福島第1原発事故:富士山麓キノコに被害 東電賠償請求へ

毎日新聞 2014年09月11日 10時58分(最終更新 09月11日 11時16分)

 富士山麓(さんろく)の恩賜林を保護育成・管理している山梨県の鳴沢・富士河口湖恩賜県有財産保護組合(小林武組合長)が、野生のキノコが福島第1原発事故の影響で採れなくなり損害を受けたとして、今月中にも東京電力に200万〜300万円の賠償請求を求めることが分かった。

 北麓地域の富士吉田市、富士河口湖町、鳴沢村の野生キノコから2012年10月、国の基準(1キロ当たり100ベクレル)を上回るセシウムが検出された。県は国の指示を受け、3市町村で採れた野生キノコの出荷を制限し、採取も自粛を求めた。この措置は現在も続いている。

 組合は、キノコ狩りの入山者が支払う「入山鑑札料」として一般2000円、組合員1000円を徴収している。毎年1500人前後が訪れていたが、出荷制限以降、鑑札の発行を中止している。

 このため、13年度に徴収予定だった鑑札料の賠償を東電に請求することを決め、今年3月、組合議会の承認を得た。12年度分は、セシウム検出時点でシーズンがほぼ終了していたため請求しない。

 組合は「収入がないことで、下草払いや間伐など林の管理にも影響が出ている」と訴えている。東電山梨支店は「状況を把握したうえで対応していきたい」と話している。【片平知宏、小田切敏雄、藤渕志保】

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