【ロッテ】里崎引退「悔いは全くありません」5月手術の左膝回復せず決断
ロッテの里崎智也捕手(38)が11日、今季限りでの現役引退を表明した。5月に手術した左膝が回復せず、16年のプロ生活に終止符を打つことを決断。12日に本拠地・QVCで記者会見を開く。球団は今季終盤にQVCで引退セレモニーを行う方向で調整中。2度の日本一と06年WBC制覇に貢献し、明るいキャラクターで愛された背番号22は「悔いは全くありません」と、すがすがしい表情を浮かべた。
いつものように笑っていた。QVCを訪れた里崎は笑顔を絶やさず、首脳陣、チームメート、スタッフに引退を報告した。ロッテの扇の要として駆け抜けた16年の現役生活。「幸せ」と実感したからこそ、ずっと笑っていた。
「悔いは全くありません。こんな幸せな野球人生を送れたのは、どんな時も応援してくれたファンの皆様、そして関係者を始め、いろいろな形でサポートしてくれた方々のおかげと思っています」
舞台が大きいほど輝いた。05年プレーオフ第2ステージ最終戦(第5戦)では8回に逆転二塁打を放ち、ロッテを31年ぶりのリーグ制覇に導いた。06年WBCでは打率4割9厘でベストナインを射止め、王ジャパン世界一に貢献。10年CSでも4割超の打率を残した。
今季は5月に左膝を手術。「野手だったら1か月くらいで戻れたけど、捕手はそうもいかない」。打撃を含め、捕手以外のポジションであれば復帰は可能だったが、生涯一捕手を貫いた。同時に、自身も指導してきた田村ら若手の成長を感じ、潔く身を引く決断を下した。
QVCに出向く前には、2軍本拠地のロッテ浦和であいさつ。ナインの手で胴上げされると、笑顔で言葉を紡いだ。
「本当は『古谷! 俺がいないとダメだとか言って、2軍でくすぶってるんじゃないぞ!』とか、一人ひとりに言いたかったけど、名前を挙げていくと感極まって泣きそうになるから。それに話が長くなりすぎて『サト、そろそろ…』と言われるからやめました」
球団はロッテ一筋の功労者に対し、今季終盤に引退セレモニーを行う方針。「引退試合もやってくれるかもしれないし、体はつくっておかないと」。里崎はそう言い残し、澄み切った表情でトレーニング室に向かった。
◆里崎 智也(さとざき・ともや)1976年5月20日、徳島県生まれ。38歳。鳴門工から帝京大を経て、98年に逆指名によりドラフト2位でロッテ入団。2006年WBCは打率4割9厘でベストナイン。06、07年にベストナインとゴールデン・グラブ賞獲得。08年には北京五輪に出場。通算成績は1088試合に出場し、打率2割5分6厘、108本塁打、458打点。175センチ、94キロ。右投右打。年俸1億6000万円。