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対イスラム国、米が空爆地域徐々に拡大 長期化の公算

産経新聞 9月9日(火)7時55分配信

 【ワシントン=加納宏幸】米軍機によるイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」に対する空爆開始から8日で1カ月。イラクでの空爆対象地域は徐々に拡大し、オバマ米政権はシリア空爆による「打倒」も視野に入れる。オバマ大統領は欧州に加え中東諸国も含む「有志連合」の構築をすすめる考え。イスラム国への対処は長期化する公算が大きくなっている。

 米国防総省は7日、イラク中西部アンバル県ハディーサの大規模ダム周辺でイスラム国の拠点に対し、空爆を実施したと発表した。同県には、イスラム国により掌握されているシリアと首都バグダッドを結ぶ要衝ファルージャ、ラマディがある。

 ハディーサ・ダムはイラク第2の水力発電施設を備え、数百万人に水を供給する重要インフラ。イラク治安部隊とイスラム教スンニ派住民が管理しているが、イスラム国からの攻撃にさらされていた。

 米国家安全保障会議(NSC)のヘイデン報道官は7日の声明で、ダムが破壊されれば、バグダッド国際空港に数百人駐留する米国の要員が洪水の被害に遭うなど「壊滅的な脅威」が生じうると説明した。

 米軍が8月8日にイラク北部のクルド人自治区の主要都市アルビル付近で空爆を始めてからの空爆回数は143回。対象地域もシンジャール、モスル・ダム、アミルリなどへと拡大しており、米議会からは、オバマ氏に最終的な戦略目標の説明を求めている声が強まっている。

 そのため、オバマ氏は7日放映されたNBCテレビ番組で、イスラム国への対処方針をめぐり9日に米議会指導者と協議し、10日に国民向けに発表すると明らかにした。シリア空爆に触れるかが焦点だ。

 オバマ氏はサウジアラビア、ヨルダン、アラブ首長国連邦、トルコの関与強化も求め、ケリー米国務長官を近く中東に派遣する。イラク政府、シリアの穏健な反体制派勢力を支援してイスラム国を「弱体化し最終的に打倒する」ことがオバマ氏の目標。米紙ニューヨーク・タイムズは、3年間かかるとする米政府高官の見解を伝えた。

最終更新:9月9日(火)8時25分

産経新聞

 

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