Crossroad<長谷川大樹> 2014.08.23

この料理あなたはおそらく食べたことがないはず。
クリーミーな味わいとプルップルの食感。
そんな絶品の正体は…。
なんと毒針を持つホシエイのキモ。
網にかかっても捨てられていた魚。
ましてやそのキモなんて食べられるわけがないと思われてきましたが…。
そしてこれは人呼んで幻のたたき。
こちらの正体はヒメイトマキエイ。
透き通る赤身の味にマグロをこえる評価が。
こんな魚たちを世に送り出したのが今魚の流通を変えようとしている卸専門の魚屋さんです。
この金目鯛も実は皮はパリッ身はほろりそれでいてジューシー。
キンメの持ち味が驚くほど極まっています。
食べられないと思っていた魚が食べられるおいしい魚がもっととんでもなくおいしくなる。
そこには長谷川さんの施す魔法が。
普通はみんなヘンタイ魚屋って呼んでますけど。
わかりやすく言うと魚を熱烈に愛し究極の味を追い求める。
そのワイルドな日々に密着しました。
人の行く道は一本道とはかぎらない。
突然に岐路が現れ進路を選ぶことで旅路は続く。
この人はどんな道を歩むのだろう?魚をおいしくする魔法の魚屋長谷川さんの1日が始まります。
魚屋といっても店はありません。
長谷川さんはこの軽トラで魚を仕入れレストランや料理店に納めています。
では魔法はいつ繰り広げられるのか。
私たちが最初にそれを目撃したのは市場でのことでした。
こうした市場で獲れたての魚を競り落とし氷で冷やしながら持ち帰って売るそれが通常の魚屋さん。
キンメキンメイナダ持ってけイナダ。
しかし長谷川さんは魚を競り落とすとすぐさまあることをします。
頭に穴をあけ何やら細いワイヤーを入れています。
これが長谷川さんの秘技頭にあけた穴から細いワイヤーを通し背骨に沿った神経を取り除くことで身が硬くなるのを防ぎ獲れたてのおいしさをそのまま長時間保つことができるというこの技。
傷口はほんのわずか。
見た目もほとんど損ないません。
(スタッフ)どんな味なの?
(スタッフ)雑味って何なんですか?わかりやすく言うと神経締めでおいしい魚がもっとおいしく食べられる。
それだけじゃない。
これまで捨てられていたサメやエイなどの魚が食べられるようになると言います。
このエイも神経締めしたあと嫌な臭いのもととなる表面のぬめりを丁寧に取り除きます。
ひと手間ふた手間かけることで捨てられていた魚が絶品食材に変わるのです。
でも本当にそんなに味が違うものなんでしょうか。
長谷川さんの魚を実際に使っているプロに話を聞いてみることにしました。
こちらは鎌倉のイタリアンの名店。
おはようございます。
おはようございます。
ありがとうございます。
一応簡単に磨いてあります。
はい。
それ一応血抜きはある程度は終わってますので。
ふ〜んすごいきれい。
これまで誰も食べていなかったホシエイのキモ。
それが。
(長谷川)軽いですよね。
軽くて…。
あっうまい全然くさみないね。
(長谷川)くさみないですよ。
そして生まれた絶品イタリアンがこちら。
まろやかなキモにさわやかなビネガーソースを合わせた逸品。
そのとろけるようなのど越しに食通の常連客も。
そうなんです。
続いては横須賀で評判のこちらのお店へ。
超でかいの?生々しい!でかっ!ありがとうございます。
透き通る赤身の食感はやわらかな牛肉のよう。
噛むほどに旨みが広がります。
今や美食家の街鎌倉のガイドブックでは長谷川さんの魚が食べられる店の特集まで組まれています。
また神経締めの魚は時が経つと新たな味わいを生みます。
熟成するのです。
これは神経締めをしていない魚とした魚の比較。
神経締めをしていないほうの身にはうっすらと血がにじんでいます。
これが傷みやすくなる要因。
一方神経締めをしたものは白いまま。
傷みが早いと思われている魚も生のまま保存し熟成させることが可能になるのです。
更に神経締めをしていない魚は死後旨みのもとがどんどん減っていくのに対し神経締めしたものは維持されています。
その差は歴然。
同じ魚じゃないんで。
熟成した魚はどんな料理になるんでしょう。
新宿の割烹で見せていただきました。
これはやはり身には赤く血が回っています。
一方こちらは身が白いのは血が回っていないことに加え身の脂が溶け出しているためだそうです。
鮮やかな赤い皮と白い身の金目鯛を料理人が焼き上げました。
熟成により豊潤に脂が行き渡っていますがそれでいてしつこさや魚くささはまったくなし。
かつてなかった味わいです。
どんな魚も捨てられていた魚さえも手をかければ必ずおいしくなる。
魚の持つ無限の可能性を伝えたい。
そう強く願う長谷川さんは週に二度漁船に乗せてもらいまさに獲れたての魚を仕入れています。
そこまでして魚の本当のおいしさを追求する陰には彼が自ら身を持って学んだ経験がありました。
魚を獲って食べるのが大好きだった長谷川少年。
それが高じ二十歳のときには大学を休学し鹿児島の漁師に弟子入りします。
卒業後いったんはサラリーマンになりますが海で知った魚の本当のおいしさが頭から離れることはありませんでした。
そのとき思い出したのが漁師に弟子入りしていた頃に聞いたこの言葉。
そこで自分で獲った魚で試してみたところこれがとんでもなくうまい。
長谷川さんは神経締めを武器にした魚屋になることを決めました。
けれど1匹ずつ行う神経締めは手間のかかる作業。
と冷ややかな目が向けられるなか長谷川さんは神経締めによって生じる味のよさを根気強く伝え一軒一軒お客さんを増やしていきます。
そしてそんな地道な努力の積み重ねが今水産業界を動かそうとしていました。
神経締めの技術を教えてほしい。
長谷川さんのもとにある自治体から正式な依頼が舞い込みました。
神経締めを教えてほしい。
長谷川さんにそう訴えたのは遠く離れた青森県佐井村。
目の前は津軽海峡の恵まれた漁場とあって村の基幹産業は漁業。
しかし青森市まで車で4時間という流通面での悪条件からせっかくの魚が安くなってしまうのです。
更に漁師の数は年々減り現在の漁獲高はピーク時の3分の1。
そんな厳しい現状の打開策が魚の鮮度を保ち流通の不利をひっくり返せるかもしれない神経締めだったのです。
村ではこれまでにもさまざまな努力を重ねてきましたがどれも期待したほどの効果は望めませんでした。
今回の神経締めで魚の価値は上がるのか?漁師の真剣なまなざしのなか長谷川さんの講習が始まりました。
ここの上に2個。
もうちょっと奥まで入れていくと…。
わかります?反応が出ますよね。
これで初めて脳みそが…。
あとはそこからタヌキメバルはまっすぐに入れればそのまま入っていきます。
今もう入ってますね。
ここにいる漁師たちに認められその結果佐井村の魚の価値が上がれば神経締めももっと広く知ってもらえる。
長谷川さんの胸にも熱い思いがあります。
肉に入るとぬめっとした感覚になるので。
やがて何かの手応えを感じてもらえたのか熱心な質問が次々と飛び出すように。
長谷川さんの技術と思い確かに届いたようです。
佐井村の漁師さんが船に乗せてくれました。
こうした交流によって長谷川さんの魚ネットワークは次第に全国各地に広がりつつあります。
さあ今日はどんな魚と出会えるのでしょうか?長谷川さんも一緒に網を引き上げます。
そのとき網に引っかかっていた小さなイカが落ちているのを発見。
ジンドウだジンドウジンドウ。
すると…。
うまい?うん。
おいしそうだったら食べてみる。
この好奇心が長谷川さんの原動力。
そして神経締めを広めていって土地土地のおいしい魚をいつでも仕入れられるようになる日がやってくることを夢みています。
いつかは僕が会社を大きくして佐井の魚も引けるようになるかもしれない。
その時にほんとによく知ってる…。
何なにさんが締めたこの魚っていうのが来たほうが僕も当然販売に力が入りますよね。
すごく嬉しいですね。
来てよかったなって心から思います。
日本の魚をもっとおいしくしたい魚の流通そのものを変えたいと1人走り始めた長谷川さん。
しかしその道のりはもはや孤独ではありません。
お酒の飲めない長谷川さんが宴会に参加。
メンバーは全国の魚卸業者や料理人。
皆さん水産業界では名前を知られた方ばっかりなんで。
単純にほんとみんな魚好きなんですよ。
出てくる料理も…。
はい。
ホシエイ!ホシエイホシエイ。
フライドシャーク。
ウツボのたたきで〜す。
もちろんすべて神経締めを施した長谷川さんセレクトの魚たち。
3年前たった1人で始めた挑戦。
今では賛同してくれる仲間がいてこうしてつながっています。
そんな長谷川さん自宅ではどんな生活を送っているんでしょうか?キッチンは長谷川さんにとって新しい魚料理の研究所。
扉の中は妙な食材で溢れています。
奥さんいやがってませんか?ネズミザメっていう魚の肉を熟成かけてあるんですよね。
えらいことになってる。
これ何年物だろう?6年物くらいの…。
もうアンチョビの最後全部溶けて汁になってますよね。
見た目は完全にアウトですけど。
こうしてひらめけば即何かを作り始めます。
続いてリフレッシュに出かけるというのでついていくことに。
向かった先は意外にも山?しかも突然…。
藪の中へ。
(スタッフ)あっここ?幼い頃から野山で遊んでいたという長谷川さん。
こうしていると思わぬアイデアが生まれるそうです。
さて崖を登った先は?もういわゆる普通のハイキングコースというか。
(スタッフ)う〜ん。
こんなに真横だったんですね。
常に魚をもっともっとおいしくしたいと方法を模索している長谷川さん。
この日思い立ったのはもう一度現点に立ち返ってみることでした。
まこれは簡単か。
水中で泳いでいる魚をその場で神経締めすれば究極のおいしい魚ができるのではないか。
そんなぶっ飛んだ発想を試してみるチャンスが巡ってきました。
うちの海でなら協力できる。
そう言ってくれたのは九州の仲間たちでした。
大小152の島が連なりいくつもの海流が入り乱れるこの海域は世界屈指の好漁場として知られています。
この五島列島で鮮魚店を営む林さんは長谷川さんの情熱にエールを送る一人。
日本の魚の流通をともに変えようとしている魚ネットワークの仲間です。
好奇心がものすごいよね。
好奇心と行動力。
これってどうなんだろう?って思ったらそれをとことん調べるじゃん。
すごいと思うよ。
それはほんとに。
純粋に尊敬するよね。
林さんの口利きで地元の漁師が長谷川さんに協力してくれました。
海の中で泳いでいる魚を神経締めする。
果たしてうまくいくのでしょうか。
モリで狙ったのはエラの部分。
魚を突くと同時に血抜きをするためです。
続いて血抜きを終えた魚の頭に穴を開けます。
おっきいけどアカジョウ。
ここで最後の仕上げ。
アカハタは淡泊な味が身上の高級魚。
長谷川さんが究極と考えた水中神経じめ。
さあ成果はどう出るでしょうか?長谷川さんはその味わい方を信頼を置く料理人に託すことにしました。
究極のアカハタが五島列島から東京へ送られます。
はいOK。
すばらしいですね。
申し分ないですね。
ばっちりですね。
完璧に入ってますね。
魚のぬめりもしっかりしてるんで相当いい魚だと思いますね。
アカハタは焼くとパサつく魚。
椀物に最適だと長谷川さんは思っていました。
しかしこのアカハタを手にした料理人はあえて焼きを選択。
いったいどんな味となるのか長谷川さんも思わず緊張。
長谷川さんでさえ驚いたアカハタの焼き物。
皮は透き通るほどに美しくパリッとした仕上がり。
パサつくと思われた身は脂が回りしっとりとしています。
すっごいジューシー。
予想と全然違う仕上がり。
これは魚上級者たまらないですね。
特に皮に旨みがあるんでそれがカリカリに焦げたところを想像するだけでよだれが出るってことです。
すごいですね。
潜在能力っていうと?今まで誰も知らない味って作りたかったのでそれが自分の中でおぼろげにこれが答えだろうって思ってたものが今ひとつの形としては証明されたってことですごく感慨深いですよね。
あとはこれを今ここで共有したので新しい流れが起きればいいですよね。
まだ検証の第一段階…。
おいしい魚のためならやれることは何だってやる。
長谷川大樹さんあなたの魚への愛を応援します。
2014/08/23(土) 22:30〜23:00
テレビ大阪1
Crossroad<長谷川大樹>[字]

卸魚屋の長谷川大樹に密着。「食べられないと思っていた魚が食べられる」「美味しい魚が、もっと美味しくなる」…彼が魚に施す、ある「魔法」とは?

詳細情報
出演者
【ナビゲーター】
原田泰造
番組内容
今、魚の流通そのものすら変えようとしている、卸し専門の魚屋を営む長谷川大樹。食べられないと思っていた魚が食べられる。美味しい魚が、もっととんでもなく美味しくなる…その秘密は、長谷川が魚に施す魔法“神経締め”。魚を熱烈に愛し、究極の味を追い求める。そのワイルドな日々に密着し、彼のクロスロードに迫ります。

番組概要
様々な分野で活躍する、毎回一人(一組)の“挑戦し続ける人”を紹介。彼らが新たなる挑戦に取り組む今の姿を追う。挑戦のきっかけになったもの、大切な人との出会い、成功、挫折、それを乗り越える発想のヒントは何からつかんだのか?そして、彼らのゴールとは?新たにどこへ向かおうとしているのか…。そんなCrossroad(人生の重大な岐路)に着目し、チャレンジし続ける人を応援する“応援ドキュメンタリー”。
ホームページ

http://www.tv-tokyo.co.jp/official/crossroad/

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – その他

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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