男性の喉元を手で押さえて恫喝(どうかつ)し、女性の腕をねじり上げる。こんな暴力が名護市辺野古沖で日常化している。しかも市民に暴力を振るっているのは国家公務員の海上保安官である。
米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対する市民の抗議行動を暴力で抑え付けることは、断じて許すことはできない。
複数の市民が負傷しているが、海上保安庁は「把握していない」とし、改める気配はない。報道されているにもかかわらず、事実把握に努めないのは暴力を容認していることの表れではないか。海保内では、暴力で排除するとの警備方針が確立されていると思わざるを得ない。
海保はいつから暴力的組織に成り下がってしまったのか。
海保は、立ち入り制限区域を示すフロートの内側に入っての抗議行動を「犯罪」とし、市民の一時拘束を「安全確保のための任意同行」としている。
海保の言う「安全確保」が掘削現場の安全を指し、抗議する市民の安全を一切考慮していないのは一連の行為からして明らかだ。
海上保安庁の佐藤雄二長官は「安全確保のため現場はよくやっている」と評価している。信じがたい発言である。トップ自ら暴力を容認することはどう考えてもおかしい。
第11管区海上保安本部は一連の警備を「過剰警備には当たらない」としている。フロート内に入った男性は海上保安官2人がかりで海中に数回沈められ、命の危険を感じたという。このような暴力行為が過剰警備でなく何なのか。
フロート内に市民を入れないことが海保の任務ならば、体力的に勝る海上保安官が暴力を使わずに市民をフロート外に出すことは、たやすいはずである。そのような対応を取らずに、暴力で排除することは常軌を逸している。直ちにやめるべきだ。
海上保安官3人に羽交い締めにされて後頭部を船底に打ち付けられ、全治10日の頸椎捻挫を負ったという男性の刑事告訴を那覇地検が受理した。
海上保安官が3人も特別公務員暴行陵虐致傷容疑で告訴され、地検が受理したことを海保は重く受け止めるべきである。暴力警備を続けるのは理解できない。
海保は無抵抗な市民に暴力を振るう異常さに気付き、警備活動から手を引くべきだ。
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