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2014年9月9日、中国・新疆ウイグル自治区で「中国最強少林寺僧 vs 日本コスプレファイター」という格闘技戦が行われた。このコスプレファイターとは、美少女コスプレやアニヲタ発言で有名な「長島☆自演乙☆雄一郎」選手だ。

中国の最強少林寺僧こと「一龍」選手はカンフー界のヒーロー、外国人に負けてはいられない。しかも、この試合自体が「新疆ウイグル自治区成立60周年記念」という香ばしさを醸しており、漢族である一龍選手が勝利すれはこれほど “美しい” ストーリーはなかった。

見えない闇の力が働いてもおかしくはない中国。だが、実際の試合はというと……勝利を収めたのは長島選手だったのだ!

・中国最強武僧 vs 自演乙

注目の試合は、9月9日にイリ・カザフ自治州コルガス(霍尔果斯)で中国の人気格闘番組『武林風(ウーリンフォン)』のプレミアムイベントとして行われた。

各国の選手の試合が行われるなか、「中国最強武僧 “一龍” vs 前代未聞のコスプレファイター “自演乙” 」はメイン試合という扱いだ。少林寺武術をはじめ、さまざまな中国武術を学び、武林風の顔でもある一龍選手にとっては中国武術界の威信をかけた戦いである。

・かねてより黒い噂のある『武林風』

実は『武林風』には、かねてより黒い噂があった。それはズバリ八百長だ。はっきりとした証拠はなく、あくまで噂の域を出ないが、番組制作者が視聴率のために勝負のゆくえを金で操作しているのではないかという疑惑だ。

「新疆ウイグル自治区成立60周年記念」のプレミアムイベントのメイン試合で、カンフーヒーローが日本のK1王者をブチのめすとなれば、中国的には盛り上がりそうな気がするが……。だが、中国メディアによると実際の試合運びはこうだったという。

・中国メディア「一龍が惨敗」

第1ラウンド、疲労の溜まった一龍の反応は鈍く長島の重い一撃を食らう → 第2、第3ラウンドは、一龍は積極的にラッシュをかけ優勢かと思われたが、判定で長島が勝利。

……とのことである。さらに詳しい内容は格闘技専門サイト『バトル・ニュース』などで確認できるが、中国メディアはこれを「一龍、日本のK1王者に惨敗」と報じている。

・少林寺僧の「反省」に感じられるガチさ

まさかの中国最強武僧の敗北。一龍選手はこの件に関し中国版Twitter・Weibo

「親愛なるファンのみなさん、昨日の失態は本当に申し訳ありませんでした。試合を振り返ると、(敗北の原因は)相手が強かったというのもありますが、タイトな試合スケジュールのため、体力の回復が間に合わなかったのもあると思います。プロの格闘家ならもっと十分に準備をして試合に臨むべきでした」

と、説明している。

実際、彼はこの10日間に3回も試合を行っている。7日の試合の後には股に痛みを感じており、走るのも困難な状態だったという。さらに試合会場まで車で6時間も揺られてくるなど十分な休息が取れなかったとのこと。それが影響して、試合中の反応が鈍くなり敗北に至ってしまったというのだ。

この説明に「言い訳がましい」という声もあるが、カンフー最強説を固く信じ、格闘家のたった一度の敗北も許されない中国では、ファンに対する精一杯の言葉だったのかもしれない。

・中国格闘技ファン「長島の勝利には驚かない」

だが何を言っても、中国の英雄が日本人に負けたという事実は変わらない。炎上していないかWeiboで確認したところ、

「次はしっかり休息をとって試合をしてね」
「不休の連戦だったんだから負けて当然。勝つ方がおかしい」
「このスケジュールを組んだ武林風が悪いなぁ」
「日本人のファイトスタイルは素晴らしいよ。金で動くタイとは違う」
「長島は元々日本準一流だ、彼の勝利には驚かない。それに長島はタイの選手みたいに金のため無節操になったりしない」

……と、意外なことに比較的冷静な意見が目立った。

・中国格闘技の存在感

試合後、長島選手は Twitter で「結果。二回ダウン奪って勝ちました。ただほんと中国の試合は厳しいね。」「相手の目やばかったですよ!」と、結果報告をしている。また Weibo では、中国語で「一龍はすごく強い。一龍、ありがとう。戦えて光栄に思います」とも。

かくして英雄は敗北した。しかし、さまざまな意味合いにとれる今回のカードは、中国で長島選手の強さを轟かせ、同時に日本に中国格闘技ならびにファンの存在を改めて世に知らしめたのではないだろうか? 

なお試合は、中国の河南テレビのほか今回に限り通常より38カ国多い52カ国で放送予定であるというが詳細は不明だ。ちなみに、今回の長島選手のコスプレは中国でも大人気の『ラブライブ!』“矢澤にこ” であったとのこと。こちらの映像も早く見てみたいぞ!

参照元:格闘迷中国経済網(中国語)、バトルニュース、Twitter @jienotsu、Sina Weibo @長島自演乙雄一郎009
執筆:沢井メグ

▼試合後の長島選手のツイート

▼一龍選手のKO集

▼こちらは2012年に行われた「一龍vs内山政人」戦(22:30~)