大阪都構想:協定書議案巡る駆け引き…市議会vs橋下市長
毎日新聞 2014年09月08日 20時17分(最終更新 09月08日 20時22分)
大阪市の定例議会が9日、開会する。注目されるのは大阪維新の会が単独決定した大阪都構想の協定書議案の行方だ。維新は過半数を持たないため可決は難しく、橋下徹市長(維新代表)は専決処分の行使をちらつかせる。大阪府議会も同様の情勢で松井一郎知事(維新幹事長)も強気の姿勢を崩さない。しかし、議決を経ないで議案を処理する専決は要件が限られ、無効判決が出たケースもある。
「権限があるなら、放棄する必要はない」
今月2日、橋下市長は専決の可能性について報道陣にこう語った。橋下市長は年内は議会で議論し、修正協議にも応じるとした上で、野党が議論に応じない場合などは「(専決を)しなきゃいけない」と、けん制した。
都構想の実現には府市両議会での協定書議案の承認(過半数可決)と、大阪市民対象の住民投票での賛成多数が必要だ。維新は来春の統一地方選と住民投票の同時実施を狙うが、厳しい情勢だ。
専決は「議会を招集する時間的余裕がない」などの要件を満たすことが必要だが、閉会後の年明けにも橋下市長が専決に踏み切るとの見方もある。これに対し、野党はいつでも議会を開けるよう会期を来年2月まで延期するなど「専決できる隙間(すきま)を作らない」(公明市議)ことを検討する。新藤義孝総務相(当時)も2日、橋下市長らによる専決について「念頭にないのではないか」とくぎを刺した。
議会が否決した議案の専決を「無効」とした判決がある。2007年の千葉地裁判決(確定)は、千葉県銚子市の市長が専決した職員手当の一部廃止の条例改正を無効とした。判決によると、条例改正案を議会が3回否決した後に、市長が同様の条例を専決した。判決は「専決は時間的余裕がないためにやむなく行われたものではなく、市議会の議決を免れることを意図してされた」と認定した。判決を受けて市は条例改正はなかったものとして手当を支払った。【山下貴史】