DATAで見るケータイ業界
スマートフォン「画面大型化」の歴史を振り返る
(2014/9/12 10:00)
9月19日に発売されることが発表された「iPhone 6」「iPhone 6 Plus」。画面サイズはそれぞれ4.7インチ、5.5インチとなっており、「iPhone 5s」の4インチから大型化しているのが特徴として挙げられる。タブレットとスマートフォンの中間に位置する「ファブレット」なるキーワードの出現が端的にあらわすように、スマートフォン端末は「大型化」を繰り返して現在に至っていると言えるだろう。そこで今回は、スマートフォン端末の画面サイズの推移をまとめてみたい。
上のグラフは、2011年度上期(2011年4月〜9月)以降に各携帯電話会社が発売したAndroidスマートフォンについて、画面インチ数別の分布状況を示すとともに、各期間における平均インチ数の推移を示したものである。ここでは、iPhoneなどAndroid以外のOSを搭載したスマートフォン、および7インチ以上の端末については対象外としている。
2011年度上期の段階では、3インチ台と4インチ台の端末がほぼ同数発売される状況だったが、2011年度下期に入り中心サイズが4インチ台にシフトしている。3インチ台の端末は2013年1月にソフトバンクモバイルが発売した「HONEY BEE 201K」を最後に、新機種の発売は行われていない。
一方、2012年度上期に入ると5インチ台のスマートフォンが市場に初めて投入された。国内で最初の5インチ台スマートフォンは、今から約2年半前の2012年4月にNTTドコモから発売された「GALAXY Note」。NTTドコモは、2012年8月にはさらに「ELUGA power」「Optimus Vu」と、5インチ台のスマートフォンを2機種も発売している。しかし、一部で5インチ台の端末がみられるものの、2013年度上期まではラインナップの中心はあくまで4インチ台であった。
この傾向が崩れたのが2013年度下期で、ついに5インチ以上の端末数が4インチ台の端末数を上回った。2013年度下期には、KDDI(au)から6インチ台のスマートフォン「Xperia Z Ultra」「G Flex」も発売され、タブレットとの境界線があいまいになったのは記憶に新しいところだ。
2014年度上期に至っては、4インチ台のスマートフォンは少数派になっている状況だ。平均インチ数の推移をみても、2011年度上期には平均3.88インチだったものが2014年度上期には平均5.00インチと、平均でも5インチの大台に乗せるに至っている。
以上、駆け足ではあるが、Androidスマートフォンの画面サイズの変遷を取りまとめてきたが、果たしてここまでの急速な大型化がすべての顧客に受け入れられるのかという疑問も湧いてくる。確かに新機種の開発において、画面サイズが大きくなることは見た目のインパクトもあり強いセールスポイントとなるだろう。しかし、4インチ台前半が主流だった2年前にスマートフォンを購入した利用者には、買い替えようと思った時に今までと同じ大きさの端末はほとんど選択肢がないのが現状である。
今後もさらに大型化が進むのか、逆に一部で小型サイズの端末が復活するのか、これから発表される秋冬モデルに注目していきたい。
URL
- 参考資料:Mobile Basic Data(モバイル基礎データ)
- http://www.mca.co.jp/mbd.html
最新記事
- スマートフォン「画面大型化」の歴史を振り返る[2014/09/12]
- 携帯各社のLTE基地局展開と周波数の関係[2014/09/05]
- 音声通話定額プランが携帯会社の売上に与える影響を読む[2014/08/29]
- 携帯乗換時に重視したポイント[2014/08/22]
- NFVがもたらす通信ネットワーク分野へのインパクト(2)NFV通信関連インフラ市場の成長性[2014/08/07]
- NFVがもたらす通信ネットワーク分野へのインパクト(1)オープン化へ踏み出すベンダ市場[2014/08/01]
- パナソニック、Nokiaへの基地局関連事業を売却報道で透ける市場構図の変化[2014/07/25]
- 中古携帯端末の購入経験者アンケートから端末利用実態を探る[2014/07/18]
- MNPを含む他社への乗り換え実態[2014/07/11]
- 新たに立ち上がった完全音声定額サービスへ至る流れをARPUトレンドから考察[2014/07/03]