2014年9月9日(火)

川越で全盲の女子生徒蹴られる つえにつまづいた腹いせか

女子生徒が足蹴りの暴行を受けたJR川越駅コンコース。事件は改札から西口ロータリーに下りる階段(手前右側)までの間の点字ブロック上で発生した=川越市脇田本町

 県立盲学校「塙保己一学園」(川越市笠幡)に通学する全盲の女子生徒が登校途中、JR川越駅コンコースで何者かに足を蹴られる事件が発生していたことが9日、分かった。女子生徒の白いつえにつまずいた腹いせに暴行を加えたらしい。先月末には、さいたま市の全盲男性が飼っていた盲導犬が鋭利なもので刺される事件も発覚しており、度重なる事件に関係者は「社会的弱者に対する卑劣な行為」とショックを受けている。

 同校と女子生徒によると、8日午前7時50分ごろ、川越市脇田本町、JR川越駅構内のコンコースで、点字ブロック上を歩いていた女子生徒の白いつえに前方から来た人がつまずいて転倒した。その直後、何者かが後ろから女子生徒の右足を1回蹴り、立ち去った。女子生徒は一瞬よろけたが、そのまま同駅西口のスクールバスのバス停に向かい、登校した。

 相手は無言だったため、性別は分からず、暴行を受けた際、女子生徒は「あんた。何をやっているんだ」との近くで目撃した男性の怒声を聞いていた。女子生徒は登校した後に病院で診察を受けたが、膝の裏を蹴られたため、立ったり座るなどの屈伸をすると痛みを覚えるという。

 女子生徒は今年4月から、鍼灸(しんきゅう)を専門に勉強する同校高等部専攻科に在籍。自宅から1人で電車通学をしている。女子生徒と保護者は近く、川越署に被害届を提出する予定。

 9日、取材に応じた女子生徒は「以前からつえにつまずく人はいたが、暴行を受けたのは初めて。蹴られた時は何が起きたか分からず、怖かった。私を蹴った人には前を向いて歩いてほしいと思う。今後は、自分と同じ立場の後輩たちが同じ目に遭わないかどうかが心配です」と話した。

 荒井宏昌校長は「無防備な女子生徒への暴行は許し難い。言いたいことがあるのなら、口で話してほしい。盲導犬が虐待された事件があったばかりだが、社会の中で障害者への配慮が欠けているように思う。障害者を見守り、助けてあげてほしい」と訴えている。

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