朝日新聞:「訂正が遅きに失した」 従軍慰安婦報道も謝罪 「吉田調書」会見一問一答(2)
2014年09月11日
−−信頼回復の時期はいつか。何をもって回復か。
木村 委員会を立ち上げ、編集担当が中心になり、今度どんな問題が根底にあるのかをあらゆる角度から丁寧に検証する。社内体制の立て直し、リーダーシップを発揮する。なるべく時間をおかない。
−−吉田調書は海外メディアも報じている。多くの所員が逃げたと報じた。
杉浦 そこはおわびしなければならない点だと思っている。早急に発信していきたい。
−−慰安婦問題も海外メディアが報じている。
木村 海外で報じられたことは承知している。フォローしながら報道したい。
−−池上氏の問題は、最終的に誰が掲載見送りを判断したのか。
杉浦 最終判断は私がした。結果的に間違っていた。多くの社員の批判も受けて掲載を判断した。
−−命令違反という件についてだが、当時の社員、所員に取材したか?
杉浦 所員の取材は十分ではなかった。聞けていない。
−−従軍慰安婦の検証記事も批判されている。
木村 訂正が遅きに失した。ご批判を受けた中で、誠意をもって、謝罪をしておきたい。
−−先ほど、「命令を聞いて退避した人はいなかった」「職員の声を聴けなかった」との話だった。どちらが本当か。取材していないのか?
杉浦 取材したが聴けなかった。
−−池上氏のコラムだが、不掲載を判断した理由は?
杉浦 9月5日か6日だったと思うが、紙面で説明した通り。当時の朝日新聞を取り巻くさまざまな環境を考えた時に、私として敏感になりすぎたことが結果としてそういう判断になった。
木村 内容は朝日に厳しいもの、との報告を受けたが、編集担当の判断に委ねた。
−−(従軍慰安婦問題の)吉田証言は取り消したが、記事内容には自信があるのか。強制性はあったと。
杉浦 吉田証言については今回、虚偽だろうと取り消した。しかし、慰安婦が自らの意思に反した、広い意味での強制性があったと、認識している。
−−(慰安婦報道での)クマラスワミ国連報告への影響は?
杉浦 慰安婦報道がどう影響を与えたのか。朝日だけでは難しい。第三者委員会に検証をゆだねたい。
−−検証でクマラスワミ報告に触れていないのは。
杉浦 触れる必要はないと判断した。
−−報道で被害を受けたのは吉田さんのご遺族や福島第1原発の所員。彼らへの直接謝罪はあるか。
杉浦 何らかの形で真剣に対応したい。
−−(進退にまつわる)責任には慰安婦問題は入る?
木村 時間が経過した事案だ。責任者をどうするのかが難しい。朝日新聞の退職者や亡くなっている人もいる。この問題で具体的な責任を取っての処罰は難しい。これを含め、第三者委員会の話を聞いて判断したい。