平成10年度 地域環境ジュニアパトロール活動報告書 グループ名 宝永エコプロジェク テーマ 芝原用水を美しくしよう メンバーの氏名 学校名 学年 台代 裕夢 福井市宝永小学校 5年 堂前 明希 福井市宝永小学校 5年 天方 千紘 福井市宝永小学校 5年 高橋 知也 福井市宝永小学校 5年 石黒 大貴 福井市宝永小学校 5年 丹後 友希 福井市宝永小学校 5年 指導者氏名 福本 ゆうみ 教職員 1.テ−マを選んだ理由 1学期中に行った環境学習(総合的学習「レッツゴー!ジュニアエコプロジェ クト」)において、学校の横を流れる芝原用水には、きたない水にすむ生き物し か見つけられなかった。何とか、この用水をきれいな水の流れる、魚たちが泳ぐ 流れにしたいという願いから、このテーマを選んだ。 4年生の時には、ゴミ拾いを行って用水を美しくする活動に取り組んだ。今年 は、ごみだけでなく、生活排水による水の汚れにも注目してきた。その学習の中 で、「福井県内水面総合センター」にて視聴した「空き缶を使った水の浄化方法」 のVTRについて話題が持ち上がった。芝原用水でもできないだろうか。そんな 思いが子供たちの中で生まれた。 そこで、この夏休み中に、ジュニアパトロールに参加し、この試みを学校の横 を流れる芝原用水でやってみることにした。そのほか、クラスメイトが調べてき た水草や木炭による浄化法についても実験したいと考えた。 2.活動の記録 7月28日(木) 「芝原を美しくする会」の白崎さんに実験の許可をもらいに行った。実験の 許可はもらったものの、用水に魚を放流するには、用水の水かさが季節によっ て変わるという理由から、難しいと聞いた。「土地改良区」の方にも話をして くださることを約束していただいた。 7月29日(木) まずは、空き缶の実験の準備に取りかかった。(資料1) (資料1)アキカンで川をきれいにする方法 1.アキカンをできるだけたくさん用意する。 2.アキカンに穴を開ける。のみ口の所は2こ。底に5こぐらい。周り には8こぐらいあける。 3.スーパーのかごの中に順々に向きを合わせて入れます。 4.これだけでは、アキカンが流れていってしまうので、うえに石を置い たり、ネットをかぶせたりの工夫をする。 5.アキカンを川に入れる。かごごと流れていくことがあるので、石を使 って流れないようにする。 実験開始。空き缶の入ったかごを用水(学校東側)に設置した。しかし、連 日の雨で水かさが増しており、水の勢いが激しく、なかなか流れないように固 定することが難しかった。(このあとも雨の日が多く、何度も流され、設置し 直した。) 7月30日(金) 今日から毎日かごに引っかかったごみとり開始。特に雨の降ったあとは、た くさんのゴミが流れてくる。どうしてこんなものがと不思議に思われるものも 流れ着いていた。(資料2) (資料2)かごにひっかかったごみの種類 ベスト10 1 かれ葉 2 枝 3 タバコ 4 袋(ビニール袋、おかしの袋、スーパーの袋) 5 スイカの皮 ┐ 6 空きかん │ 7 くり │ 8 キュウリ ┼ 袋に入って 9 紙 │ 流れてくる 10 うり ┘ 気づいたこと 1、2位のかれ葉や枝は、自然にくさって栄養になるから大じょうぶです。 だけど、3位い下のタバコなどはくさったりしないので、そんな物を捨てる と大変です。4位の袋などは、ほとんど子どもだと思います。5、8、10位 の生ごみは、袋に入って流れてくるので、だれかがわざとすてているんだと 思います。 8月26日(水) 水草の生えている場所にすむ水生生物調べをした。しかし、予想に反して、 きたないところにすむ生物しか見つからなかった。しかし、メダカの赤ちゃん、 トンボの卵らしきものが見つかったことに驚いた。調査中には、水面にしっぽ をつけ産卵しているのではないかと思われるトンボを現れた。(資料3) (資料3)水せいこん虫調べ <予想> ・ザリガニ ・メダカ ・あめんぼ <結果> ・イトミミズ (かぞえられないほど) ・ヒル (1ぴき) ・ゾウリムシ (1ぴき) ・メダカの赤ちゃん(1ぴき) ・トンボのタマゴ (1こ) <思ったこと> 予想では水草がたくさんあるからきれいな所にいる生物がたくさんいるの かなあと思いました。でも実さい調べてみるときたない所に住む生物しかい ませんでした。それはやっぱり水草が少なかったからだと思います。この川 の前の家の上田さんの話では、前は水草が水の下が見えないくらい生えてい たそうです。上田さんは、ざりがにを見なくなったと言っていました。ざり がにと同じようにきれいな所にいる生物もどこかにいったと思いました。 9月9日(水) 空き缶で水質浄化の実験をした地点の水質検査を行った。(パックテストに よるCOD検査)空き缶で浄化した川下の方がゴミもとれ、見た目はきれいだ った。パックテストの結果は大差なかったが、それでもわずかに色の違いが認 められ、浄化後の水質の方が低濃度だった。 3.メンバーの感想 ぼくは、あきかんをしずめてみておどろきました。1日で、かごにすごい量の ごみがひっかかっていたからです。1日にいつもこのような量のゴミが流れてい るかと思うと、しば原用水が汚れているわけが分かりました。 (台代 裕夢) 私は、川そうじをしておどろいたことがあります。それは、生ごみがふくろに 入って流れてきたり、ふくろにかまが入って流れてきたりするからです。だから これからは、川にごみを流さないでほしいです。 (堂前 明希) ぼくは、あきカンのじょうかをして、置いてある方は、ゴミが多かったけれど、 置いてある後ろの方は、ゴミがなくて、水がきれいに見えました。そしてパック テストをしたら、後ろの方がきれいでした。成功してよかったです。 (高橋 知也) あきかんが入っているかごがたおれていました。あきかんの中に水が入ってい て、3人で持ち上げるのもたいへんでした。やっとごみを取って、しずめること ができました。少でも、川の水がきれいになったので苦労したかいがありました。 (天方 千紘) 水せいこん虫を調べて、いろんな水せいこん虫が上田君の家の前の芝原用水に いました。イトミミズ、ヒル、ゾウリムシなどがいました。私はきたない川に住 む生物しかいなかったので、がっかりしました。 (丹後 友希) あきカンがぼくの予想では、多いと思っていたら、けっこう少なかったです。 そのかわりに生ごみが多かったです。中でもいやだったのは、ビニール入りの生 ゴミでした。 (石黒 大貴) 4.指導者の感想 今年の夏の異常気象の一つ、雨に悩まされた。水かさが多くて、空き缶による 水の浄化の実験が思うようにはかどらない。何度ブロックで押さえても流されて しまう。いくつか流れてしまった空き缶に、「俺たちかえって環境を汚してるん では?」とつぶやくメンバー。雨の合間を見て、水草がたくさん生えている場所 の水生生物を調査する。しかし、何が原因なのか、つい最近までたくさん生えて いた水草が減少。そのため、思うような結果が出ない。それでも子供たちは、ト ンボを見つけ喜び、引っかかるゴミの種類に驚きの声をあげ、ほんのわずかでも 空き缶による浄化ができたことに満足感を味わっていたようだ。十分な活動がで きたとは、言い切れないが、子供たちの真剣な眼差しを見ていると、この活動が これからの子供たちの生活に生かされるであろうと、大いに期待できる。何とか、 子供たちの「魚の住める芝原用水に」という願いに近づけるよう、今後も支援し ていきたい。環境問題は、継続してこそ少しずつよくなっていくものである。し かし、子供たちに取り組ませる際、一番難しいところでもある。地道に、息の長 い環境教育を展開していく必要性を感じた。 5.その他 子供たちは、夏休み中ジュニアパトロールの活動外に、個人個人で環境問題に 関する調査活動や実践を行い、以下の資料のようなまとめを行った。参考までに、 そのうちのいくつかを紹介したい。(略)