坂本、Vロード弾!天敵メッセ叩き9連戦ド派手発進
◆阪神2―8巨人(9日・甲子園)
巨人が阪神に大勝した。初回、坂本の14号2ランで先制。4回は四球を挟んでの5連打を含む、打者一巡の猛攻で一挙6点を奪った。ここまで7試合で0勝4敗だった天敵メッセンジャーを、ついに攻略した。9連戦の初戦を制し、貯金は今季最多タイの15。3位阪神を5・5ゲーム差に突き放した。
見上げた先は左翼スタンドだ。坂本はバットを放り投げた。青さの残る甲子園の空へ大きな放物線を描いた。「自然と打てました」。両手に残る感触をかみしめ、静まり返ったアウェーのダイヤモンドを駆け抜けた。
初回1死二塁、マウンドにはメッセンジャー。今季は試合前まで7試合で0勝4敗、防御率1・94の天敵だ。初球。見逃せばボールの高めカーブを強振。6試合ぶりの14号2ランで先制だ。「初球からカーブという意識はなかった。重心を後ろに残して、うまく回転できた」。難攻不落の右腕から開始3分でアーチをかけ、興奮気味に語った。
メッセ粉砕の口火を切ったのも背番号6だ。4回先頭。内角高めをえぐる140キロ直球を左前へ。左肘をうまくたたんだ坂本ならではの内角打ちで、打線に火をつけた。この回、打者10人の猛攻で6安打6得点。難敵を3回0/3でKOした。原監督は「先取点をメッセンジャーからは取れないゲームが続いていた。やられっぱなしというのもあったから、良かった。まだ戦いは続くしね」と声を弾ませた。
実りの秋へ再加速だ。昨季は夏から打撃不振に陥り、楽天との日本シリーズでも打率2割と打てなかった。見直したのは食生活だ。「食べたいものを食べる」がモットーだが、夏バテ防止に効果のあるみそ汁や、苦手な梅干しも、疲労回復に効果があると知れば食べた。「今年はコンディションがいい。去年の二の舞いにならないように頑張っている」。2戦連続のマルチ安打で、9月は打率3割6分、2本塁打、6打点。守りでも7回先頭、梅野の中堅へ抜けそうな打球をグラブの先で好捕し、一塁へワンバウンド送球するファインプレー。9度もの守備機会を堅くこなし、指揮官も「(攻守の)両方とも輝いていた」と賛辞をおくった。
試合には侍ジャパン・小久保裕紀監督がテレビ解説で来場。坂本はすでに11月の日米野球のメンバーに選ばれている。同監督からは「まだ伸びしろがある。球界の中心選手になってほしい」と期待されている。勇人は「(オリックスの)糸井さんみたいにすごい成績を残しているわけではない。シーズンでいい成績を残して胸を張って行きたい」と話すが、この勝負強さがあれば問題ない。
9連戦初戦を白星スタート。10日に巨人が勝ち、2位の広島が敗れれば、マジック17が再点灯する。「(どんな投手でも)常に同じ気持ちでやっている。大事なところで打つだけ」と坂本。若きリーダーが、リーグV3の使者となる。(小谷 真弥)