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アイマスPにインタビューその5:コンポーザー遠山明孝(AJURIKA)さん with 中川浩二さん

公開日時:2014-09-13 00:00:00

作曲者にもPはいました!

 皆さんこんにちは、北口徒歩2分(にふんP)です。カタログ第5弾で、矢吹可奈&横山奈緒の参戦が発表されていますが、その前のカタログ第4弾、アイドルソロ曲はもう聴きましたでしょうか? その楽曲のひとつである『Nostalgia』を作ったAJURIKAこと遠山明孝さんに、今回インタビューさせていただけることになりました! しかも、『アイドルマスター』(以下、『アイマス』)の楽曲を語るならということで、『アイマス』シリーズサウンドプロデューサーの中川浩二さんにもご同席いただけることに!! 超貴重なインタビュー、ぜひご覧ください!

遠山さんインタ/DSC_0661

▲遠山さん(写真左)はバンダイナムコスタジオに長く勤務し、現在はフリーランスの作曲家として活動中。写真右は中川さん。

Pになるきっかけは5周年ライブ

北口 その自前のTシャツから見るに、遠山さんは、響Pなんですか?

遠山 はい、そうです。タオルはライブ会場で友人に買ってきてもらいました(笑)。

北口 お願いしたんですね(笑)。では、響Pになっていく過程をおうかがいしていきたいのですが、最初に『アイマス』を意識したのはいつでしたか?

遠山 会社がアーケード版の『アイマス』を作っていたときですね。当時、僕は『塊魂』のサウンドを担当していました。で、僕の前に佐々木さん(※1)が座っていて、椎名くん(※2)たちといっしょに、『アイマス』の曲を作っていたんですね。楽しそうに作業していたので、どんなプロジェクトなのか、とても気になっていました。ただ、じつはその前から、『アイマス』という単語自体はずっと聞いていたんです。というのも、僕は石原 (※3)と同期でして。
※1……元ナムコの佐々木宏人氏。『THE IDOLM@STER』や『Colorful Days』など数多くの楽曲を作った。現在はフリー。
※2……バンダイナムコスタジオの椎名豪氏。担当楽曲は『隣に…』など。また、『ゴッドイーター』シリーズの楽曲も手掛ける。
※3……『アイマス』シリーズ総合ディレクターの石原章弘氏。ディレ1の愛称でおなじみ。

北口 あ、そうなんですか。

遠山 彼は、『アイマス』の企画が動き出すずっと前から、「遠山、『アイマス』やで」って言ってたんですよ。当時は同期のみんなで「石原は『アイマス』って言ってるけど、それは何なんだ」って言っていたんですが、しばらく経ってから作っているものを見て、「ああ、あいつが作りたかった『アイマス』ってこれか」と(笑)。

北口 なるほど(笑)。そのときは、まだ『アイマス』に特別な思い入れはなかったわけですよね。

遠山 そうですね。つぎに『アイマス』と関わったのは、『Next Life』を作ることになったときでした。僕が『鉄拳6』で作曲した『Karma (Electric Fountain)』という曲を中川さんが聴いて、「こういう曲を作ってほしい」と。

中川 もうずいぶん前の話なので、うろ覚えなところもあるんだけど(笑)、そうだったね。

北口 そのあたりのお話は、原田さんがインタビューでおっしゃっていましたね。

中川 『Next Life』は、『MASTER SPECIAL』シリーズに収録するために作った曲でした。『MASTER SPECIAL』シリーズにはそれぞれ新曲が2曲ずつ入っていたんですが、1曲は社内のコンポーザーが作り、もう1曲は外部の方にお願いしていたんです。 『Next Life』が入っている『MASTER SPECIAL 03』の新曲は『arcadia』と『Next Life』で、『arcadia』はElements Gardenの上松範康さんにお願いしていましたから、じゃあ『Next Life』は社内だなと。

北口 それで遠山さんに打診されたんですね。

中川 遠山くんにお願いしたのは、響というキャラクターの幅を広げたり、エッジを効かせた曲を作りたいと考えていたからです。同じような曲ばかり作っても、やっぱりおもしろくないので。

北口 『アイマス』の特徴は、曲の幅が広いというところですよね。『Next Life』はトランス系ですが、ヒップホップっぽい『Honey Heartbeat』があったり、ミュージカルのような『愛 LIKE ハンバーガー』があったりで。こうやって曲の幅を広げているのは、サウンドプロデューサーとして、狙ってやっているんですよね?

中川 そうですね。ゲームはダウンロード版が配信されるようになるなど、世界中の方が遊べる環境になってきていますよね。そう考えると、いろいろな曲を用意しておいたほうが、引っかかってくれる人が多いと思うんです。

北口 なるほど。遠山さんが『Next Life』を作るとき、沼倉(愛美)さんの歌声は聴いていたんですか?

遠山 いえ、曲を作っていたのはかなり初期のころなので、歌は聴いていなかったと思います。沼倉さんの声に合わせるのではなくて、自分が作りたい曲を作ったという形でした。

北口 レコーディングには立ち会われたんですか?

遠山 はい。沼倉さんは本当に歌唱力が高くて。最初から『Next Life』を完璧に歌ったんですよ。1回目の歌い出しからほぼ完璧というか、でき上がっていて、あれには驚きました。ただ、完璧すぎて、こういう言いかたが正しいのかはわからないですけど、ちょっと冷徹な感じになりすぎていたというか。だから、サビの「離れてゆく」の“は”のところをやや荒く、息を吐き出すように歌ってもらって、感情を出してもらうようにしました。そうお願いして、バッチリ欲しい物を返してくれるのも、沼倉さんのすごいところです。

中川 そうだね。あのカンのよさはすごい。

北口 そうして『Next Life』という曲が作られたわけですが、遠山さんはそこでファンとしてのめり込んだわけじゃないんですよね?

遠山 そうですね。そこはお仕事として依頼されたので、『アイマス』が好きだからというよりも、自分の仕事として力を入れる感じで。

北口 では、『アイマス』のPになったきっかけはどこだったんでしょう?

遠山 初めてライブに参加できた、5周年ライブですね。そこで『Next Life』がかかり、沼倉さんが踊り……で、もうノックアウトでした(笑)。「このライブはなんなんだ!?」って、衝撃でしたね。

北口 『アイマス』ライブに初めて行ったときって、なんかそういう衝撃みたいなものを感じますよね(笑)。

遠山 僕は、『アイマス』を遠巻きながらずっと見てきたということもあるかもしれません。ゼロから始まって、みんなが注目し出して、5周年ライブでは幕張イベントホールがいっぱいになって……。『アイマス』のライブは、そういう思いが詰まっている量が多いのかなと感じました。

北口 アイドルたちの成長を見守っていて思い入れがある状態で、そこで『Next Life』がかかって、完全に心が持っていかれたと。

遠山 それと、あれだけ大きい会場で自分の曲を聴いたのが初めてだったということもありました。『Next Life』は会社で作っていて、ミックスも自分でやったんですが、小さい防音室で作っていたんですよ。自分なりにいいものができたと思ってはいたものの、幕張のような大きいホールで聴いたわけではなかったので、こんなに違うんだ、こんなになるんだと思いましたね。

北口 5周年ライブは、『アイドルマスター2』(以下、『アイマス2』)のお披露目の場でもあったわけですが、遠山さんは『アイマス2』では『THE IDOLM@STER 2nd-mix』の編曲を担当していらっしゃいますよね。

遠山 あれも、中川さんからお願いされました。原曲よりもエッジを効かせるというか、激しく盛り上がる曲にしたいと思ったので、そういった方向でアレンジしましたね。原曲よりテンポを上げているのも、その一環です。また、歌も収録し直しているので、キャストの皆さんには、元よりも勢いよく、ハジけて歌ってくださいとお願いしました。

北口 中川さんが遠山さんにお願いしたのは、トランス系という元の曲調を踏まえてのことでしょうか?

中川 もちろんです。『THE IDOLM@STER 2nd-mix』は、『THE IDOLM@STER』という曲を、『アイマス2』当時の時代に合わせて、真っ当に進化させようと思って作りました。であれば、トランス系に長けている遠山くんにお願いするのがいいかなと。

遠山 全員で歌う曲を手掛けられたのはよかったですね。演者さん全員とお会いできたので。最初のほうにそれができたのは、その後に曲作りなどで携わっていくうえで大きかったですね。

北口 そんなことがあって、『アイマス』に少しずつ思い入れが強くなっていったと。

遠山 ゲームは忙しかったりでなかなかできていなかったんですが、CDは全員分聴くようになりましたね。あと、作曲以外でも関わるようになって、『アイマス2』では効果音を作りましたし、デバッグプレイもやりました。『アイドルマスター ワンフォーオール』(以下、『ワンフォーオール』)でも、僕が作った音が残っているんですよ。

北口 そうなんですか! どの音ですか?

遠山 テキストを送るときのポチポチという音と、コミュシーンの結果が出るときのジングルなどですね。

中川 『ワンフォーオール』では効果音もブラッシュアップしているので、全部が残っているというわけではないんですが、遠山くんが作ったものが残っている部分もありますね。

遠山 新しい効果音もすごくよくて、きらびやかで、「みんな、がんばってるな~」と(笑)。

北口 『ワンフォーオール』のプレイ状況はどんな感じですか?

遠山 響、美希、貴音の3人のユニットから初めて、その3人はクリアーしました。だから、美希のEXエピソードをプレイして『Nostalgia』を聴く準備はできているんですが、ほかのみんなもクリアーしようかなというところです。

北口 けっこうプレイされていますね~。響Pになったきっかけはなんだったんでしょう?

遠山 やっぱり、『Next Life』を作ったことが大きいです。自分が『アイマス』に参加するタイミングで響と貴音も加わったので、そのふたりには親近感というか思い入れがあるんですが、とくに響に対してはその気持ちが強いですね。

北口 響のどんなところが好きとかありますか?

遠山 明るいところとか、いい意味でバカなところが好きですね(笑)。でも、そうやってバカをやるんだけど、他人をちゃんと思いやる。もとは961プロでクール系でしたが、アニメなどを通していまのキャラクターになっていって、そこがかわいらしいなと。

遠山さんインタ/響_fsc

北口 ちなみに、アニメで好きな回はありますか?

遠山 はい。僕は海の合宿回が大好きで。

中川 5話だね。

遠山 そうです。合宿って、何かトキめくものがありますよね。劇場版も合宿があって、うれしくなりました(笑)。僕は帰宅部で、部活の夏合宿は経験したことがないんですよ。だから憧れもあって。

北口 合宿って、甘酸っぱい感じがしますよね(笑)。

遠山 青春ですよね。しかも、合宿場所も海の近くで。これは行きたいなって。

新曲群のコンセプトは原点回帰

北口 ここから、遠山さんが作られた曲についておうかがいしていきたいと思います。まずは、カタログ第4号として配信中の『Nostalgia』ですが、これを遠山さんにお願いしたのは、中川さんのご意向なのでしょうか?

中川 はい。今回、ソロ曲をたくさん作るなかで、遠山くんに美希の曲をお願いしようと。「響が『Next Life』なら、美希はコレなの!」ってライブで美希が言って、その曲を歌い始めるようなイメージで作ってほしいと伝えました。だから、具体的な曲の方向性は、言っていなかったんです。

遠山 それで僕は、かわいくて激しいという方向性で曲を作ったんです。でも、『アイマス』の曲はけっこうボツを食らうことが多いんですが、その曲もボツになって、「この方向じゃなかったか……」と(苦笑)。

中川 アバウトに発注したクセに、文句はつけるという。ホントごめんね(笑)。僕が作ってほしかったのは、美希版の『Next Life』だったんです。

北口 なるほど! そう言われれば、『Nostalgia』のあの曲調も納得です。

遠山 美希が奮起するというか、本気を出す美希になるといいなと思って、熱い感じにしました。

中川 あと、ギターを入れたいというのが最初からあったよね。

遠山 サイケデリックトランスで、ギターをフューチャーしたジャンルがあるんです。それを以前からやってみたかったので、今回試してみることにしました。

北口 今回のソロ曲は全部で13曲ありますが、ソロ曲全体のコンセプトはどういったものだったのでしょう?

中川 ゲームが初出になるソロ曲って、アーケード版『アイマス』以来、これが2回目なんです。『アイマス』はさまざまなメディアで展開して、キャラクター像がより濃く出るようになっていますが、原点に戻り、そういったキャラクター性を強く打ち出す楽曲をもう一度作ってみたいというのが、今回のコンセプトですね。まわりのスタッフも気心が知れたメンバーが多く、キャラクターについての意思疎通も取りやすいので、これならうまくやれるだろうと。

遠山 僕はいつも、歌われる方がどういう風に歌うのかを想像しながら作っているんです。それもあって熱い感じになったんですが、びっくりしたのが、収録のときに、用意した曲よりもキーを上げたんですよ。

中川 最初に歌って、半音上げたほうがよさそうって話になったんだよね。

遠山 そうですね。そのほうが長谷川さんも歌いやすそうでしたし。

北口 そういうことは、よくあることなんですか?

中川 全員曲だと、あまりないですね。というのも、全員が歌えないといけないので、使う音域も最大公約数的になる。そうすると、そこから上に上げたりというのはなかなかできません。でも、個人曲であればキャストに合わせて調整できるので、微調整をかけることはありますね。

遠山 ほかの方が歌われると、たぶん少しキーが高いんじゃないかと思います。

中川 美希の曲はね~……じつは、俺も作りたかったんだよね。

一同 (笑)。

遠山 『relations』とか、中川さんですもんね。

北口 『ショッキングな彼』とか『オーバーマスター』とか、美希が歌う曲をけっこう作ってらっしゃいますし。

中川 そうなんです。だから自分でやるか迷ったんですけど、最終的には遠山くんにお願いしてよかったですね。

声優さんの歌には力がある

北口 続いては、『Never say never』、『Naked Romance』、『Nation Blue』という『シンデレラガールズ』の3曲についておうかがいします。まずは『Never say never』なんですが、これを作ることになった経緯は?

遠山 『Never say never』は、何かに使えるようにとデモ版のストックを作っておいた中の1曲でした。それを聴いた石原が、「これを『シンデレラガールズ』に使いたい」と言ったんです。ただ、僕は当時、『鉄拳タッグトーナメント2』で忙しくて。本来であれば作詞、作曲、編曲などなんでも自分でやってしまうところなんですが、余裕がなかったので、作詞や編曲はほかの方にお願いしました。

中川 あれ? デモ版以降は完全にノータッチなんだっけ? CDサイズの尺延ばしはしたんじゃないの?

遠山 いえ、それも編曲の方にやっていただきました。

北口 そんな秘密があったんですね。収録には行かれたんですか?

遠山 収録は行きました。福原(綾香)さんは、歌の収録がほぼほぼ初めてだったので、けっこう時間がかかった気がします。福原さんがすごいのは、収録のあいだにも成長しているんですよ。たとえば、収録の始めと終わりでは、完成度がぜんぜん違う。いまもライブを重ねて、どんどん上手になっているので、いまの福原さんで収録し直してみたいなんて思ったりもしますね。

北口 “『Never say never』バージョン2014”みたいな音源は聴いてみたいですね。続いての『Naked Romance』は、遠山さんには珍しい、ド直球のアイドルソングですね。

遠山 あれも、中川さんから「お願いできる?」と言われて。『Next Life』とか『THE IDOLM@STER 2nd-mix』をやっていたので、トランス系かなと思って打ち合わせに行ったら、かわいい曲を作ってくれと。しかも、中川さんからはリミッターをはずしてくれと言われ、石原からは「かわいい曲で!」とプレッシャーをかけられました(笑)。「かわいい曲はいいけど、歌詞が誰が書くの?」って言ったら、「いや、それは遠山が」って。

北口 リミッターを外した結果、「ちゅっちゅっちゅっちゅわ~」が生まれたと(笑)。

遠山 そうです(笑)。かわいい曲を作ったことはありますが、あそこまで直球なのは初めてなので、新鮮でしたね。ただ、ほかの『アイマス』曲ではボツを食らうのに、『Naked Romance』はメロディーを少し直したくらいで、ほぼ一発でオーケーだったんです。曲が完成した後で石原からメールが来て、「『Naked Romance』いいね」って書いてあったので、ああ、よかったと(笑)。

中川 あのとき、僕は足の骨折で休養していたので、レコーディングに立ち会えなかったんですよ。どうだったの?

遠山 順調でしたよ。イメージも思った通りでしたし、津田さんに合いの手を入れてもらったんですが、想定よりもかなりかわいくなって。

中川 声優さんの本歌が入ると、ぜんぜん違うよね。

遠山 そうですね。仮歌と本歌は本当に違います。声優さんは歌手の方と比べて、歌詞を言葉として歌ってくれるというイメージが強いです。そういう、言葉の説得力があるんですね。だから、仮歌の方がどんなにすごくても、声優さんが歌うとバシッとはまるというか。

中川 『アイマス』は音程を合わせるというより、半分セリフのように歌ってほしいと思っていて、そこを重視しています。演者さんだから、セリフのように表現できるんです。それはすごいことだし、声優さんが歌う意味っていうのもあるのかなと思います。

北口 声優さんならではの歌があるんですね。最後の1曲は、『Nation Blue』ですが、これも中川さんからのご依頼だったんですか?

遠山 いえ、これは日本コロムビアさんからでした。僕が会社を辞めたその夏にメールがきまして、新しいアルバムのシリーズを作るので、その中でクールの曲を作ってほしいと。今回は“宝石”と“青”がコンセプトなので、そのあたりをキーワードに作ってくださいとお願いされたんです。そこから、キラキラしたような曲を作りたいと思い、ああいった曲調にしました。

北口 かっこいいですよね。僕も大好きです。

遠山 ありがとうございます。もうひとつ思っていたのが、プロデューサーとしての思いとか、そういうものも込めたいということでした。会社を辞めて、『アイマス』の仕事ができなくなるかもしれないというところでお話をいただいて、すごくうれしかったんです。

北口 舞浜のライブ(THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 1stLIVE WONDERFUL M@GIC!!)でも『Nation Blue』は歌われていましたよね。

遠山 あれは泣けましたね……。765プロメンバーの『アイマス』は途中からの参加でしたが、『シンデレラガールズ』は最初のCDから携わっていました。その初ライブの初日に立ち会えるというのがうれしかったですね。舞浜の1日目は、まわりのプロデューサーの方々もざわざわしていて。あの瞬間はすごかったですね。

北口 『シンデレラガールズ』のセカンドライブは2014年11月30日に控えていますが、そちらも楽しみですね。ちなみに、遠山さんの『アイマス』楽曲と言えば、頭文字が“N”から始まるというのがファンのあいだでネタになっています。あれは狙ってつけたものなのでしょうか?

遠山 いえ、そうじゃないんですよ。『Next Life』のときはそんなことを意識はしていなかったし、『Never say never』のタイトルも僕がつけたわけではないので。でも、そうやって頭文字Nが連続しているときに『Naked Romance』って自分でつけちゃって、「これは続けるしかなくなってしまった」と。だから、『Nation Blue』と『Nostalgia』は意図して命名しました。新曲を紹介したニコ生のときに、坂上さん(※4)が『Nostalgia』を紹介していましたけど、コメントで「Nで始まってこの曲調はAJURIKAだろ」って言われていて、バレちゃってましたね(笑)。
※4……『アイドルマスター』シリーズ総合プロデューサーの坂上陽三氏。

リミッターを振りきったリミックスCD

北口 今年の7月には、クラブリミックスCD(※5)が発売されました。遠山さんもリミックスを手掛けていますが、これはどのような経緯で?
※5……2014年7月23日に発売された『The Remixes Collection THE IDOLM@STER TO D@NCE TO』のこと。価格は1800円+税。

遠山さんインタ/COCX-38668

▲ダンスリミックスCDのジャケット。

中川 この企画は、日本コロムビアさんからの提案です。リミックスCDを出したいという話があったんですが、楽曲をリミックスしたCDとしては『PERFECT IDOL』シリーズ(※6)が過去にありましたが、今回はもっと原曲を壊していきましょうと。それで、クラブリミックスCDを作るなら、遠山くんに頼まないわけにはいかないということで、お願いしました。
※6……テレビアニメ『アイドルマスター』のDVD/BDの完全生産限定版の特典ディスクとして付属。

北口 遠山さんは、『スタ→トスタ→』と『キミはメロディ』のリミックスを担当されています。曲選びはご自身で行ったんですか?

遠山 『スタ→トスタ→』は、指名でやってくださいとお願いされました。『キミはメロディ』のほうは、何曲かある中から自分で選びましたね。

中川 曲に関しては、アイドルや曲調のバランスを取って、こちらでセレクトしました。その中から選んでもらったんです。ただ、『スタ→トスタ→』を振ったのは、とくに理由はなかったけど(苦笑)。

遠山 そうだったんですか(笑)。『キミはメロディ』を選んだのは、内田さん(※7)の曲が好きだったからですね。内田さんの曲は僕と同じで、4つ打ち(※8)のものが多いので、リミックスもしやすいかなと。
※7……バンダイナムコスタジオでサウンドを担当する内田哲也氏。『アイドルマスター』シリーズのサウンドディレクターとして、『お願い!シンデレラ』、『七彩ボタン』、『CHANGE!!!!』などを手掛ける。
※8……4拍子のダンスミュージックにおいて、バスドラムを等間隔で鳴らすリズムのこと。

中川 確かに、ウッチー(内田氏)の曲は4つ打ちが多いね。

北口 『キミはメロディ』と『スタ→トスタ→』のリミックスのコンセプトは?

遠山 『キミはメロディ』は最初、『Next Life』みたいにしようと思ったんです。テンポ的にも『Next Life』といっしょだし。ただ、それはできるだろうけど、予定調和でおもしろくないなと思ったんですね。『Next Life』や『THE IDOLM@STER 2nd-mix』を作った僕が、いつものように『キミはメロディ』をやっても、予想の範囲内で新鮮味はないだろうと。だから、別の方向性にしようと思い、ふだんでは出せないような低音を出したりして、リミッターを外しました。『スタ→トスタ→』のほうもそんな感じで、「最近自分が好きなジャンルの曲をやりたい!」という気持ちで作っています。このアルバムは本当に自由にやらせてもらって、ありがたかったですし、楽しかったですね。

よもやま話とか

北口 ご自身が作った曲以外で、好きな楽曲とかってありますか?

遠山 う~ん、悩みますけど……。ライブとかで聴いてすごいなと思ったのは『隣に…』ですかね。たかはしさんの歌声ももちろんなんですけど、椎名くんのコード進行が、絶対に自分では行かないところに行くんですよ。自分が持っていないものが詰まっているので、すごいなと思います。

北口 今回の新曲だと、千早の『細氷』が椎名さんの曲ですよね。あれも椎名さんのワールド全開というか。

遠山 ただ、椎名くんの曲は、ゲームをプレイするときはリズムが取りづらいので、困るんですけど(笑)。

中川 そういえば、リンダ(※9)が、椎名の後はツラいって言ってたのを思い出した(笑)。
※9……LindaAI-CUEこと石川哲彦氏。バンダイナムコスタジオ所属の作曲家で、『エージェント夜を往く』、『Honey Heartbeat』などを担当。

北口 えっ、そうなんですか?

中川 椎名の『隣に…』の後、リンダは同じあずさが歌う曲として『Mythmaker』を作っているんです。あとは、『太陽のジェラシー』の後に『I want』を作ったりも。椎名の曲はキャラクターを昇華させるものが多いので、プレッシャーがキツいって意味で、椎名の後はツラいと言っていたんですよ。

北口 なるほど(笑)。

遠山 今回のリンダさんの曲(『絶険、あるいは逃げられぬ恋』)、めちゃめちゃ好きなんですよ。リンダさんもいい意味でぶっ壊れたというか、僕じゃできないような曲の展開をするんですが、今回はそれがぜんぜんなくて。最初、リンダさんが作ったと信じられなかったですもん。

北口 確かに、いままでのリンダさんの曲とは、ぜんぜん方向性が違いますよね。あと、話は変わるんですが、遠山さんと言えば原さんの『Next Life』(※10)……。
※10……9周年ライブツアーの大阪公演で、原由実さんが『Next Life』を歌った。

遠山 あー……。聴きたかったなあ……。

北口 一気にテンションが下がってしまった(苦笑)。

中川 あれさ、歌うって聞いてたら来てた?

遠山 僕、じつは聞いてたんですよ。その直前に『アイステ+』(※11)の収録があって、沼倉さんが「由実ちゃんが歌うんですよ」って。「え~~!? 聞きたい!」ってなったんですけど、ライブのつぎの日が仕事の締切だったので、どうがんばっても行けず……。
※11……原由実さんと沼倉愛美さんがパーソナリティーを務めるラジオ番組『THE IDOLM@STER STATION!!+』のこと。毎週月曜24時~24時30分、超!A&G+にて放送中。

中川 それはツイてなかったね……。招待はできたんだけど。

遠山 行きたかったなあ……。『Next Life』を原さんが歌うって聞いたときは、どんなものになるのか、ぜんぜん想像できなかったんですよ。沼倉さんみたいに歌って踊れるのかなって心配だったのが、後から評判を聞いたら、沼倉さんとは違うものがそこにあったって。

北口 そうですね。沼倉さんの『Next Life』とは、また違った魅力があったと思います。

遠山 もう、今後やらないですかね?

中川 まだ9周年ツアーは東京があるから、言えない(笑)。

遠山 やってほしいなあ(笑)。

北口 いつか聞ける機会があるといいですね(笑)。では、最後にプロデューサーの皆さんにメッセージをお願いします。

遠山 僕は全員クリアーを目指してがんばりますので、皆さんはぜひ美希シナリオを遊んでいただいて、『Nostalgia』を聴いてみてください。よろしくお願いします!


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『アイドルマスター ワンフォーオール』プロデューサー活動日誌

ゲームデータ
 タイトル :
アイドルマスター ワンフォーオール
 ハード :
プレイステーション3
 ジャンル :
シミュレーション
 テイスト:
アイドル
 発売日 :
2014年5月15日発売
 販売価格 :
7600円[税抜](8208円[税込])、ダウンロード版は7600円[税抜](8208円[税込])、765プロ 新プロデュースBOXは11880円[税抜](12830円[税込])

『765プロ 新プロデュースBOX』内容物一覧
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