茅葺き屋根(草屋根)の民家を撮影しはじめて30数年なります。
学校勤務のかたわら、各地を訪ね回ってきましたが、草屋根のあるところ、山は青く水は清く、遠来の訪問者を美しい自然とともに暖かく迎えてくれました。しかし、訪ねた地に草屋根の家はなく、すでにトタン屋根に替わっていたり、建て直されたりしていることも珍しくありません。草屋根の家が失われていく速さ、環境変化の激しさに驚き、失望することもしばしばでした。
私が撮影している茅葺き民家は、幾世代もの家族の歴史のしみ込んだ家です。その屋根の下で今日も人々と生活を共にし、庭の草花にも軒先の洗濯ものにも、家人の心づかいや暮らしぶりがうかがえる、「生きている草屋根の家」を写しています。
これら草屋根の民家は使い捨てにされることなく美しく年を経てきました。私の目的は、自然環境と共に生き続ける日本の古い草屋根の民家を一軒でも多く残したいことにあり、多くの皆様にその簡素で美しい姿をお伝えしていくことにあります。
1953年 |
東京都生まれ。 日本大学芸術学部写真学科卒業。筑波大学大学院芸術学研究科研究生後、日本大学大学院芸術学研究科映像芸術専攻。修士(芸術学)を授与。 |
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1996年 | 日本民俗建築学会より「日本民俗建築写真資料のデーターベース構築」の保存作業に対して、奨励賞を受賞。 |
1998年 | George Eastman HouseのPhoto Conservation Internとして写真の保存について研修。 |
2000年 | 博士課程芸術専攻単位修了。研究題目「日本民俗建築の記録とその表現」について研究、日本の民家の撮影をつづける。 |
2014年 | サレジオ工業高等専門学校情報工学科教授退官。 |
カラープリント 20×24インチ 約30点
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