少年小説」「ジュブナイル」
青少年向け小説をめぐって―メディアを越境する引用
Ⅰ◉少女小説
「少女小説」とは
「少女小説」の誕生
少女小説の全盛期
尾崎翠の位置
従軍期の時代
「ジュニア小説」へ
『ジュニア文芸』と『小説ジュニア』
〈児童文学〉のイデオロギー
一九七〇年代から八〇年代へ
Ⅱ◉少年小説
「少年小説」
「少年」の登場
明治二十年代の少年雑誌
「出版帝国」博文館の参入
『少年文学』シリーズ
『少年世界』創刊
SFから冒険小説へ
押川春浪
大学館の作品群
羽化仙史とその周辺
講談と「実録物」
村上浪六と「書き講談」
『少年倶楽部』の小説作品
① 吉川英治
② 大佛次郎
③ 佐藤紅緑
児童向け書籍としての赤本
少年小説の全盛
① 冒険小説
② 探偵小説
③ SF
戦時下への接続
「まんが」と「絵物語」
戦後の少年小説
光文社の登場
少年小説ブーム、ふたたび
少年小説の衰退
Ⅲ◉ジュブナイル
「ヤングアダルト」の展開
「ジュブナイル」
ジュブナイル、その後
第3章◉〈キャラクター〉論
高垣眸の位置
一九七〇年代ライトノベル「起源」説の実態
サブカルチャーのカルチャー化
〈キャラクター〉再考
古典文学はキャラクター小説か?
『おおかみこどもの雨と雪』が示すもの
細田守の演出とキャラクター表現
小説とキャラクター
視覚情報との接続
少女小説・少年小説のキャラクター性
「僕/ボク」を自称する少年
キャラクター小説と一般文芸
ライトノベルの英訳におけるキャラクター性の消失
日本語の〈再様式化〉としての言文一致
まんが、アニメの位置
現代日本の物語文化
◉資料・参考文献一覧
おわりに
付録◉本書関連年表