朝日新聞:木村伊量社長の会見要旨 吉田調書報道 記事の取り消しと謝罪 進退の決断も

2014年09月11日

大勢の報道陣に囲まれ、厳しい表情で記者の質問に答える朝日新聞社の木村伊量社長(左中央)=東京都中央区で2014年9月11日午後7時58分、梅村直承撮影
大勢の報道陣に囲まれ、厳しい表情で記者の質問に答える朝日新聞社の木村伊量社長(左中央)=東京都中央区で2014年9月11日午後7時58分、梅村直承撮影

 木村伊量社長の冒頭発言(要旨)は次の通り。

 朝日新聞は、吉田調書を政府が非公表段階の5月20日付朝刊で第一報を出した。2011年3月15日、第1原発にいた所員の9割にあたる約650人が吉田所長の待機命令に反し、福島第2原発に撤退した、と報道した。

 吉田証言を紹介して、政府に全面公開を求めてきた。その後の社内の再調査の結果、吉田調書を読み取る過程で、多くの東電社員がその場から逃げ出したとの印象を与える間違った記事だと判断した。記事を取り消すとともに、読者と東電の皆さまに深くおわびを申し上げる。

 これに伴い、報道部門の責任者である杉浦信之・編集担当の職を解き、関係者を厳正に処罰する。私の責任も逃れません。報道にとどまらず、朝日新聞に対する信頼を大きく傷つけた記事だと重く受け止めており、私が先頭にたち、編集部門を中心とする抜本改革などの道をつけ、速やかに進退の決断をする。

 その間は、社長報酬を全額返還する。吉田調書は朝日新聞が独自取材に基づき、報道が無ければ世に問われることは無かった。誤った内容の報道となったことは痛恨の極みだ。現時点では、記事のチェック不足などが重なったことが原因だと考えている。新しい編集担当を中心に信頼回復の再生のための委員会を早急に立ち上げ、あらゆる観点から取材、報道で浮かびあがった問題を検証し、読者の信頼回復のために何が必要か、ゼロから再スタートを切る道筋で検討していきたい。

 同時に朝日新聞社の第三者委員会に審理を申し立てた。その結果を紙面でお知らせする。

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