ちょっと遅れましたが、デング熱のことを聞かれたので、書こうと思います。
デング熱、デング出血熱はフラビウィルス属のデングウイルスによって引き起こされる感染症です。
ある意味平和ボケしている日本では海外ではどうであれ、日本で発生しない限りは大騒ぎにはなりません。
残念ながら・・・
もちろんデング熱も以前から本来であればいつ日本に入って来てもおかしくはないというのが感染症学での見知でしたが、やはり日本に入ってくるまでは全く無防備だったことを露呈してしましました。
ちょっと古い本ですが一部引用します(獣医公衆衛生学 文永堂出版)。

疫学:デングウイルス感染症は拡大傾向にあり、現在世界の熱帯、亜熱帯地域のほぼ全域にみられる。年間1億人がデング熱を発症し、50万人以上がデング出血熱を発症すると推定されている。東南アジア、中南米において患者発生が多い。デングウイルスは蚊によって媒介される。

ヒトスジシマカ
その蚊がネッタイシマカやヒトスジシマカです。
写真の蚊が日本に普通にいるヒトスジシマカです。
(写真は国立感染症研究所 昆虫医科学部より引用)








症状:デング熱は約2〜7日の潜伏期の後に、高熱、頭痛、腰痛、結膜充血および顔面麻痺が見られる。デング出血熱は発熱・出血傾向、循環障害を呈し、特にデングショック症候群の場合は適切な処置を施さないと12〜24時間でショック死する可能性が高い。

とまあ、このあたりまではテレビでも新聞でも書いてある通りです。
今日のメインは2つ。
一つ目は犬や猫にも感染するのか?という質問に対してです。
答えは感染しません。
ネットを見ると感染はするが、不顕性感染(感染しても症状を呈さない)と書いてある記事もありますが、人と一部の霊長類以外は感染しませんので、もちろん犬や猫には感染しません。
必ず、人→蚊→人→蚊・・・・・の感染経路のみです。
もちろん人から人へも感染しません。
なので、犬や猫から人へ感染する事もありませんし、皆さんが飼われている犬や猫、その他の動物(サルは除く)に感染する事はありませんので、その辺りは安心して下さい。

2つ目はやはり日本(日本人)は感染症に対して無防備というか、言葉を悪く言えば平和ボケしているのが露呈されてしまった事です。
デングを始め、マラリア、ウエストナイル熱などの特に蚊によって媒介される感染症は危惧されていましたが、全く無防備でした。
今日、飼い主さんに「ダニのウイルスって?」とも聞かれました・・・・
あれだけニュースになったのにもう忘れてる・・・

そういえば・・・
数年前にフィリピンで狂犬病に感染し、日本に帰国後発症、死亡するということがありました。
その年は狂犬病のワクチンが殺到しましたが、次の年からまた来なくなるという結果になりました。
言い方は悪いですが、熱しやすく冷めやすい、そしてすぐに忘却する平和ボケの日本人。
防げる感染症で、防げる手段があるのなら(100%でなくとも)、やっぱり予防するに超した事はないし、予防をして欲しいと思います(犬や猫なら狂犬病、混合ワクチン、フィラリア、ノミ・ダニなどなど・・・)。
しかも狂犬病予防は「法律で定められてる」ということを忘れずにいてください。

ちょっと昨日はバタバタで久しぶりに更新できませんでした。
今日からまた頑張って更新です。

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