不安なんて感じさせなかった。40日ぶりの1軍マウンドで菅野が躍動した。7回7安打1失点。7月16日のヤクルト戦以来となる56日ぶりの白星で10勝目を手にした。
「少し難しい部分もあったけれど、最少失点で切り抜けられた。苦しい時期もあった。いかにマウンドに立ち続けることが難しいかを感じたし、投げられる喜びも感じた。2桁勝利? 最低ラインです」
右手中指の腱の炎症からの復帰戦。一回こそ失点したものの、二回以降はペースをつかみ、最速150キロの直球と変化球で虎打線を翻弄した。
六回無死三塁のピンチではギアを上げた。新井貴を三ゴロ、福留を二ゴロに打ちとると、伊藤隼には全球真っすぐ。三邪飛に仕留めた。この回で降板の予定だったが、「行かせてください」と続投を直訴。直後に味方が追いつき、八回に勝ち越し。球団では9人目となる1年目から2年連続の2桁勝利を挙げた。
7月16日のヤクルト戦で二ゴロを打った際に右手中指を負傷。8月1日の広島戦では6回2失点だったものの、制球できる状態ではなかった。「投げられないです…」。プロ入り後初めて自分から登録抹消を申し出た。人生で初めて痛めたという右手中指。携帯電話を持つだけで痛みが走った。車のハンドルを握るときも、右手中指だけは浮かせていた。