成功するスタートアップには共通点がある

【特別鼎談】出資の決め手になるものとは何か

 
音量にご注意ください
「いいVC、悪いVCとは?」「元気な起業家は増えているのか?」「国の起業家支援、どうすればいい?」――。こうした数々のテーマについて語り合った。
お招きしたのは独立系VCとして発展を続けているグロービス・キャピタル・パートナーズのマネージング・パートナーを務める仮屋薗総一氏、米国企業のCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)であるセールスフォース・ドットコムのコーポレートディベロップメントシニアディレクターとして日本での投資を推進する倉林陽氏。前編では、「あるべきVC」について議論が盛り上がった。

 

伊佐山:最初に「いいVC、悪いVCとは?」というテーマをいただきました。でも、悪いVCについて語るのは簡単ですけど、何かを批判した記事って、読んでいてワクワクしないんですよね。いいVCとはどんなVCかを議論すれば、その逆がダメなVCということになるので、いいVCについてご意見を聞きたいと思います。仮屋薗さんは1990年代から投資をされていますが、いいVCとはどんなVCだと思いますか。

仮屋薗:起業家と同じ船に乗って同じ方向を見られることでしょうね。起業家の立場で経済的なリスク・リターンについて考えて、それを起業家に対して説明できて、最後に契約書に落とせる。当たり前のことですけど、今までこれができているVCがほとんどなかった。でも今は皆さんレベルが上がってきているんじゃないでしょうか。

最近、「Yahoo!知恵袋」に、「倒産した会社の社長って、倒産したあと何をしているの?」という質問が載って、それに対する回答が話題になっていたんですね。つまり投資を受けたからといって調子に乗って給料を1000万円くらいもらい、いい生活をしていた社長も、倒産後は一文無しになってみじめなものだ、というような内容です。

その記事に対して、nanapiのけんすう(古川健介氏)さんが、VCに対する誤解を解くようなブログを書いていたんですよ。つまり今のVCには個人保証もないし、マイナスのリスクを取らなくてもいいように設定されているから、少なくとも2010年以降で、VCから1億円以上の投資を受けた結果、極めて悲惨な末路になっているケースはたぶん皆無だと思いますというようなことを書いていらしたんです。VCもずいぶん進化しているんですよ。

キャッチアップしつつある日本のVC

仮屋薗総一(かりやぞの・そういち)●三和総合研究所での経営戦略コンサルティングを経て、1996年、グロービスのベンチャーキャピタル事業設立に参画。1号ファンド、ファンドマネジャーを経て、1999年エイパックス・グロービス・パートナーズ設立よりパートナー就任、現在に至る。慶應義塾大学法学部卒、米国ピッツバーグ大学MBA修了。

伊佐山:そうですね。日本のVC産業はシリコンバレーと比べて20年ぐらい遅れているけれど、だんだんキャッチアップしていると思います。以前は銀行系とか、いわゆる間接金融的な文化が強かった。

契約条件も一方的で、悪くいえば搾取しているような条件もあった。VCと起業家のあいだにも上下関係があって、「お金の出し手のほうが偉い」みたいな文化がずっと続いてきました。

でもシリコンバレーでは起業家が王様であり、起業家が自分の夢を達成しやすいようにVCを選ぶので、ある意味、対等です。その文化がだいぶ日本でも浸透してきたように思います。

1990年代はまだVCについての情報がほとんどなくて、一部のマニアしかシリコンバレーのVCの実情を調査していなかった。でも2000年代になると、ブログなどから情報をどんどん得られるようになった。

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