政治献金:安倍政権歓迎の意向 野党からは批判の声
毎日新聞 2014年09月08日 21時15分(最終更新 09月08日 22時45分)
経団連が政治献金への関与を5年ぶりに再開する方針となったことに、財界との関係強化を進めてきた安倍政権は歓迎の意向を示した。民主党政権時代に経団連から一時「そで」にされ、党内のリストラも経験した自民党幹部は「政権復帰で経団連も困っていた。持ちつ持たれつだ」と評価。ただ、与党内では「大企業優遇」批判が強まりかねないとの懸念も漏れ、野党は「賃金上昇より献金優先か」と反発している。
自民党の山口泰明経理局長は8日、党本部で記者団に、「(企業側から)政策的にみて評価していただければありがたい」と期待を示した。経団連は2009年、政治献金への関与を中止し、野党だった自民党は政党交付金の減少もあり、党所属議員の活動費や党職員給与を削減した経緯がある。
安倍晋三首相は政権復帰後、成長戦略も踏まえて経団連とのパイプの修復に努めてきた。経団連の前事務総長を内閣官房参与に起用し、多くの外遊で日本企業団を同行させている。自民党幹部は「経団連の関与がないと、企業側も献金しづらい。ルールを作ってほしいという声はあった」と話し、別の幹部は「経団連が決めたことにこっちが『いかん』と言うのもせんえつだからね」と余裕を見せた。
ただ、アベノミクスの地方への浸透は遅れが指摘されており、企業献金の増加は政権のマイナスイメージにつながるとの警戒感ものぞく。公明党幹部は「企業が国の政策に意見・発信するのは当然あっていいが、お金を出して影響力を持とうとするのは時代に逆行している」と漏らした。
野党では、民主党の海江田万里代表が8日、連合との会合で「実質賃金はマイナスが続いており、政治献金するお金があれば賃金を上げろ、非正規の人たちを正規雇用しろと言いたい」と強調。「自民回帰」を強める経団連をけん制した。
日本維新の会の橋下徹代表は、結いの党とつくる新党で企業献金の禁止を検討する考えを表明。橋下氏は記者団に「維新にも企業から寄付をもらっているメンバーもいる」とした上で、「個人献金制度が充実する形で企業献金を廃止すべきだ」と述べた。共産党は「大企業・財界の要求を上に置く政治のゆがみを助長する」と企業献金の全面禁止を主張している。【影山哲也、笈田直樹】