(杉下右京)そうですか。
わかりました。
では今日は午後からという事で。
(角田六郎)神戸は?遅刻?何やらパスポートの更新期限日だとか。
そんなんで半休取れるんだ。
どうせ暇ですから。
なんですか?ん?朝飯。
寝坊しちゃってさ。
途中でなんか買うから小遣いくれっつったらこれ食っとけってさ。
家族ってなんなんだろうね…?フフ…。
まあ昼は弁当持たせてくれたからそっちに期待するわ。
(電話)ちょっと失礼。
はい特命係です。
(加藤誠)「そちらに杉下右京さんという方おられますか?」杉下は僕ですが。
(加藤)大学のチェス部で一緒だった加藤誠です。
おや…懐かしい。
君15年ぶりですよ。
相談したい事がある。
これから会おう。
バイオマスエタノール…?
(加藤)うん。
最近新しい市場でひと山当てようっていう企業が増えてましてね。
植物を発酵蒸留させて得る再生可能なエネルギー。
新しい分野ですねえ。
でもここで扱うのはどれも既存技術だ。
研究としての新しさは皆無だよ。
君が結婚したと聞いた時も意外でしたがこのような民間の研究所に移っていたとは…。
もっと意外でした。
どうして東大の研究所を辞めたのでしょう?ノーベル賞を獲るのではなかったのですか?君こそ推理作家になるんだと思ってましたよ。
僕は君なら獲れるかもしれないと本気で思ってましたよ。
人生そう思いどおりにいかないもんだよ。
どこまでいっても人間関係からは逃れられない。
その辺君も同じでしょう。
あっ!あっ!ダメだよ触っちゃ…。
微生物を投与して作用を見てるんだ。
同じ状態に持ち込むのに何百時間ってかかるんだよ。
クライアントへの納期も近くなってるし…。
これは失礼。
ローズマリーですよね?よくわかったね。
紅茶好きが高じて一時ハーブティーにも手を出しました。
へ〜!このようなものからも燃料が出来るんですね。
摘んで1杯あげたいところなんだけどここルール厳しくてね。
花粉が移るといって観葉植物に触る時さえ手袋をしなきゃならない。
前置きはさておきそろそろ本題に入りましょうか。
調べてほしい事があるんです。
ある企業から依頼された研究の予算資料だ。
(加藤)国の補助金も入ってるんだ。
でも実際こんな研究は行われてはいない。
架空の実験である程度データを捏造してお金だけは受け取ってる。
研究者としては許せないんだよ。
つまり研究費の横領ですね。
この手の不正を暴くのならばしかるべき部署を紹介しますが…。
これは内部告発になるからね…。
私が情報元だってバレたら何もかも失いかねない。
それで信用出来る人にお願いしたいんだよ。
僕は探偵ではありませんよ。
君には貸しがあるでしょう?はい?大学時代君が賞を獲った推理小説のトリック。
あれ僕がしてあげた話から思いついたんでしょう?これは心外ですね。
順番が逆ですよ。
僕が思いついたトリックの検証のために君に話を聞かせてもらっていたに過ぎません。
そうやって屁理屈を言うとこは変わってないなあ…。
変だよ君って。
君も変わりませんねえ。
(大木長十郎)じゃあ俺ら昼飯行ってきますから。
(小松真琴)課長行かないんですか?俺はいいよ。
(昼休みのチャイム)
(角田)よし…。
また1種類だよ…。
(神戸尊)おはようございます。
おはようってお前もう昼だぞ。
どうしても午前中に済まさなきゃなんない用事があったんですよ。
杉下さんにもちゃんと連絡してあります。
聞いてるよ。
パスポートの更新だろ?いいねえ特命は暇で。
あら愛妻弁当。
ヘッ誰が愛妻だよ。
晩飯の後始末だよ!イモしか入ってねえし。
いいじゃないですか肉じゃがなんて。
家庭的で。
食べるか?完全に冷めきってるけど。
いえ。
な!ところで杉下さんは?ああ朝電話かかってきて出ていったね。
ふーん…。
(電話)はい特命係。
もしもし?
(通話が切れる音)どうした?切れちゃった。
無言電話か。
(加藤美咲)「もしもし」警視庁特命係の神戸と申します。
あの今お電話頂きましたよね?「あの…ひょっとして父は疑われてるんでしょうか?」え…?はい?「父が人を殺したんでしょうか?」
(美咲)父の部屋で見つけました。
そのページにこれが挟んであったんです。
え?これって父を疑って捜査に来たって事じゃないんですか?さあどうかな…?僕は聞いてないけど。
でもさ記事には自殺って書いてあるよね。
なのにどうしてお父さんが疑われてるって思ったのかな?この倉田さんって人父の共同研究者でした。
亡くなった母の時と同じなんです。
同じって?母も父と同じ植物遺伝子工学の研究者でした。
(美咲)母は元々父の助手をしていたんですがそのうち2人で共同研究をするようになって。
その母が8年前父と標本採集に行った南米で突然死んだんです。
死因は?父からはウイルス性の食中毒だって聞きました。
現地のレストランで食べた卵料理が原因だって。
でもちょっと変だと思ってました。
変?母は卵が苦手でほとんど食べなかったんです。
わざわざ旅行先で食べるなんて考えられません。
あのさまさかお母さんの件でもお父さんを疑ってるの?わかりません。
でも疑う気持ちが消えないんです。
お父さんには聞いてみたの?来年の春から交換留学でアメリカに行くんです。
でもすごく反対されて…。
それから口を利いていません。
(米沢守)倉田真理。
帝都燃料という企業の所属研究員でした。
(米沢)死因は頚椎圧迫による窒息死。
(米沢)切断した掃除機の電源ケーブルをロープ代わりに使ってドアノブで首をつってました。
遺書らしき文書も残されています。
「犯した不正がいつ露見するかと思うと日々の恐怖に耐えられませんでした」
(米沢)通帳にも出所不明の金が数百万円入ってました。
倉田真理は実験を外部の研究機関に発注出来る立場にあったのでその辺りをうまく使って不正を働いていたと見られています。
発覚を恐れる不安から自殺をしたというのが所轄の見解でした。
あの…8年前に亡くなった加藤恵子さんの方は?こちらが区役所から取り寄せた死亡届です。
亡くなったのはかなり奥地だったようで適切な処置が受けられたかどうかは疑問です。
死亡の原因がサルモネラ感染症ってありますけど。
サルモネラから腸チフスを起こした場合適切な処置をしないと死亡率12パーセントといいますから食中毒だと甘く見てはいられませんね。
あのちなみに例えばなんですけどそれを意図的に感染させる事なんて出来るんでしょうか?多少の知識があれば培養は可能ですし毒物と違って気づかれにくい。
実際に犯罪に使われて死亡したケースもあるようです。
「平成22年11月」…。
「平成22年8月」…。
(ノック)
(桑原博)はいどうぞ。
失礼致します。
はじめまして。
わたくし環境エネルギー開発の川村と申します。
ただいま名刺を…。
あれ…?
(桑原)見当たらないのなら結構ですよ。
ご用件は?これは失礼。
先日農水省の補助対象研究のリストを見ていましたところこちらの研究所のお名前を拝見致しまして強く興味を引かれたものですから。
農水省…ああ。
いやしかしさほど注目すべき研究報告はなかったと思いますが。
実は興味を引かれたのにはある事情がございましてですね。
事情?弊社である研究所に同様の実験を発注したのですが御社のデータと全く食い違っているのでございましてひょっとしてですね先方が研究を行わずにデータを捏造しているのではないかと…。
弊社でも問題になっておりましてでその検証にお力添えを頂ければと思いましてですねもしその不正が事実だった場合御社とパートナーシップを握っていきたいと考えておる次第でございます。
悪いお話ではないと思うのでございますがねえ。
いやそう言われましても突然なもので今ちょっと忙しいので改めてください。
ああさようでございますか。
警視庁特命係の神戸と申します。
先日亡くなられた倉田真理さんについてお聞きしたい事がありまして。
ベネジクトが切れてます。
取ってきてください。
(竹山学)はい。
でどうして僕のところに?共同研究者だと伺ったものですから。
うん確かにそのとおりなんですが業務上のプロジェクトで一緒だっただけで何も話すような事は…。
8年前に亡くなられた奥さんも共同研究者だったそうですね。
誰からそれを…?死後あなただけの名義で論文を発表されたとか。
何が言いたいのかな?
(ドアが開く音)おや。
なぜ君がここに?呼んだ覚えはありませんが。
いや僕だって別に追いかけてきたわけじゃありませんよ。
でもやっぱり杉下さんも調べてたんですね。
なんの事でしょう?倉田真理さん。
10日前に亡くなられた加藤さんの共同研究者です。
不正に絡んでの自殺だと見られています。
なるほど。
それでここへ来たと。
はい。
どうも感心しませんねえ。
はい?さしたる確証もなしに疑いをぶつけるべきではありません。
これは…杉下さんのお言葉だとは思えませんが。
加藤君は僕の友人です。
いたずらに仕事場まで押しかけて皆さんに誤解を招くような真似は慎んでもらいたいものですねえ。
11月18日の午後7時頃どちらにいらっしゃいましたか?神戸君!これだけ聞いたら帰ります。
毎日終電までここで作業してます。
ありがとうございました。
失礼します。
ああ失礼。
(鈴木隆明)あの…さっきの話亡くなった倉田真理さんの事ですよね?加藤先生何かしたんですか?いやそういうんじゃなくて色んな方に話を聞いて回ってるだけです。
今の彼特命係…。
ええ僕の部下ですがここへ来たのは全くの偶然です。
何か別件で動いているようですね。
君が呼んだんじゃなかったのか。
僕は話していません。
今朝君から電話をもらった時彼はいませんでしたから。
助手の中にはうわさ好きもいる。
出来るだけ他言は避けるようにしなきゃダメだよ?わかってます。
それより先ほど所長の桑原さんにお会いしたのですが全ての事業の予算管理は彼が行っているようですねえ。
ああ所長を疑ってるのか…。
確かに立場を利用すればたやすいよね。
もう警察だって名乗ったの?いえ企業の人間を名乗って様子を見ました。
下手に警戒させると探れるものも探れなくなってしまいますからね。
それはどうかなあ…。
所長は企業の人間を低く見るところがある。
突っ込んでボロを出させるならいっそ身分を明かして正面から問い詰めた方が効果的かもしれないな。
参考にしてみましょう。
では今日はこれで。
…あ!そうそうもうひとつだけ。
はい。
倉田真理という女性の自殺をなぜ僕に話さなかったのでしょう?自殺の理由もわからなかった…。
話す必要があるとも思わなかった。
そうですか。
では。
あの!
(竹山)じゃああなたは刑事さんじゃないんですか?僕は加藤君の学生時代の友人ですよ。
(鈴木)なんだそうなんですか。
彼は学生時代から変わり者でしてねえ。
こちらで何かご迷惑はおかけしてませんか?おや…何か?まあ…優秀さの裏返しなんでしょうが加藤先生自分の関心に正直すぎるところがあって…。
昔から変わりませんねえ彼は。
で?前の研究所を辞めたのも突然研究テーマを変えるとか言い出してもめたらしいですし…。
なるほど。
なぜ辞めたのかと思ってましたがそうですか…。
で?正直うちみたいな請負の研究は向いてないかもしれません。
本当は自分の研究をやりたいんだと思いますよ。
今でも仕事が終わったあと勝手に施設使って何かやってるみたいなんですよ。
所長からもやめるように言われてるのに…。
それにあの部屋には機密扱いのサンプルもあるんです。
それはいけませんねえ。
僕から加藤君の方に注意しておきましょうか?いやいやそれはあの…。
そうですか?
(美咲)私間違った事をしてるんでしょうか?ねえひとつ聞きたいんだけど11月18日の夜ってお父さん何時頃帰ってきたか覚えてる?普段と同じ1時頃だと思います。
いつも終電まで仕事してるんで。
間違いない?間違いありません。
その夜たくさんの資料を抱えて戻ってきたのでよく覚えてます。
資料?これで全部です。
うんありがとう。
今お茶いれますね。
お構いなく。
掃除機の電源ケーブルで首をつったとありますねえ。
根元から切断すれば結構な長さになりますし耐久性もあります。
しかしなぜこのようなものを?他に代わりになるものがなかったんじゃないでしょうかね。
おやこれは…?ああこれはケーブルを切断する際に誤ってカッターで切ったと見られています。
どうぞ。
あっ…。
(桑原)警察の方がなんのご用でしょうか?さっどうぞ。
あっ…。
ちょっと確認したい事がありまして。
こちらの研究所にはいくつか実験室がありますよね?ええ…。
この実験室Bなんですが…こちらかなり広いんですか?いいえ5〜6名で使う小規模の実験室ですが…。
やっぱり…。
何か?いや実はこの実験室で同じ時間に2つの実験が行われた事になってるんですよ。
ひょっとしたらひとつは行われなかった…。
つまり架空の実験だったんじゃないかと思いまして。
架空の…。
11月18日倉田真理という研究員が不正に絡んで自殺しています。
その共謀者がこの研究所内にいる可能性が高い…と思われます。
わかりました。
こちらでも調査してみます。
(中川浩一)倉田君が不正をやっていた可能性があるというのは警察から聞きました。
被害届を提出して頂けるとこちらも捜査がしやすくなるんですが。
(中川)そのつもりはありません。
追及して回れば各方面の付き合いにヒビが入ります。
うちとしては消えた金よりそっちの方の損害が大きくなりますから。
頼まれてた彼女の私物です。
お手数おかけします。
誰かに殺されたって言うの?僕はそう考えています。
誰がやったの?遺書には不正が発覚する事を恐れて死ぬとありました。
当然遺書は偽装されたものでしょう。
君僕に何か隠していませんか?知ってる事は全部話してる。
…そうですか。
(店員)お待たせしました。
ちょっと伺いたいんですけど。
加藤です。
桑原所長が…辞めました。
はい?成田空港からメールで辞表が送られてきました。
以前から誘いのあったアメリカの研究機関にヘッドハンティングされたと言ってましたがこのタイミングです。
逃げたと考える方が…妥当でしょう。
うん…じゃあ。
君…桑原所長のところへ行きましたね?ええ。
倉田真理の不正の協力者があの研究所にいると思われたので。
桑原所長が辞職しました。
え?軽率な行動は慎むように言ったはずですがねえ。
お言葉ですが…僕は自分が間違っているとは思いません。
(加藤)これから…どうするつもり?倉田真理さんの死がもし桑原所長の犯行だとすれば放っておくわけにはいきませんねえ。
あとは…任せるよ。
彼はもうこの研究所の人間じゃなくなったわけだし僕が…口を出す事もないでしょ。
(竹山)あの…お会いしたいという方がいらっしゃってるんですが。
また君ですか!まだ僕の中で疑惑が晴れないものですから。
疑惑?倉田さんが亡くなった日の午後7時あなたほんとはここにいませんでしたよね?どちらにいらっしゃったんでしょう?あっ…失礼しました忘れてました。
あの日は…親しい研究者に会いに行ってたんです。
その人のお名前は?なぜそんな事言わなきゃならないんだよ!答えられないんですか?神戸君…もうここには来ないように言ったはずです!ふう…。
見損ないましたよ。
はい?性格に多少問題があっても捜査に関しては信じられる人だと思ってました。
どう取っても結構。
ただし僕の邪魔だけはしないでください!俺だってそれなりの根拠があって言ってるんです。
少しは信用してくれたっていいでしょう!フフフフ…。
残念ながら君の事が信用に足ると思った事など一度もありませんよ。
仕方ありません…。
(携帯電話の操作音)傷害及び器物損壊の現行犯です。
至急応援をお願いします。
杉下さん…。
残念ながら君はもう警察官ではありません。
犯罪者です!大丈夫?ええ…。
ご迷惑をおかけしますがご協力をお願いします。
(竹山)えっああ…。
やっぱりあなた…刑事さん…だったんですね。
現場保存をしたいのですが加藤君これら実験中の植物も証拠品としてお預かりする事になると思います。
待ってください!クライアントの納期が迫ってるんです。
ですから…ご迷惑をおかけしますと申し上げております。
お忙しいところ恐縮です。
いえいえ…残りの証拠品を取りに行って参ります。
(竹内)すぐにクライアントに連絡しないと。
すみませんねえ…。
加藤君君に話したい事があるのですが。
…うん。
こうすると思ってたよ。
竹山君…。
あなたですね?倉田真理さんを殺害したのは…。
彼女は自殺でしょ?それは偽装です。
彼女が桑原所長と組んで不正を働いていた事を知っていたあなたが仕組んだんですよ。
竹山…。
違う。
濡れ衣ですよ。
第一僕はその日研究室にいたんですよ。
仮に殺されたんだとしてどうやって僕がそんな事出来るというんです?だから…あなただと言ってるんです。
なぜならば彼女が殺害されたのはあの研究室ですから。
彼女の部屋にあった白衣。
1着以外は全てクリーニングのタグがついていました。
花粉や胞子がつく事もある白衣はクリーニングしてからしまう事が習慣となっていたのでしょう。
ところがそれを知らなかったあなたは彼女の遺体を部屋に運び込み研究所で死んだ事を隠すために白衣をそのままクローゼットに片付けてしまったんですよ。
彼女は研究員ですよ。
白衣なんてよそでも着るでしょう。
それだけでどうやってここで死んだって言い切れるんです?いや…もうひとつだけ。
彼女の指先には小さな傷が残っていました。
掃除機の電源ケーブルでロープを作る際にカッターで切ってしまったというのが所轄の見解でしたがどうも引っかかりましてねえ。
首をつるためにどうしてわざわざ掃除機の電源ケーブルを使わなければならなかったのでしょう?
(竹山)知りませんよ…。
他になかったんでしょう。
いいえ部屋には延長コードやベルトなど切らずとも代わりになるものはありました。
掃除機の電源ケーブルを使ったのはあなたの都合なんですよ。
もっとも必要としていたのはケーブルではなくカッターの方ですがね。
あなたは遺伝子工学の研究員ですから床などに落ちた血の処理程度の事はすぐに思いついたでしょう。
しかし実験中の植物にまで同じ処理を施すわけにはいきません。
微生物や細胞が壊れてしまいますし納期が迫る中すぐに代わりのものを用意する事も出来ない。
かといってそのままでは指先の不審な傷から警察が感づいてしまう事も十分考えられる。
そこであなたは別の策を考えました。
鑑定にかければ彼女の血液が検出されると思いますよ。
違う!俺じゃない。
どうして俺が殺さないといけない?理由はこれだよ。
彼女の会社で見つけた。
よっぽど興味がなかったんだろうね。
箱から出してもいなかったよ。
でこれ…。
クレジットカードの名義。
あんたの名前だった。
あの女が悪いんだよ…。
(倉田真理)ちょっとやめてよ!何考えてんのこんなとこで。
妻に君の事を話した。
は?もう後戻り出来ないんだ。
私には無理よ。
あんな指輪もらっても。
あんな指輪…?冗談よ。
(竹山)俺の事利用してたの?そんなわけないじゃない。
あなたの事…頼りにしてるわ。
あっいけない。
時間だ。
じゃあ。
ちょっ…やっ…。
(真理のうめき声)あんな女のせいで…。
あんな女なんか…。
(三浦信輔)ほらさっさと乗って。
(伊丹憲一)最後の最後に呼びつけやがって。
ガキの使いじゃねえっつうんだよ。
(芹沢慶二)まあいいじゃないですか。
手柄譲ってくれるっていうんですから。
はいはい。
ありがたく頂いときますよ。
(パトカーのサイレン)
(加藤)ふふん。
まさかあれがお芝居だったとはね。
ただでさえ厳重に管理された実験サンプルですからねえ。
しかも管理しているのが犯人となれば持ち出したいと言っても承知してくれるとは思えませんでしたからねえ。
(加藤)それで僕を利用したってわけ?君も僕を利用しました。
所長の桑原さんは君に研究を止めさせようとしていた。
一方桑原さんの不正を知っていた君は彼を排除するために警察に訴えようとした。
しかし訴えればスキャンダルとなりこの研究所も潰れかねない。
だから僕を利用した…。
ところでどうして君はそうまでしてこの研究所を守ろうとしたのでしょう?それは君がこれまで密かに続けてきた研究をこれからも続けていくためですね?先ほど研究室からこのローズマリーを少々失敬しました。
気になって調べたのですがやはりこのローズマリーからバイオマスエタノールを作る事は出来ませんでした。
ですが文献をあさるうちに非常に興味深い事実がわかりました。
このローズマリーにはHTLV‐1というウイルスに感染した細胞に対する抑制効果が期待されているそうですねえ。
HTLV‐1…白血病を引き起こすウイルスです。
長い潜伏期間を経て突然発症し急性の場合数日間で死亡する事もあるそうですねえ。
奥さんの事を調べました。
HTLV‐1キャリアだったんですね。
奥さんは汚染された卵を食べた。
あなたは現地でそう言って嘘の証言をした。
しかし本当の死因は…。
急性型成人T細胞白血病。
倉田真理さんが亡くなった日あなたが家に持ち帰った資料もその研究に関する事だったんですね。
美咲が生まれて…。
しばらくして妻が感染してる事に気がついたんだ。
なんとか発病を抑える手立てはないものかと研究を始めた。
色々と手を尽くしてると…。
この花に含まれる酸に…。
可能性がある事に気がついたんだよ。
それで…徹底的に研究した。
それが君が突然研究テーマを変えると言い出し東大の研究所を辞めた理由でしたか。
奥さんの命のためにあなたは長年の野心を捨てた。
一向に研究は進まなかった。
だが妻は元気だった。
(加藤)HTLV‐1は生涯発病しないケースも多い。
もしかするとずっとこのまま何事もなく生き続ける事が出来るんじゃないかって…。
どこかで思い始めた。
それで…南米行ったんだよ。
(加藤恵子)あなた…。
大丈夫だからね。
大丈夫だから…。
美咲…。
美咲を…お願い…。
恵子…。
恵子…!
(教会の鐘)どうして美咲さんに本当の事を言わないんですか?その嘘のせいでひょっとしたらあなたがお母さんを殺したんじゃないかって彼女疑ってるんですよ。
美咲が?僕に調べてほしいって頼んできたんです。
いいんだよ…。
美咲に話すつもりはない…。
なぜですか!?彼女だって父親を信じられない自分に苦しんでる。
美咲さんもうすぐ海外に留学してしまうんですよね?このまま行かせるんですか?加藤さん!母子感染…ですね。
え…?美咲さんも同じウイルスに感染している。
(嗚咽)まだ…。
まだあの子を…。
救ってやれないんだよ…。
でも…。
でも…。
HTLV‐1の発症率はそんなに高くないんでしょう?このままだと…。
失うものが大きいんじゃないですか?君に何がわかるんだ?妻は…目の前で死んでったんだよ。
み…美咲に…同じ事が起こらないってどうして言えるんだ!?神戸君真実を伝えるべきかどうか僕達がとやかく言える事ではありません。
『ロレンツォのオイル』…。
以前小説のネタにでもと僕に話してくれた事がありましたねえ。
君の話を聞いていて思い出しました。
うん…。
神戸君行きましょう。
まず倉田真理さんの事だけど…。
お父さんは全くの無関係だった。
お母さんの事は?確かに君の疑惑どおり死因は違ってたよ。
え…?お母さんは白血病で亡くなったんだ。
白血病…。
急性なものでお父さんにもどうしようも出来なかった。
(美咲の声)だったらどうして私に嘘をついたんですか?前に言ってたよね。
僕にお父さんの事を調べさせるなんて間違ってるんじゃないかって。
確かにそうかもしれない。
君が自分自身で確かめないと。
はいコーヒー…。
ああ…。
ありがとう。
(美咲)お母さんの事…どうして嘘ついたの?美咲…。
お父さん今日…早く帰る。
帰ったら話そう。
うん。
うん。
これで良かったんでしょうか…。
はい?いや…ああは言ったものの美咲ちゃんに受け止めきれるのかなって…。
加藤さんの研究だって本当に効果があるのかまだわからないんですよね?ええ。
あ…なんとかのオイルって確かそんな事言ってましたよね?あれなんなんです?『ロレンツォのオイル』…。
ある銀行員の5歳の息子さんが余命2年という難病にかかります。
銀行員は仕事を辞め一から生化学を勉強し菜種やオリーブからオイルを作り息子さんに与えます。
そのおかげかどうか息子さんロレンツォはそれから25年も生きたそうですよ。
思いは通じるって事ですか…。
そう願いたいものですねえ。
おい暇か?おやランチですか。
何でしょうねえ。
何かな?何?どうしたの?その顔。
色々ありましてねえ。
あそうだ。
言うの忘れてました。
神戸君ちょっと。
はい…。
君強く殴り過ぎでしたよ。
あ…どうもすいません。
なんでか力が入ってしまって…。
おやおや…。
2014/08/24(日) 10:00〜10:55
ABCテレビ1
相棒 season10[再][解][字]
「すみれ色の研究」
詳細情報
◇番組内容
杉下右京(水谷豊)と神戸尊(及川光博)の名コンビが難事件に挑む!豪華ゲストも見もの!
◇出演者
水谷豊、及川光博 ほか
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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日本語
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