井端、自分も驚嘆同点弾!菅野のため7回2号ソロ
◆阪神1―3巨人(10日・甲子園)
打った自分が信じられなかった。井端の打球は、左翼ポール際へ大きな弧を描いた。
「まぐれに決まっているじゃん。自分でも本塁打という結果は考えていなかった。頑張っている菅野を援護できて良かった」
ぼう然と立ち尽くす岩田を尻目に、チームメートとハイタッチを繰り返した。
1点を追う7回2死だった。2ボールから長打狙いの打撃に切り替え、岩田の100球目。フルカウントから、外角の134キロ直球をバットに乗せた。同点の2号ソロだ。「2死から連打、連打は難しい。二塁打を打てればと思っていた。中途半端にならないように、しっかりスイングすることを考えた」。7月6日の中日戦(東京D)以来、約2か月ぶりの一発で、復帰戦の菅野を救った。
背番号2の真骨頂は5回無死一塁だ。ファウルで5球粘り、最後はフルカウントからの10球目。岩田の内角低めに落ちるフォークを淡々と見送り、四球を選んだ。井端自身、同点弾よりも満足度の高い打撃だったという。
「勝たないといけない状態。相手が何が一番嫌な打撃かを考えたら、あの場面はつなぐこと」
3回先頭でも3球ファウルで粘り、7球目を一、二塁間へ。上本の捕球直前で打球がイレギュラーする二塁内野安打で、今季8度目のマルチ安打をマークした。
スタメン出場は今季30試合目と多くない。ベンチスタート時は橋本ら若手や控え野手だけでなく、先発投手にもアドバイスを送る。「気づいたことは、なるべく言おうと思っている」。勝負どころでの狙い球の絞り方や打者心理―。いぶし銀のエキスを注入している。
3回2死の守りでは上本の右翼へ抜けそうなショートバウンドの打球に飛び付き、二ゴロとした。中日時代に7度のゴールデン・グラブ賞に輝いた守備力も健在だ。
「少しは仕事ができたかな。9月に限らず、全試合が大事。ただ、大事な時期に打てて良かった」
プロ17年目。高橋由と並びチーム最年長の39歳は、まだまだ衰えを知らない。(小谷 真弥)