0.01%=100%=0%
なんのこっちゃと思われるかもしれませんが、これは私個人の数式です。
全身麻酔ということに抵抗感や拒絶感を持たれる方は少なくありません。
全身麻酔は危険、怖いという気持ちからでしょう。
そしてそれはYesでありNoでもあります。
麻酔事故は資料に寄って違いますが1万件に1件の割合で起っていると言われています。
確率として0.01%です。
(データによると1000件に1件=0.1%という数値もあるそうです)
じゃあ全身麻酔は安全かと言われればそれもYesでありNoでもあります。
0.01%(0.1%)というのは我々獣医師側からの確率であり、もしその事故に当たってしまった飼い主さんからすれば100%ということになります。
ですから全身麻酔が絶対に安全とは言えませんし、全身麻酔は絶対に危ないとも言えないんです。
だからといって全身麻酔をしない訳にはいかない場合も多々あります。
通常の手術、特に命に関わる手術に関してはそんなこと言ってられません。
麻酔で死ぬか、病気で苦しみながら死ぬかの選択になるからです。
人類は未だかつて副作用の無い薬を開発できてはいません。
麻酔薬もしかりです。
でもその副作用をいかに少なくするか、副作用の発現を少なくするかという研究者の方々の努力の結晶で0.01%以下になっています。
そしてさらにそれを低くするためにも臨床医はその麻酔薬の使い方を試行錯誤してきましたし、現在もそれは続いています。
注射麻酔・拮抗薬
当院にある麻酔薬です
ここに写っているのは当院では筋肉注射で行なう麻酔薬です。
そして拮抗薬(麻酔の作用を打ち消す薬)も写っています。
保安上の関係から薬剤名は表記しません。





静脈麻酔
静脈注射で使う麻酔薬です。
当院では通常これだけで麻酔を維持するのではなく、気管挿管するための麻酔導入薬として使います。









ガス麻酔
ガス麻酔です。通常は液体ですが、麻酔器に入れる事で気化させ、気体として気管チューブを通して全身麻酔状態を維持します。

動物病院によって好みがあったり、使い慣れていたりで使う麻酔薬の種類は異なると思います。
手術や処置の内容、動物の状態、その他諸々の条件を考慮し、単独で使ったり、いくつかの麻酔薬を組み合わせて使ったりとできるだけ安全に気をつけながら麻酔薬を選択していきます。
確かに0.01%に当たってしまったらという恐怖感はあると思います。
ですが、我々もその0.01%が限りなく0%になるよう考え、ありとあらゆる状況を想定し、努力していることも知っていただきたいと思っています。
ですから全身麻酔が必要なら治療や手術はしないという短絡的な結論を下すのではなく、麻酔のリスクと病気のリスクとをしっかりと考えて、そして主治医の先生としっかり納得するまで相談してから決断して欲しいと思いますし、冒頭にも書きましたが、我々獣医師は麻酔事故の確率は0.01%という数字は我々獣医師側の数値であって、飼い主さんからすれば100%にも0%にもなり得るという事を忘れてはいけないと思います。
ですから麻酔に対しての恐怖感を持つのは構いませんが、必要以上に恐れて動物達のQOLを低下させることの無いように皆さんがそれぞれ考えて欲しいと思います。

病院のHPはこちら
http://www.adachi-vet.com/

今日、昼休みの時間に病院の前をデモ隊が通りました。
「平和」を叫んで通り過ぎていきましたが、そしてもちろん平和は私も願っていることではありますが、大音響のスピーカーで叫びながらというのは・・・
オペの途中であればモニターの音が聞こえなかったであろうし、診察時間中であれば問診もままならなかったかもしれません。
聴診も難しかったかもしれません。
幸い診察時間外だったのと、オペもなかったのですが・・・・
今日はオペも無く、平穏な昼休みのはずが・・・・
平和を叫び、呼びかけるのは大事だとは思いますが、残念ながら私の平和な昼寝の時間は崩れ去りました(笑)