朝日新聞:「結果としてチェックが足らなかった」 「吉田調書」会見一問一答(1) 

2014年09月11日

険しい表情で記者会見の席につく朝日新聞社の木村伊量社長=東京都中央区で2014年9月11日午後7時31分、梅村直承撮影
険しい表情で記者会見の席につく朝日新聞社の木村伊量社長=東京都中央区で2014年9月11日午後7時31分、梅村直承撮影

 「吉田調書」をめぐる謝罪会見で、木村伊量社長、杉浦信之・取締役編集担当、喜園尚史・執行役員広報担当の主な質疑応答は次の通り。(敬称略)

 −−(吉田調書の)記事そのものを取り消すのか。

 杉浦 「撤退」という指摘は記事の根幹の問題で、記事そのものを取り消す。

 −−抑止できなかったのはなぜか?

 杉浦 具体的には明らかにできないが取材源を秘匿するため、(関係者が)少数になり、デスクをはじめチェックが甘くなった。

 −−なぜ今回、誤りと判断したのか。

 杉浦 吉田所長が話をされた、朝日新聞が独自に入手した資料にあった。テレビ会議を通じて吉田さんが話したもの。外形的に、形式的には命令とは違う形になった。8月末から9月にかけての、取材班以外の調査で事実でないと分かった。時間がかかったことは申し訳ない。

 −−記事への批判に対し、「厳重に抗議」との姿勢を示した。法的措置をとると。

 喜園 いくつかのメディアに同趣旨の抗議文を出した。これまで出した抗議は撤回し、おわびしたい。出したメディアに、きちんと謝罪したい。

 −−(吉田調書報道は)意図的なものではないのか。

 杉浦 そういうことはありません。一つは、非常に秘匿性が高かった。直接、目を触れる者は限定していた。取材した記者たちは専門的な知識を有する。他のデスク、記者は見なかった。結果としてチェックが足らなかった。

 −−慰安婦報道について、(ジャーナリストの)池上彰さんのコラムを掲載しないという判断に批判もあったが、社長はどう問題を受け止めているか。

 木村 一報で、厳しい内容というのは聞いた。私は編集担当の判断にゆだねた。しかしながら、途中のやり取りも流れ、言論の自由の封殺だという批判も受けた。読者の信頼を損ねた。社長として責任を感じている。

最新写真特集