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21世紀、亡びゆく世界の言語とそれを話す人びと・・・

 世界の言語の数を知っているだろうか。なんとそれは、7000にものぼるという。

「亡びゆく言語を話す最後の人々」(原書房)という本で、著者のK・デイヴィッド・ハリソンはこう書いている。

 ウィキペディアは250種類の言語で1070万本の記事を載せているが、その数は世界70000種類の言語のわずか3.6%にすぎない。人間の知恵、私たちの共有する知的財産のうち膨大な部分は、いまだに一度も、どこにも書きとめられていないのだ。

 世界には、「文字」になっていない言語もたくさんある。ハリソンによると、それは世界の言語の8割にものぼるそうだ。

5434630216_a354513844_zTop photo by Dietmar Temps

 しゃべることはできても、書きとめられない言語。そういう場所では、人間の知識や文化は人々の記憶の中だけにあり、そういう記憶が親から子へ、そして孫へと口伝えされてきた。

 先住民族ユピク族は、北極という過酷な土地で6000年以上も生き抜いてきた。だからかれらの言語には、生存のための知恵が息づいている。ハリソンの本では、ユピク族が海の氷を99種類も分けていて、それらひとつひとつに特別な名前をつけていることが紹介されている。

Qenu:まだ新しい雪泥。最初の寒気到来のころにできる。
 
Pequ: 圧力隆起によって氷が盛りあがる状態。膨張した部分が割れて崩れると、その下の海水が洗われる。歩くのは非常に危険。 

Nutemataq: 古い氷盤で厚みがあり、かなり長い期間が経過していると思われる雪塊が載っている。歩いても安全。 

Nuyileq: 砕氷で、解けはじめている。歩くのは危険。水が入り込むようになるため、アザラシが氷上に現れることがある。

 たったひとつのことばに、たくさんの知恵が込められているのがわかる。でもこういう素晴らしい民族の文化は、20世紀になってからどんどん失われてきている。無数の民族の知恵が、消えて行こうとしているのだ・・・。

Top photo by Dietmar Temps

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