日本!食紀行 2014.08.24

世界文化遺産となって2年目の富士山。
そんな富士の北麓河口湖畔に謎めいた郷土料理があるんです。
いやあおいしいよありゃあ。
海のない山梨なのになぜかこんぶの料理?さらに形は人によって言う事が違います。
めまきのこりゃあなあ武士が刀を差すの。
富士山形に…こういうふうに巻いて…。
こういうふうに巻いて。
木花開耶姫のお姫様の形に三角に巻くんです。
形だけでも諸説紛々。
山梨でもごく一部の地域でしかも年に1度だけ作られるという伝統料理。
そのため山梨県民でも知る人が少ない謎の食べ物がこちらです。
その名はとてもシンプルですが地域の心を繋ぐ大切なものが残されている料理。
今週の『日本!食紀行』は海なし県山梨に受け継がれるこんぶ料理めまきに学びます。
富士のふもと山梨県富士河口湖町河口地区。
850世帯2300人が暮らします。
その中心に鎮座する世界文化遺産富士山の構成資産のひとつです。
平安時代大噴火した富士山を鎮めるためこの地に創建された歴史ある神社です。
(拍手)祭神としてまつられているのは木花開耶姫命。
美しい花々が咲き誇るような生命力を象徴した女神で富士山の噴火を鎮めるためにまつられた水の神でもあります。
地元の人々特に女性には安産の神子育ての神女性の守護神として愛され守られてきました。
河口地区はかつて御師の宿坊の街として栄えました。
御師とは富士山へ信仰登山に訪れた参詣者に食事や寝床を提供し祈祷や登山の案内をした人々の事。
江戸時代には140軒もの御師の家が並ぶなど富士山と深い関わりを持った町です。
神社の近くで生まれ育った毎朝の日課は河口浅間神社と家の敷地内にある屋敷神様へのお参りです。
っていうのと…。
っていう感じですね。
山梨県は記録的な大雪に見舞われました。
標高が高く富士山の北麓に位置する富士河口湖町では最大1メートル43センチもの積雪を記録。
陸の孤島となり例年以上に自然の厳しさを痛感しました。
4月下旬。
河口湖にもようやく待ちに待った遅い春が到来。
寒冷な気候のこの地域の人々にとって古来より春の訪れはどれほどの喜びだった事でしょうか。
河口地区の河口浅間神社周辺も春がいっぱい。
地域に命が満ち溢れる季節です。
めまきはそんな頃神社の春祭りに氏子の家で作られるもの。
河口湖でとれる小魚などを内陸では貴重な荒布というこんぶの仲間で巻き甘辛く煮込みます。
形が崩れないよう楊枝を刺し二等辺三角形に整えます。
その形は刀を差した侍という説また十二単をまとった木花開耶姫とも産着姿の赤ん坊とも。
さらに富士山に金剛杖とその家によって様々な伝わり方をしています。
この時期になると河口地区の女性はめまきの事が気になって仕方がありません。
仕上がりも気になるし…。
そう仕上がりがね。
そしてお父さんの友達にあげて今年はすごくおいしかったよって言われればああ良かったって…ねえやっぱり。
うちは息子も食べるだよね。
(三浦さん)喜んで食べてくれる人いりゃ嬉しいよね。
なんだってそうだけど…。
そういうね…やっぱりお祭りはこれだね。
これがなくちゃねって…ねえ。
お赤飯食べながらこれがなきゃねって言って食べるからね…。
河口地区の春はめまき抜きには語れないのです。
ところでどうして海なし県山梨の家庭でこんぶ料理が作られるのでしょうか?河口地区の食文化などを調査研究している橋さんに伺ってみると…。
なんとも言えませんね。
はい。
(橋さん)まあただ春の喜びを分かち合うため貴重な海の幸こんぶを使った料理が生まれたのかもしれません。
富士のふもと河口地区に命の息吹が満ちる頃この季節は地域の人々の生きるための活動が始まる時期。
この日梶原佐起子さんのお宅では親戚が集まって稲の種まき作業が始まりました。
梶原家では子供まで総出で苗床を作るのがいつもの風景です。
苗を育てるための箱に土を入れ種もみをまいていきます。
先日めまき話に花を咲かせていた佐起子さんは孫たちの相手やお茶の準備。
そして家の中には生まれたばかりのお孫さんの姿も。
生後1か月半の光博くんです。
(梶原さんの笑い声)男の子のほうがねなんとなく風邪を引きやすいとか育てるのに大変なような感じね。
張り切ってお手伝いをしているのは8歳になる孫の千寿ちゃん。
春祭りでは神社に稚児の舞を奉納する予定です。
地域の伝統を支える新しい力しっかり育っているようです。
河口浅間神社の春祭りが近づくと地域の商店では荒布こんぶが店頭に並びます。
この季節ならではの春の風物詩。
さらに鮮魚店にはめまきに使う魚が。
けれども最近では少し変化があるそうです。
一番人気はなんとサバ!毎年やっているからね。
以前は湖の小魚でしたが漁獲量の減少もあり最近では海の魚が人気だそうです。
春祭り数日前三浦佐恵子さんのお宅がめまき作りを始めました。
今年は近くに住む2人のお嫁さんが初めてめまき作りを覚えにやってきました。
(三浦さん)ぎゅっと爪でこういうふうにして…。
もうちょっとでしょう。
(一恵さん)芯がある?
(初美さん)ちょっと硬い…。
(三浦さん)もうちょっとゆでて…。
あときっと5分くらいゆでればいいかなと思うんだけど。
荒布は硬いこんぶなのでゆでるのに時間がかかります。
実際に経験してみないとわからない事です。
(三浦さん)茎を持ち上げて…ほらこう。
(初美さん)うわあすごい!
(一恵さん)すごいすごい。
(初美さん)これはすごい。
(一恵さん)出して水変えるだけ?水変えるだけ?
(三浦さん)水を変える。
(初美さん)一緒でいいの?別?
(三浦さん)一緒でいい!
(一同の笑い声)
(三浦さん)そんな早くしなくて大丈夫…。
(一同の笑い声)
(三浦さん)お祭りだねこりゃあね。
(三浦さんの笑い声)
(一恵さんと初美さんの笑い声)三浦さんが荒布こんぶで巻くのは河口湖産のワカサギやニジマスの甘露煮。
大雪で不漁だった今年のワカサギは特に貴重です。
あなたたちはさ巻きいいのから巻きな。
こういうこぶのいいのから。
ほらいいでしょこれ。
ああ!巻いていけばいい。
うん巻いていく。
で荒布が多少尾っぽが出てもいいです。
こういう感じで…。
ぎゅってやるの?そうかなり。
このぐらいきちっとこういうふうにして…こうして…こうして…。
こういうふうに巻いていく。
右に巻いていかないと駄目だ。
(三浦さん)それはいいけどここで引っ張る。
かなり。
ああ…。
で左右ね右左に交差してけばいいんだ。
(三浦さん)こうしてけばほら二等辺三角形でしょ。
うまいよ一恵ちゃん。
(一恵さん)本当?
(三浦さん)なんにしろなるたけきつく巻く事。
(一恵さん)きつく巻く…。
(三浦さん)うん。
(一恵さん)お義母さんどう?
(初美さん)いいんじゃない?ああいいいいいい。
でどこ留めるの?そいで今の巻き終わりのこぶがあんまり端々だとはじけちゃうからちょっと内めを留める。
(一恵さん)出しちゃう?
(三浦さん)ぎゅっと…うんぎゅっと出しといていいよ。
(一恵さん)こんなんでいい?
(三浦さん)いいそれでいい。
(一恵さん)わかりました。
(三浦さん)十分十分。
私思わなかったよね本当に。
ただ仕上がったものを…。
食べるだけだよね私たちは。
おいしいって言ってねもらってね。
そうそうもらっていくだけだった本当に。
同じ頃梶原さんのお宅でもめまき作り開始。
お隣の富士吉田市から嫁いで48年。
めまき作りはお姑さんから教わりました。
昔はそれこそ本当にどこのおうちでも。
今でこそ…。
するとそこに孫娘の千寿ちゃんが帰ってきました。
(梶原さん)帽子脱いでさ手洗ってきてよ。
これ巻くだから。
好奇心旺盛の千寿ちゃんめまき作りをお手伝いです。
固くやって…引っ張りながら。
こっちの手も動かすんだよ。
それじゃ…。
(2人の笑い声)手がぐるぐる巻き。
ぐるぐる巻きじゃ駄目なの。
富士山の形にしなきゃ駄目だこれは…。
小さな手で巻く初めてのめまき。
(梶原さん)ねえ上手だね。
(千寿ちゃん)よし…。
上手に出来たようです。
こんぶを巻いたら大なべで煮込み開始。
手間と愛情をかけここからは3日間じっくりと煮込んでいきます。
別名めまき祭りとも呼ばれる河口浅間神社の春祭り。
あちこちのお宅でいっせいにめまきが作られお母さんたちにとっては一大イベントとなっています。
庭でめまきを煮込むのはこの地域ならではの春の風景。
しかし手間がかかるので年々作るお宅が減っているのも事実です。
三浦さんのお宅では煮込みの真っ最中。
2人のお嫁さんのうちの1人一恵さんが味付けを手伝っていました。
(三浦さん)あっ今度はよく煮えてる。
(一恵さん)あっやわらかい。
(三浦さん)ねえ。
(三浦さん)もうねえ…大丈夫明日仕上がる。
あっ本当よかったね。
味付けは砂糖や醤油などで甘辛く。
目分量だね。
目分量。
まだほらどうせ…あれだから。
こんなもんかな。
結構きいてるきいてるきいてる。
(一恵さん)えっどう?どう?甘い!
(三浦さん)甘い…ハハハ…甘い。
(一恵さん)ちょっと甘いかな。
ちょっと甘みが少しあれでしょ。
(一恵さん)あっでもこの味だ。
この味。
ねっ濃いめがね。
味を調えひたすら煮込んでいきます。
ええっ砂糖あれしか入れなかったのにこんなに甘いんだ。
そうそうそうそう。
三浦さん出来上がりを持ってご近所の梶原さんのもとへ。
いつも味を相談し合っています。
私もうちょっと濃いほうがいいと思う。
そうよな。
(三浦さん)ほんのちょっと。
ちょっとね。
でみりんを入れたかったのが入れてないからみりんをちょっと入れて…。
でもおいしいわ。
やわらかく煮えてる。
もうちょっと濃くしよう気持ち。
うん気持ちね。
みりんと醤油を入れようね。
うんうん。
めまきが結ぶご近所の繋がりです。
どこが違ったんだろうってさ…。
いよいよ春祭り当日がやってきました。
三浦家は朝から大忙し。
祭りに欠かせないのはめまきだけではありません。
お赤飯や様々なお料理も用意します。
これをパック詰めにして親戚に配るのです。
めまきを中心にすごい量ですね。
旦那さんの司郎さんもパック詰めをお手伝い。
三浦家からも孫の光ちゃんが稚児の舞に参加します。
お料理だけでなく着付けにとてんてこ舞い。
一方梶原さんのお宅では孫の千寿ちゃんが稚児の舞の準備完了。
でも慣れない姿にちょっと恥ずかしそうです。
そのぐらいで頑張って。
いってきま〜す。
いってらっしゃい。
ヒマ。
超ヒマ。
はいよ〜。
(シャッター音)
(くしゃみ)かわいいね。
河口浅間神社の春祭りにはめまき祭りだけでなく孫見祭りという別名もあります。
祭神の木花開耶姫を乗せた神輿が神社を出発しご巡行は一路河口湖の湖畔にある小さなお社へ。
産屋ヶ崎という場所には木花開耶姫の息子夫婦がまつられていて生まれた孫を産着を持って見舞う事から孫見祭りの呼び名が付きました。
この地に生命力が満ちる春に行われる例大祭には新しい命を寿ぐ意味合いもあるのです。
祭りでは地域の女の子たちによる稚児の舞が。
富士山の噴火を鎮められた木花開耶姫のご苦労に感謝して3種類の舞が奉納されます。
梶原さんのお孫さん千寿ちゃん。

(囃子)三浦さんのお孫さん光ちゃんも頑張っています。
昔も今も稚児に選ばれて舞いを奉納する事はとても名誉な事とされています。
富士河口湖町の子供たちはこうして地域の文化に幼い時から触れて育ちます。
ところで千寿ちゃんのおばあちゃん梶原佐起子さんの姿がないのが気になりましたが…。
その頃梶原さんは自宅で生後間もない孫の光博くんにミルクをあげていました。
(梶原さん)でも今朝はねすごい笑ったんだよ顔見て。
声を出したりして。
自分の子供はすごい怒ったけど孫に手をあげるなんてよっぽどじゃなきゃ出来ないね。
そんだけ人間が…角が取れてきたのかなあと思ってね。
自分でも思うよね。
こちらもある意味孫見祭りでした。
祭りの日地域の家庭には遠くから親戚が集まります。
毎年お客さんをめまきでもてなし春の訪れをともに祝います。
これを取って…。
ああ大丈夫だよ。
現代っ子はめまきを喜ぶのでしょうか。
おいしいです。
また別のお宅でもやっぱり食卓の中心にはめまきが。
おいしいね。
そうだね。
そしてもちろん梶原さんのお宅でも。
これ千寿のだよ。
千寿の?やった千寿の。
いただきま〜す。
(民博さん)ああ〜良かったね。
うまい。
(梶原さん)ばあちゃん千寿のじゃないけど。
自分で味を付けたから。
稚児の舞の大役を果たした千寿ちゃん。
今度は自分で作っためまきを味見。
こうして少しずつ地域の一員に育っていきます。
三浦さんのお宅にも息子さんとお嫁さんたちがそろいました。
うんおいしい。
(三浦さん)おいしい?
(三浦さん)良かった。
1年ぶりに…。
自分も巻いたし…。
(一恵さん)いつもの味だよね。
Dialog2014/08/24(日) 06:00〜06:30
ABCテレビ1
日本!食紀行[字]

世界文化遺産・富士山。その麓、富士河口湖町に謎だらけの料理が!昆布で魚を巻き、甘辛く煮込んだ“めまき”。
山梨県民にすら知られていない、伝統食の謎に迫ります!

詳細情報
◇番組内容
河口地区の中心に鎮座する河口浅間神社は、864年に起こった富士山の大噴火を鎮めるために創建された歴史ある神社です。祭神は富士山の女神・木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)。河口地区はかつて神社を中心として「御師の街」として栄えました。御師とは富士山へ信仰登山する参詣者に宿を提供し、祈祷を行った神職者。江戸時代の最盛期には140軒もの御師の家があり、古くから富士山との関わりの深い地域です。
◇番組内容2
その河口浅間神社の春の例大祭で、氏子の家庭で作られる料理が「めまき」。川魚をアラメという昆布で、二等辺三角形に巻き、甘辛く煮ます。海のない山梨で昆布料理というのも珍しいのですが、形の由来は「御姫さま」「侍」「産着」「富士山」と諸説紛々。春祭りは「めまき祭り」とも言われるほど、地域で大切にしてきた郷土食。最近は作る家庭が減っていますが、地域のお母さんたちが子や孫に「めまき」を伝えています。
◇番組内容3
日本全国各地の「食」を通して、地域の歴史や文化、人々の英知や営みを学び、温かいコミュニティーなどを四季折々の美しい風景とともに描き出す教育ドキュメンタリー番組。
◇ナレーション
原 香緒里(山梨放送アナウンサー)
◇音楽
エンディングテーマ曲
Bom Dia ! / 柏木広樹
◇制作
企画:民間放送教育協会
制作著作:山梨放送
◇おしらせ
☆番組HP
 http://www.minkyo.or.jp/

この番組は、朝日放送の『青少年に見てもらいたい番組』に指定されています。

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
趣味/教育 – 生涯教育・資格

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映像
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日本語
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