杉内、チェンジ9勝!6度目VSメッセ「やっと勝てた」

2014年9月10日6時0分  スポーツ報知

 ◆阪神2―8巨人(9日・甲子園)

 白球は糸を引くように外角低めに伸びた。狙い通りの見逃し三振。杉内の技術が凝縮された1球だった。4回、6点差とされ、2死二、三塁。今成との勝負だ。3球目まで右足をゆっくり上げていたが、追い込んでからの4球目。クイックで直球を投げ込んだ。タイミングを完全に外された今成は、見送ることしかできない。「そうしないと打ち取れないから」。してやったりだった。

 7回5安打2失点。メッセンジャーと今季6度目の投げ合いで、初めて白星を手にした。「やっと勝てた。野手が打ってくれたおかげ。9連戦で順位が決まる。初戦に勝てば独走できると思っていた」。ヒーローインタビューで白い歯を見せた。

 敵を欺いた。序盤、チェンジアップを多めに配球した。阪神戦は今季カード別最多の7戦目だっただけに「阿部さんが考えてくれて効果的だった」。本来は直球、スライダーが投球の8割以上。しかし、この日は2回まで計25球中、チェンジアップが最多の10球。極端なスタートで3回まで完全投球。出ばなをくじくと、徐々に普段の配球に戻した。

 巨人に移籍した12年以降、杉内はセ・リーグ打者の傾向を分析。「早いカウントのチェンジ(アップ)は、右打者にライト前へ運ばれやすい」。それだけにチェンジアップは基本、決め球にしていたが、その“掟(おきて)”を破り多投。チームトップタイ9勝目を挙げた。3年連続9度目の2ケタ勝利へ王手をかけたが「プレッシャーかけないでよ。頑張ります」とニヤリ。甲子園の秋風に吹かれ、充実した表情を見せた。(岸 慎也)

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