デング熱、青山公園もか 感染場所、都内で拡大
デング熱の国内感染で、厚生労働省などは10日、千葉県松戸市の50代男性が東京都台東区の勤務地周辺で感染、神奈川県大和市の20代男性が都立青山公園(港区)か外濠(そとぼり)公園(千代田区)のいずれかで感染したと発表した。都内で、新たに2か所が感染場所に加わった。ほかに東京都の20代女性が新宿中央公園(新宿区)で感染し、主要感染源の代々木公園以外での感染は計6人に。国内感染は9日の集計から9人増え、15都道府県の97人になった。
千葉県によると、松戸市の50代男性は台東区の倉庫で働いており、日常的に蚊に刺されていたという。8月30日に発症し、高熱が出て9月4日に市内の病院に入院した。快方に向かっており、9日に退院した。一方、青山公園で感染した可能性がある神奈川県大和市の20代男性の容体も、安定している。
東京都内では、これまでに主要な感染源である代々木公園のほか、新宿中央公園、外濠公園、明治神宮外苑(新宿区、港区)の計4か所が感染場所として挙げられている。
また、厚労省によると、千葉県稲毛区で感染した、と9日に発表した男性から採取したウイルスの遺伝子は、代々木公園で感染した患者のものと一致した。代々木公園で感染した人が稲毛区で別の蚊に刺され、その蚊がウイルスを持ったとみている。
千葉市は東京以外での感染が初となる患者が見つかったことを受けて10日、感染拡大防止に向けた会議を開き、稲毛区の患者が住んでいた無料・低額宿泊所周辺で9日に捕獲した約20匹の蚊を調べたが、ウイルスは検出されなかったという。また、市は宿泊所の名称を同区の「あけぼのの会」と明らかにした。当初は風評被害のために伏せていたが、市民の問い合わせが殺到し、発表を決めた。
厚労省は「今後も別の場所で感染が確認される可能性がある」として、蚊に刺された後で急な発熱があれば、医療機関に相談するよう呼びかけている。
一方、デング熱のウイルス解析を行っている国立感染症研究所を視察した塩崎恭久厚生労働相は10日、感染症法の改正を検討する意向を表明。塩崎氏は「感染症は世界的な問題になっている。感染症対策は大事な課題の一つだ」と強調し、早ければ秋の臨時国会に改正案を提出する。