強制わいせつ事件で男性に無罪 横浜9月12日 0時03分
横浜市の41歳の会社員の男性が強制わいせつなどの罪に問われた裁判で、横浜地方裁判所は「被害者の証言には疑いの余地がある」として、無罪の判決を言い渡しました。
この裁判では、証拠として採用された捜査報告書に警察官が事実と異なる日付を記入していたことが明らかになっていて、判決のあと裁判長は「警察に信頼回復を希望する」と述べました。
横浜市の41歳の会社員の男性は、強制わいせつなどの罪に問われましたが、裁判で証拠として採用された捜査報告書の日付が事実と異なることが分かり、報告書を作成した鶴見警察署の40代の男性巡査部長が、ことし4月、法廷で「はじめに被害者から相談を受けたときに報告書が作られていなかったので、そのときの記録を見て、あとから作った」と証言しました。
11日の判決で、横浜地方裁判所の田村眞裁判長は「被害者の証言は核心の部分で信用性に疑いを差し挟む余地がある」と述べ、男性に無罪を言い渡しました。
判決のあと、田村裁判長は所感を読み上げ、「証拠の体裁を整えるため、日付を半年もさかのぼらせたことは、公文書である捜査書類の正確性や重要性への意識が欠如していると言わざるをえない。警察は今回の件を真摯(しんし)に受け止め、社会的信頼を回復することを希望する」と述べました。
「検察は控訴を断念すべきだ」
判決を受けて、被告だった男性は「逮捕するために公文書を偽造し不当に勾留されたことは納得できない。法廷での警察官の証言はすべて言い訳で、公文書を偽造したという罪の重さは全く感じられなかった。逮捕されたあと、周囲に無実を信じてもらえなかったので、無罪判決はとにかくよかった」と話していました。
また、男性の弁護を担当した佐藤正知弁護士は、「捜査機関は判決を真摯に受け止めて、今後、刑事手続きの適正を図ってほしい。裁判所が警察を断罪したのだから、検察は控訴を断念すべきだ」と話していました。
「適正捜査を徹底するよう指導を強化」
無罪判決が出たことについて、神奈川県警察本部は「適正捜査を徹底するよう指導を強化していきます」とコメントしています。
また、横浜地方検察庁は「内容を精査し、上級庁とも協議のうえ、適切に対応したい」とコメントしています。
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