イッピン「変幻自在!カラフルに輝く布〜山梨 甲州織物〜」 2014.08.24

東京・新宿の老舗デパート。
訪れたのは元宝塚の女優…梅雨を前にあるアイテムを探しにきました。
あ〜傘!かわいい!すごい。
お目当てのイッピンは色とりどりの傘。
わ〜すご〜い!え!これ織物なんですか?よくよく見て頂くと…。
織物なんですこちらも。
…本当ですね。
すごい細かいですね。
(メーカー)そうなんです。
この傘山梨生まれの「甲州織物」という生地で作られています。
フフフ…。
ルンルンしてきちゃいますね。
一見模様がプリントされているように見えますが…。
実は糸を高密度に織ることで細やかな表現を作り出していたんです。
甲州織物ってこういうふうに華やかな織物なんですね。
糸を染めてから織り上げるということでいろんな色合いだとか表情を出す織物ができます。
すごく光沢があってこう回すといろんな色が見えてきますね。
すごくきれい。
はい。
繊細でカラフル!甲州織物に秘められた技とは?山梨県富士吉田市を中心とした地域が甲州織物の産地です。
気持ちいいですね天気もいいし。
富士山がこんな目の前にあって。
こんな近くで見たことないからすごいすてき!ここでは傘やネクタイ服の裏地などさまざまな生地が作られています。
美しい模様を施す技術がこの地方に脈々と受け継がれてきました。
映美さんが訪ねたのは傘の生地を作る工場。
こんにちは!幕末からおよそ150年続く織物メーカーです。
わ〜すごい!
(機械音)
(機械音)音がすごい!
(機械音)わ〜すご〜い!わ〜すごい!なんかちょっとびっくりしてるんですけど。
細い糸がせわしなく動き瞬く間に布になっていきます。
12000本?わぁすごい!甲州織物は使う糸が非常に多いことで知られています。
顕微鏡でのぞくと僅か1ミリ四方に縦と横合わせて15本ほどの糸が。
糸の密度が高いため水を通しにくく傘にうってつけの生地になるのです。
先染めした糸を織り上げるのが甲州織物のもう一つの特徴。
この生地の場合織物のベースとなる縦糸はピンク色で染められています。
横糸に使うのは赤緑黄色の3色。
この色鮮やかで細い糸を織っていきます。
では先染めの糸でなぜ絵画のような表現ができるのでしょうか?縦糸に打ち込まれているのは黄色の横糸。
次に緑。
そして赤。
3色の横糸が順番に織り込まれているだけに見えますが…。
実は柄に合わせて表に出す部分を調整しているのです。
この陰影のついた花びらを例にどのように織られていくか見てみましょう。
赤い花びらの部分。
表に赤の横糸が多く出るように織られてます。
オレンジ色の部分は黄色の横糸を少しだけ表に。
赤と黄色が交ざることでオレンジ色に見えるのです。
緑の横糸はここにない色なので表に出しません。
4色の糸を高密度に組み合わせることで複雑な模様を作っていたのです。
4色の糸だけで織り込まれた華やかな生地。
それぞれの色が見事に調和しています。
糸の染色は甲州織物の命です。
ありましたね。
染色屋さんここだ。
そこで訪ねたのは染色を専門とする職人。
この道30年の…見せてください。
はい。
案内します。
今から染める糸なんですけども。
いっぱい糸がありますね。
白い糸を今から色付けていくんで。
こんにちは!よろしくお願いします。
工房では羽田さんの家族5人で染色を行っています。
これが染める前の糸。
溶いた染料を流し込んでいきます。
すると…。
わ〜染まってきた!わ〜なんか感動しちゃう!わ〜!染色には富士山の麓を流れる伏流水をくみ上げて使っています。
普通の水道水だとまた違ってくるんですか?そうですね。
塩素も入ったりしてるんでやっぱり天然水なんで。
それで色が変わってきたりとか。
良い色が出るって評判ですね。
やっぱり違うんですね。
豊かな水を生かして染め上げるのも地域に伝わる伝統の知恵です。
わぁすごい!では繊細な色はどのように作るのでしょうか?案内されたのはまるで実験室のような部屋。
うわぁ。
羽田さんはここでメーカーやブランドが注文する色を作り出しています。
これから何をするんですか?お客さんから注文が入りましてこれ実は傘になるんですけれど。
この色とこの色本番で染める前に試験をする。
作ってみるということですね。
そうです。
はいはい。
新商品の度に新しい色が求められます。
今回はこの2色。
指定された色を寸分たがわず再現しなければ織った時に全体のイメージが変わってしまうため責任は重大です。
まずは以前染色した糸から近い色を探し出します。
毎回注文ごとに染料を配合するため一つとして同じ色はありません。
えっと緑の方は…。
ちょっとこっちの方が青いかな。
近い色を見つけたら染料の配合を確認します。
(羽田)7番ですね。
グリーンの方ですね。
まずは黄色の染料を20ミリリットル入れます。
はい。
分量を計りながら染料を1ミリリットル単位で微調整。
ここですね。
緊張しちゃった。
フフフ…。
これで…?これで調合終わりですね。
これを何度も繰り返し少しずつ求められている色に近づけていきます。
これ毎回されてるんですかオーダーがあったら?そうです。
大変な作業。
ここで色を出してさっきの現場へ行って同じ色が出るように。
ここが納得できなかったら…。
駄目ですね。
ここが命なので。
この作業が。
一番時間がかかる…?やっぱり一番こだわり持ってここをやってますねはい。
1時間かけて染料をじっくりと糸に染み込ませます。
果たして注文どおりの色が出来上がったのでしょうか?この緑はバッチリ!いいんじゃないですか?これで完成!かと思ったら…。
あの蛍光灯で確認を…?蛍光灯種類がいろいろあって。
羽田さんなぜか部屋の隅にあった蛍光灯を付け替え始めました。
あの…どうして蛍光灯を替えないといけないんですか?デパートの売り場の上に蛍光灯がありますよね。
その蛍光灯に合わせて外では買わないですもんね。
自然の光では買わないんでその蛍光灯の下で合わせてくれと。
へぇ〜。
お店の蛍光灯に合わせてるんですね。
光によって色の見え方は微妙に変わります。
その為染め上げた糸は必ず店の照明と同じ光に当てチェックするのです。
え〜っと。
青は…こっちはぴったりですね。
これは大丈夫です。
そうですね。
こっちはう〜んと…これはぴったりというわけにはいかなかったですね。
もうちょっと青を減らして…。
ちょっと緑を強くするんですか。
羽田さんこの色は注文よりもごく僅かに青みが強いというのですが違い分かりますか?難しいですねこれ。
すごいですよね。
一から調合をやり直し。
職人の飽くなき探究心が最高の色を作りあげます。
女性向けファッション誌に掲載されここ数年注目されている甲州織物があります。
それがリボンがついたネクタイ。
東京渋谷のセレクトショップでも若い女性を中心に人気。
フォーマルにもカジュアルにも使えると評判です。

(店員)こんな感じでどうでしょう?
(客)パーカーでもかわいい。
(店員)うんかわいい。
いい感じ?
(客)いい感じ。
(店員)いいですよすごく。
人気の秘密はシルクで緻密に織られた生地。
デザイナーの2人も甲州織物の繊細な質感に驚いたといいます。
(ジャミー)最初触るのに緊張するぐらいきれいだったので届いた時ちょっと「うわ〜」ってなって。
(エイリ−)思ってた以上にしっかりしていて高級感があるのにかわいくて。
うちのマークがあるんですけども靴の先に見えるか見えないかぐらい靴の艶の部分がヌキがありますがいろんな物を作る時に大体このヌキがでない事が多いんですけど上がってきたのを見たら「ある!」と思ってすごいビックリです。
緻密な織りが上品さを醸し出します。
そんなネクタイの生地を織る工場を訪ねました。
ネクタイ用の生地は上品さを出すために細い絹糸を使っています。
しかしそれゆえに生ずる問題がありました。
機械に設置された縦糸。
髪の毛より細い糸が決まった配列に従って1万本も並んでいます。
この縦糸が終わってしまう時が一番大変な作業になります。
この膨大な本数の縦糸。
どのようにつぎ足していくのでしょうか?その難問を解決するプロがこちら!勝俣さんは「よりつけ」と呼ばれる作業を専門とする職人。
縦糸が終わりそうになると工場から依頼され新しい糸を継ぎに来るのです。
配列に従って並ぶ1万本の縦糸。
たった1本でもズレたり絡まったりしてしまうと緻密な生地が台なしになってしまいます。
(勝俣)本当はこっからここへ来るんだけどここへ引っかかってこっち来てるんだよね。
勝俣さんは配列の違う糸を見逃すことはありません。
指の感覚だけで糸のよれを感じ取りすばやく直していくのです。
ここで取り出しのが「タイイングマシン」と呼ばれる機械です。
終わりかけの糸と新しい糸をこの機械にかけると…。
あっという間に糸同士が結ばれました。
2本の糸を一緒に取り込み機械の中で結ぶ仕組み。
最後に余った糸が一本も出なければ全てが正確に継ぎ足されたことになります。
果たして糸の数はぴったりあっているのでしょうか。
見事1万本の糸が正確に結ばれました。
ここにイッピンの技あり!やりました!ハハハ。
以上。
終了!やりきった時の達成感。
ただそれだけだね。
緻密で上品な甲州織物の生地。
それを支えていたのはたくさんの糸を自在に操る職人技でした。
甲州織物の歴史を物語る珍しい布が保存されていると聞き訪ねました。
うゎなんかお宝みたいな。
私も手袋をした方がいいですか?はい。
どうぞ。
重厚な木箱を開けると…。
これは昔の羽織なんですけれども羽織のこの青い所をご覧下さい。
あぁ!これはもしかして…。
「甲斐絹」です。
甲州織物のルーツの甲斐絹になります。
甲斐絹は江戸時代後期から昭和初期まで作られていた絹織物。
こうして着物の裏地でおしゃれをするのが江戸っ子の「粋」とされていました。
色とりどりの裏地が生まれたのは他の地域との差別化を図るため。
商人の目に留まりやすいよう鮮やかで手の込んだ織物を作るようになったといいます。
こんな織物も。
今これ何色に見えますか?え?紫のようなブルーのような。
かすかにピンクを感じるような…。
ちょっと90度回してみて下さい。
あれ?タマムシのように角度によって色が変わって見える「玉虫甲斐絹」。
なぜ見る角度で色が変わるのでしょうか?生地を顕微鏡で拡大すると…。
青とピンク2色の糸だけで織られているのが分かります。
実は光の当たる方向によって色が違って見えるのです。
右から光を当てるとその方向に沿った青の繊維は光を反射して色が見えにくくなります。
そのためピンクだけが目に入るのです。
生地に対し光の方向が変わると今度は青だけが目に入るというわけなんです。
技術は更に進化します。
こちらは明治時代に流行した「絵甲斐絹」。
今度は見る角度によって絵が浮かび上がってきます。
夕焼けの中鶴が舞うデザイン。
一体なぜ絵柄が浮かび上がってくるのでしょうか?不思議な布に隠されていた仕掛け。
それは縦糸に直接描かれた絵でした。
ここに横糸を通すと先ほどと同じ原理で光の当たる方向によって見え方が変わるのです。
常に新しいものを作るという職人の気風。
それが甲州織物の技術を高めていく原動力となったのです。
旅の終わりに映美さんがどうしても訪れたい場所がありました。
元宝塚のトップスターとして数々の衣装に袖を通してきた映美さん。
そんな舞台衣装の生地を甲州織物で作るデザイナーがいると聞いたからです。
こんにちは。
おじゃまします。
映美くららと申します。
よろしくお願いします。
わ〜すごい!たくさんある!わ〜!ワクワクする。
はい。
山ほど生地が…。
宮下さんがデザインした生地は500種類以上。
これは光の反射によってバラの花が浮かび上がるデザイン。
光を反射させる糸が使われています。
宮下さん会心の作がこちら。
有名なミュージシャンの衣装に採用されました。
かわいらしい!すごいですね。
きれい。
光沢を放つ鮮やかな花模様が美しい織物。
先染めの糸ならではの発色の良さです。
これを着た人物とは?
(忌野清志郎)わぁそれは感動しますね!がんで長期療養中だった忌野さんが2008年の復活ライブで着用しました。
あまたある生地の中から忌野さん自身が選んだといいます。
(宮下)この花の中がサテンの組織を使ってるんですけどここの光沢感がやっぱり柄がすごくポップで元気いっぱいなのに高級感があるってところがなかなかそのミスマッチ的なところが珍しかったんだと思います。
甲州織物の特性を知り尽くした宮下さんだからこそ作れたデザインです。
かわいいワンピがいいです。
フフフ…。
そんな宮下さんが開発中の織物があります。
この織機でさっきの柄を…。
先ほど見せて頂いたものです。
織ります。
大胆に花の模様をあしらったこの生地。
ここに宮下さんのある工夫が…。
そのために縮む糸を入れてまして。
横糸の一部に伸び縮みする糸を使っています。
今これはどこに使われてどういう効果が…。
そうですね。
こういうところに。
飛んでるのが分かりますか?はい分かります。
これが縮む糸なんですけど。
織機から降ろすとギュ〜って縮みますね。
そういうことなんですね。
はい。
これは生地の裏側。
伸び縮みする糸がどんな効果を生み出すのでしょうか?先ほどの生地が織り上がりました。
本当だ!全然違う。
伸縮性のある糸が布を引っ張り生地に立体感を持たせています。
高密度で織る技法によって咲き誇る花の表情が細やかに表現されました。
あ〜いいですね。
なんか想像膨らみますねこうやって布を見ていると。
あれも作りたいこれも作りたいって思ってしまいます。
それはやっぱりずっと関わっていらっしゃったからだと思います。
いいえ。
布がステキだからです。
斬新なアイデアを実現する伝統の技。
数々の職人たちが連携して織りなす艶やかな生地。
革新を続ける甲州織物は見る人を驚かせる新鮮な表現に満ちています。
2014/08/24(日) 04:30〜05:00
NHK総合1・神戸
イッピン「変幻自在!カラフルに輝く布〜山梨 甲州織物〜」[字]

今回は「甲州織物」。多くの職人が関わって織る布は、まさに芸術品。舞台衣装にも使われ、トップスターたちが着こなしてきた。宝塚出身の女優・映見くららが秘密を探る。

詳細情報
番組内容
今回は、山梨県の「甲州織物」。ネクタイや傘などに使われる、美しくて繊細な布だ。粋な江戸っ子たちの着物の裏地に使われ、華やかで技巧的な織物として知られてきた。微妙な色を作り出す染色や、膨大な糸を操る作業など、随所に職人のワザが。織りあげられた布は、まさに芸術品。舞台衣装にも使われ、トップスターたちが着こなしてきた。宝塚出身の女優・映見くららが、絵画のような美しい模様を持つ布の秘密を探っていく。
出演者
【リポーター】映美くらら,【語り】平野義和

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32080(0x7D50)
TransportStreamID:32080(0x7D50)
ServiceID:43008(0xA800)
EventID:10317(0x284D)