68歳拓郎、我が人生と共にあり

2014.07.31


拓郎のライブで“ツーショット”。枯れた味わいだった【拡大】

 シンガー・ソングライター、吉田拓郎が約2年ぶりのツアー最終公演を東京国際フォーラムで開いた先週22日、私も会場に駆けつけた。

 約5000人のジジババが大集結。のっけから「人生を語らず」「今日までそして明日から」「落陽」の人気曲を3連発。総立ちの中、前から8列目の中央でジッと見続けた。

 「もう68歳になるのか…」

 我が身とそう変わらぬ齢(よわい)を重ねた拓郎は、少し痩せ、年相応に歌声もちょっと枯れた感じだ。拓郎の歌とともに自分の人生も蘇る。

 初めて見た「つま恋」コンサートは1975年、オールナイトだった。夜明け間近に「人間なんて」を歌い、「ラララ ララララ」と叫び続けるダミ声にも似た力強さに私の20代の魂は揺さぶられた!

 数年後、生まれたばかりの長男を大きなカゴに入れ、当時の妻と3人で再び「つま恋」にいた。さらに、若い愛人と2人で出向いたライブもあった。

 8年前に復活が話題を呼んだ「吉田拓郎 & かぐや姫 Concert in つま恋 2006」には、独りぽっちで参加した。会場でNHKのインタビューに応じ、「恥ずかしいからあまり人には言わないけど、寂しいときに拓郎の曲を聴くんだよ」とコメントをした。

 そのときも近くにいた直木賞作家の重松清さんと、先週の会場で一緒になった。「千葉のコンサートにも出向いたんだ」と重松さん。世代的にはひと回り以上も下の重松さんは追体験の拓郎ファンだが、作家として何かインスパイアーされるのだろう。

 常々、私は拓郎に対し、「力強さ」を感じとってきた。それは、地声の強さである。

 一方で、私はボブ・ディランにも心酔している。ボブ・ディランのファンの中には拓郎を揶揄する向きもあるが、私はどちらも本物だと思う。

 今回、拓郎はアンコールで「純情」を歌った。作曲・加藤和彦、作詞・阿久悠−どちらも今はこの世にいない。2時間半を歌い終えた拓郎は、観客席の三方に向かってそれぞれ深々と頭を下げた。不覚にも涙が出た。

 まだまだ、共に居てくれ! そんな思いで新曲「AGAIN」を会場で買った。 (出版プロデューサー)

 ■高須基仁の“百花繚乱”独り言HP=「高須基仁」で検索

 

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