2014年9月12日00時30分
指定暴力団工藤会(本部・北九州市)トップで総裁の野村悟容疑者(67)が殺人などの疑いで福岡県警に逮捕された事件で、立件のカギとなったのは、1998年の漁協元組合長射殺事件への野村容疑者らの関与をほのめかす関係者の新証言だったことが、捜査関係者への取材でわかった。野村容疑者に接見した弁護士によると「身に覚えがない」と容疑を否認しているという。
県警は11日、工藤会ナンバー2で会長の田上不美夫(たのうえふみお)容疑者(58)についても、16年前のこの事件に関与したとして殺人などの疑いで指名手配し、写真を公開した。
県警によると、野村容疑者らは共謀し、98年2月18日に同市小倉北区の路上で起きた脇之浦漁協(同市若松区)の元組合長、梶原国弘さん(当時70)射殺事件に関与した疑いがある。
事件をめぐっては二代目工藤連合草野一家(当時、現工藤会)の2次団体幹部や下部組織の組長ら計4人が、2002年6月に逮捕され、うち組長2人が有罪判決を受け、確定。判決は「二代目工藤連合草野一家の組織的関与は明白」としたうえで「若松区沖の港湾土木工事の利権への介入を断られた報復」と認定した。
事件当時、野村容疑者は二代目工藤連合草野一家の若頭で有力2次団体の田中組組長、田上容疑者は田中組若頭だった。田上容疑者も当時、殺人容疑で逮捕されたが処分保留で釈放され、不起訴処分になった。
捜査当局はその後、野村容疑者ら最高幹部が射殺事件に関与したことをほのめかす関係者の新証言を新たな証拠として、今回の立件につなげた。県警は、野村容疑者が事件の指示をした疑いがあるとみている。
北九州市などでは市民らへの襲撃事件が頻発。県公安委員会は12年、工藤会を全国初の「特定危険指定暴力団」に指定した。県警は、市民らが狙われた一連の事件に工藤会が組織的にかかわった疑いがあるとみて捜査しており、最高幹部の関与も今後調べる。
県警は11日、県警の全警察官・職員の約3割にあたる3800人態勢で捜査本部を設置。樋口真人県警本部長は同日記者会見し、「工藤会による組織的な凶悪事件は実行犯だけでなく、凶悪事件の元凶とも言うべき首謀者まで追及する精神で捜査に取り組んできた。今回の逮捕は、数々の事件の全容解明への一つのステップ。工藤会に壊滅的な打撃を与えるため、今後とも組織の総力を挙げて捜査を進めていく」と語った。
おすすめコンテンツ
メール送信に際しては、連絡先の住所・電話番号を明記ください。また、下記連絡先にご一報ください。
東京本社:写真センター 03-5541-8518
※Twitterのサービスが混み合っている時など、ツイートが表示されない場合もあります。
PR比べてお得!