さわやか自然百景「北海道 十勝海岸の湖沼群」 2014.08.24

(テーマ音楽)北海道十勝地方。
細長い砂地で海と隔てられた沼や湖があります。
ここでは砂地が決壊し水が海に流れ出る珍しい現象が起こります。
春には沼や湖の氷は一気に海へ。
そこに現れるのは鳥たちの楽園です。
独特な自然環境が支える鳥たちの命の営み。
十勝海岸の湖沼群。
砂地の決壊で大きな変化を遂げる春から夏を見つめました。
太平洋に面した北海道十勝地方の海岸線です。
およそ20kmに大小5つの沼や湖が並んでいます。
海と隔てているのは海流が運んだ砂が堆積してつくられた細い砂地砂州です。
かつて海の入り江だった場所が砂州で仕切られ沼や湖になりました。
周囲を広大な湿原で囲まれた静かな水辺。
多くの野鳥たちが暮らしています。
水鳥が狙うのは水中に住む生き物です。
水は細い砂地からしみこむ海水によって僅かに塩分を含んでいます。
ここに暮らすのはそうした環境を好む生き物たち。
その代表は…僅かに塩分のある水でなければ子孫を残す事ができません。
ここでは5cmほどまで成長するものもいます。
沼や湖の水面はまだ厚い氷に覆われています。
間もなく海と隔てている砂州に大きな変化が現れます。
周囲から流れ込む雪解け水で日に日に水かさが増していき砂州が少しずつのみ込まれていきます。
細い砂地がかろうじて海と隔てています。
ついに波打ち際ギリギリまで迫りました。
砂州が決壊。
砂地を崩し一気に海へと流れ出します。
この激しい流れに乗って動き始めるものがあります。
水面を覆っていた厚い氷です。
水の動きで砕かれながら一気に海へ向かって流れていくのです。
この壮大な現象は半日以上続きます。
(氷がぶつかり合う音)自然の力による砂州の決壊は世界各地の湖でもほとんど見られない珍しいものです。
鳥たちが一斉に集まってきました。
氷がなくなり水面が姿を現すのを今か今かと待っていたのです。
水が流れ出た事で水位が下がり魚や貝などが狙いやすくなります。
鳥にとっては絶好の餌場。
ユリカモメやアオサギなどさまざまな種類の鳥が集まります。
珍しい鳥も現れました。
国の天然記念物オジロワシです。
翼を広げると2mにもなる国内最大級のワシです。
体の大きなオジロワシは狙う獲物も大物。
捕まえたのは20cmほどもある魚です。
まだ雪の残るこの時期簡単には手に入らないごちそうです。
魚をつかんで飛び立つと…。
目ざとく見つけたもう一羽が襲いかかります。
(オジロワシの鳴き声)至る所でオジロワシたちのいさかいが起きていました。
(オジロワシの鳴き声)国の特別天然記念物タンチョウもやって来ました。
どうやら食べ物だけを目的に来たわけではなさそうです。
(鳥たちの鳴き声)この2羽はつがい。
ゆっくりと後ろから近づいているのがオスのタンチョウです。
この時期はタンチョウが新たな命を宿す繁殖期。
このつがいは食べ物が豊富なここを子育ての場所として選んだのです。
砂州の決壊から4日。
集まる鳥たちも変化していきます。
(鳥たちの鳴き声)続いてやって来たのは日本各地からシベリアなどの繁殖地へ帰る途中の渡り鳥です。
(鳥たちの鳴き声)群れでやって来たのはマガン。
およそ3,000羽が集まります。
こちらはオオハクチョウ。
浅く穏やかな水辺でゆっくりと羽を休めます。
数日とどまり旅立っていく渡り鳥。
砂州の決壊がもたらしたにぎわいもこれで一段落です。
渡り鳥たちが北へと旅立った頃周辺の湿原にタンチョウの姿がありました。
背の高い草むらに巣を作りその上に2つの卵を産み落としていました。
親鳥はそっと位置を整え卵を抱きます。
しばらくして現れた別の一羽。
つがいのオスです。
(鳴き声)2羽で調子を合わせて鳴き合う…こうして夫婦の絆を確かめ合っています。
タンチョウの子育ては夫婦で行う共同作業。
絆を深め合いながら1か月ほど卵を温め続けます。
砂州が決壊して3か月がたちました。
海から寄せる波で新たな砂が運ばれ砂州は元どおりになりました。
海岸に夏を告げる花ハマナスが咲き誇ります。
湿原に再びタンチョウの姿がありました。
つがいと一緒にいるのはこの春生まれたばかりの幼鳥です。
まだ生後2か月ほど。
自分で獲物を取ろうとしますがなかなかうまくいかないようです。
親鳥が湿原の小さな昆虫などを捕まえてくれます。
深い緑が枯れ草に変わる頃には幼鳥も飛べるようになります。
この湿原から新たな命が羽ばたきます。
北海道十勝地方。
春から夏劇的に変化する海岸の沼や湖に多くの命が支えられていました。
2014/08/24(日) 07:45〜08:00
NHK総合1・神戸
さわやか自然百景「北海道 十勝海岸の湖沼群」[字]

北海道・十勝地方にある、海と隣り合った湖沼。春、砂州が決壊して水が海に流出すると現れるのは野鳥の楽園。劇的に変化する環境が支える野鳥たちの命の営みを見つめます。

詳細情報
番組内容
北海道・十勝地方の海岸線に、細長い砂州で海と隔てられた大小5つの沼や湖があります。春には、水面を覆っていた氷が一気に海へ流れ出し、そのあとに現れるのは鳥たちの楽園。水深が浅く獲物を狙いやすい水辺は、絶好のえさ場になるのです。国の特別天然記念物タンチョウのつがいも、食べ物が豊富なこの場所を選び子育てを行います。春から夏、劇的に変化する沼や湖に支えらえた、多くの命の営みを見つめます。
出演者
【語り】