事件吉田調書報道、なぜ朝日は誤ったのか 「思い込み」で裏付け取材なし +(1/2ページ)(2014.9.12 05:10

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吉田調書報道、なぜ朝日は誤ったのか 「思い込み」で裏付け取材なし 

2014.9.12 05:10 (1/2ページ)放射能漏れ
会見中、打ち合わせをする朝日新聞の木村伊量社長(左)と杉浦信之取締役編集担当=11日午後、東京都中央区(川口良介撮影)

会見中、打ち合わせをする朝日新聞の木村伊量社長(左)と杉浦信之取締役編集担当=11日午後、東京都中央区(川口良介撮影)

 朝日新聞は11日夜の会見で、「吉田調書」をめぐる報道について、関係者への十分な裏付け取材を怠ったことや、“スクープ”の漏洩を意識して担当者を限定し、チェックが甘かったことを原因として挙げた。しかし、最大の問題は、事実を率直に受け止めず、都合の悪い情報は排除するという「思い込み」にある。

 朝日によると、5月20日付の「命令違反」の記事は、吉田調書をもとにしたが、「当時の所員への直接取材を徹底しなかった」とした上で、「所員に指示がうまく伝わらないまま、第2原発への退避が行われたということが把握できなかった」と説明する。

 吉田調書以外に、朝日が「命令違反」の根拠にしたのは「柏崎メモ」といわれるノートだ。

 福島第1原発事故時のテレビ会議映像が柏崎刈羽原発(新潟県)のモニターにもリアルタイムで流れており、それを所員が個人的に記したノートを朝日が独自に入手していた。ノートには、吉田氏の命令として「1F(福島第1原発)の線量の低い所へ待機」と書かれているという。

 しかし、当時の所員は、「線量の低い所」は第1原発になく、吉田氏の命令を第2への退避と受け止めている。そもそも朝日は当時現場にいた所員への裏付け取材を欠いた。杉浦信之取締役編集担当は「取材が極めて不十分だったと考える。所員の声がその時点で聞けなかった」と認める。

 さらに杉浦氏は「非常に秘匿性の高い資料であったため、吉田調書を目に触れる記者の数をすごく限定していた。結果としてチェックが働かなかった」とも説明した。

このニュースの写真

会見に臨む(左から)朝日新聞の喜園尚史広報、木村伊量社長、杉浦信之取締役編集担当=11日午後、東京都中央区(川口良介撮影)
朝日新聞が吉田調書についての記事を取り消すとのニュースを映す、家電量販店のテレビ売り場=11日午後、東京都豊島区のヤマダ電機「LABI1日本総本店池袋」(蔵賢斗撮影)
会見した木村伊量社長=11日午後、東京・築地(川口良介撮影)

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