「ねえ先生、ネットのひとたちっていつもケンカしてるけど不思議じゃない?」
「あらそう?なんでそう思ったの?」
「だってさ、ネットってひとくちにいうけど人は入れ替わってるじゃない?」
「そうね」
「なのにケンカしちゃうの?誰か気に入らない人がいるからケンカするんじゃなくって?相手は誰でもいいってこと?」
「うーん。あ、ほら、川に似てるんじゃないかな?」
「川?」
「川は流れていて、そこにある水は同じ水じゃなく常に新しい水が流れてくる。でもその川はキレイとか流れがよどんでるとか言われるでしょう?」
「じゃあ、その川がよどんでるっていうのがネットでケンカがいつもおきちゃって見えてることと同じなの?」
「そんな感じ」
「川がよどんでるっていうのはまがりくねってたりすると起きるよね? じゃあ流れてる水が悪いんじゃなくって、川がまがりくねってるのがよくないのかな?」
「そうかもね」
「大雨で濁流になっていちどぜんぶ流れちゃえば川はキレイになるよね?」
「そうね」
「ずっと流れないとよどんで腐った水になったりするんだね?」
「そうね」
「あのさ先生、思ったんだけどネットは川っていうより洗面所の水道の下についてるあのまがりくねったところじゃないかな?」
「どういうこと?」
「あれって蛇口を開くと水が流れるでしょう?水をとめるとあそこに水がたまって、あんまり水が流れないと水が汚れると思う」
「なるほどね」
「だからたまに水をながしてあげないといけないんだよ」
「そうなの?」
「あれはね、下水の臭いがあがってこないように溜まった水がフタの役目をするの」
「あ!そうか!」
「一度流れていった水はその先で腐っていやな臭いを発しているのかもねぇ。それをあの仕組みがフタになって防いでいるのね」
「もしかしたらね。うーん、でも」
「でも?」
「これってネットだけじゃなくって、世界ぜんぶがそうだと思うけどね」
「世界ぜんぶが流れがよどんで腐ったり、去っていった人たちのいやな臭いをあの水だまりでフタをしたりするってこと?」
「うん」
「そうだとしたら大変だね」
「そうね。それにね」
「うん」
「そう」
「かもしれないわね」
「ネットはまあわかるけどさ。世界がワナって、じゃあ誰がワナをしかけたの?」
「それはほらあいつじゃない?」
「あいつって?」
「神」