衆院選挙制度改革を検討する国会の第三者機関「衆院選挙制度に関する調査会」は11日、国会内で初会合を開いた。佐々木毅・元東大学長を座長に選出し、小選挙区の「1票の格差」是正の議論を先行させた上で、選挙制度のあり方や定数削減に移ることを確認した。2016年12月までの衆院議員の任期を念頭に答申をまとめる。
諮問した伊吹文明衆院議長は「各党が議論しまとめきれなかった。調査会に協力してもらわないといけない」と述べ、答申を重視する考えを強調した。
調査会では1票の格差是正に続いて、現行の小選挙区比例代表並立制や各国の選挙制度の検証、定数削減、理想的な制度のあり方の順番で議論する。方向性がまとまった論点から答申を出すことも検討する。
佐々木氏は会合後の記者会見で「衆院議員の任期を念頭に立法作業や周知期間も考慮して答申をまとめたい」と語った。
衆院議長の下に初めて選挙制度の諮問機関を設置するのは、与野党各党の主張に開きがあり、協議が難航したためだ。
衆院選は小選挙区比例代表並立制で、次回から小選挙区を「0増5減」するため定数は475(小選挙区295、比例代表180)になる。最高裁は13年11月に最大2.43倍だった12年衆院選の1票の格差を「違憲状態」と判断し、国会に対応を迫っている。「0増5減」により、格差は2.11倍(14年1月時点の試算)になるため、自民党には「格差是正は当面必要ない」との意見もある。
定数削減に関しては、12年11月の党首討論で、当時の野田佳彦首相(民主党代表)と安倍晋三自民党総裁が13年通常国会で結論を得ると約束した。民主、日本維新の会、みんな、結い、生活の野党5党は2月、小選挙区を「0増5減」した後に「5増30減」か「3増18減」する案をまとめた。
佐々木毅、加藤淳子、伊吹文明、野田佳彦、安倍晋三