ゼロの真実〜監察医・松本真央〜 #6 2014.08.21

(松本真央)母はなぜ死んだんでしょうか?
(小杉貞夫)人は死んで何かを得るんだよ。
死んで生きる事から解放されたり。
印田先生8年前先生は何してましたか?
(小杉)君が印田君か?
(印田恭子)初めまして。
8年前君はどうして真央君に嘘をついたの?
(小杉)あの子をあんな偏った人間にしたのは君だろ。
(印田)あなたは松本真央のために3人も男を殺したんですか?こちらの質問が先だよ。
何やってんの!東京拘置所の小杉さんに会いにいったのはなんのためですか?それを聞くために車の前に飛び出してきたっていうの?とぼけないでください。
別にとぼけちゃいないわよ。
何をそんなにカッカしてんの?印田先生がとぼけたからです。
小杉貞夫は1991年12月に1人2000年4月に1人2006年8月に1人合計3人の男性を殺してる。
それは全部あなたのためだったらしいじゃない。
知らなかったの?小杉さんがそう言ったんですか?全ては松本真央のためだ。
そう言ってたわ。
他に質問は?なければ行くわよ。

(保坂博)はいこちらです。
(印田)はい終わり。
お疲れ。
(児玉吉人)お疲れさまです。
(児玉)じゃああとよろしく。
失礼します。
お疲れさま。
(中山光則)お疲れさまです。
(児玉)お先でーす。
(中山)あれあれあれあれ〜?僕らがまだやってるのに先に上がるんだキヨシは。
まあね。
仕方ないですかねすれ違うのが人間ですから。
(保坂)では先生方お願いします。
(岩松)じゃあラスト1体いきますか。
お待たせしましたね。
(岩松)う〜ん…死因は不詳か。
(中山)確かに体表に目立った所見はないですね。
(岩松)ではとっとと開けちゃいますか。
(中山)はい。
(岩松)え〜まずですね頭部に目立った外傷は…なし。
(泉澤郁夫)う〜ん…。
解剖長引いてるな。
もう時間なのに…。
児玉先生。
はい。
今日あのシュワシュワ…あっ泡行かないから先帰っていいよ。
でも岩松先生と中山先生が…。
2人には僕から言っとく。
今日ね小学校の時のさ同窓会なのよ6時から。
ああ…そうですか。
じゃあお先に失礼します。
お疲れさまでした。
お疲れさまでした。
(児玉)お疲れさまでした。
お疲れ〜。
お疲れさま。
というわけでさ西麻布の会場まで送ってくれないかな?君の車で。
いいですよ。
やったぁ!ちょっと待っててください。
剖検記録片づけちゃいますから。
はいはいはい。
あ…秋山君今日もういいよ。
あっ…じゃあお先に失礼します。
お疲れ〜。
(岩松)う〜ん…心臓には肥大もなく動脈硬化もない。
肺にうっ血水腫が認められるぐらいだな。
(中山)胃を取り出しますよ。
(保坂・岩松)はい。
(中山)保坂さん内容物出します。
岩松先生お願いします。
はいどうも…。
はいはい…。
ん?ん?いいにおいだねこれね。
あっ…甘酸っぱ〜いにおいがする。
何食べたんでしょうね?お花のようですね。
(岩松)うぅ…!9時には一次会が終わると思うんでもし時間あったらそのあと西麻布のほうで軽く…軽くだよ軽く…。
部長…。
保坂さんわかりますか?近づかないでください。
青酸中毒の可能性があります。
はぁ?救急車呼んでください。
岩松先生保坂さんわかりますか?中山先生!
(救急隊員)関東中央監察医務院内にて遺体解剖中に担当解剖医3名が急に倒れたために救急要請。
青酸中毒の疑い。
意識レベルは100です。
(救急隊員)左曲がります。
こっちですよ。
3人揃って青酸ガスを吸い込むとは何事だ!遺体から胃を取り出して切り開きにおいを嗅ぐ。
危機管理能力ゼロ。
意識が低すぎる。
最近青酸中毒なんてないからわからなかったのよ。
経験の問題じゃない。
(屋敷一郎)せやけど誰も死なへんかったしよかったやんけ。
のんきな事を言わないでもらいたい。
遺書もあったよってにあの遺体は自殺や。
あんたの嫌いな司法解剖にもならへんし。
日々危険にさらされている我々の厳しさは君にはわからない。
危険にさらされてるのは警察も同じじゃない。
君は彼の側に立つのか?どっちに立つとかじゃなくって。
フフッ…。
(印田の笑い声)話前後するけど君はさっきからなんでここにいるんだ?ほな明日50万よろしく頼みまっせ〜。
知らないって。
50万!?ほな明日また来ますわ。
いっちゃん。
なんや?これ。
俺のやない。
もろとくわ。
(ドアの閉まる音)あっ部長ほらほら…遅くなっちゃったけど同窓会行きましょう。
もういいや。
行かないんですか?
(携帯電話)もしもし?「松本です」3人とも明日には退院出来るそうです。
「もしもし?」ああ…意識が戻ったんなら大した事ないだろ。
青酸中毒により血液のpHが下がっていましたが酸素吸入で落ち着きました。
(医師)もう大丈夫でしょう。
ではお大事に。
(岩松・保坂・中山)ありがとうございました。
(中山)いいですね普通の医者は。
「ありがとうございます」っていっつも頭下げられて。
ご遺体さんだって先生方に感謝してますよ。
(中山)ご遺体さんは口利かないもん。
(岩松)それよかささっきの遺体はどういう事だったわけ?青酸カリ自殺?だったら口の中とかただれてるはずだよね。
青酸化合物をカプセルに入れて飲んだんです。
カプセルなら溶けるまで30分くらいはかかりますから直接飲んだ時のように口の中がただれたりはしません。
体表に何も現れていなかったので検案では死因不詳だったんです。
本当君はそういう事しか喋らないのね。
ではこれで帰ります。
お大事に。
(扉の開閉音)
(岩松)「お大事に」って言ったよね今ね。
(保坂)奇跡ですね。
あのご遺体にしか興味のない松本先生が。
我々に付き添って救急車に乗ってきたのも奇跡だよな。
そりゃあ部長と印田先生が乗らなかったからでしょう。
(保坂)部長と印田先生は解剖途中のご遺体の処理があったからですよ。
(岩松)いい人だね保坂さんって。
本当。
(スサーナ)ヒロシ!ヒロシ!
(保坂)おおっスサーナ。
(スサーナ)生きててよかった。
だから私解剖の仕事嫌い!もうやめて!こんな事故滅多にないからそんな大声出さないの。
ヒロシなしで私この国で生きられない。
アイラブユー!
(保坂)スサーナ…ほらスサーナスサーナ…。
(保坂)こちら中央監察医務院の岩松先生と中山先生。
ごあいさつして。
妻のスサーナです。
(チャイム)桃子?入るよ。
はっ…。
佃君もうちょっと手前に引いてくれる?
(佃健太郎)はい。
そっちじゃなくて手前。
はい。
だからそれだと腸が邪魔して見えないでしょ!ちゃんと押さえてよ。
なんで出来ないの?だから自分は生きてる人間のために検査技師になったんです。
人手が足りないからボランティアで解剖も手伝ったけど怒鳴られてまでやる気はないです!佃君!
(みどり)私が手伝います。
ごめんね久米ちゃん。
緊急事態ですから。
この前ご馳走になったし。
(秋山)次のご遺体解剖室に運んでもいいですか?もう無理だよ。
見りゃわかるだろ。
ご遺体を入れてください。
私がやります。
(秋山)はい。
あっ…サンキュー。
結局同窓会行かなかったの?ゆうべ。
二次会にちょっとだけ。
行ったんだ。
悪い?楽しかった?全然。
あのさ…君あの…警視庁の屋敷警部補の事いっちゃんって呼んでるの?屋敷一郎だから。
そういう仲なんだ。
まあいいけどさ。
なんですか?それ。
ハハハハ…。
時代は変わるなぁ。
君は昔僕の事泉澤君って呼んでた。
泉澤郁夫。
名字も名前もいっちゃんなのにいっちゃんとは一度も呼んでくれなかった。
そして今は部長。
何よ?部長昔とほとんど変わってないなと思って。
ハハ…。
君も変わらず美しいよ。
ありがとう。
印田先生検案に出かけます。
中央監察医務院です。
(富田肇)ご苦労さまです。
どうぞこちらです。
(富田)男性寺川辰則45歳会社員。
女性石田桃子37歳会社員。
今朝石田桃子の会社の同僚がマンションを訪ねてきたところすでに死亡している2人を発見。
遺留品の中に薬物らしきものがあったので鑑識が簡易検査をしたところ青酸化合物と判明しました。
続く時は続くもんやのう青酸中毒のホトケ。
始めよう。
頭部に外傷なし。
(印田)口腔粘膜に科学熱傷様のびらんが認められる。
眼瞼眼球結膜に溢血点あり。
(刑事)屋敷さん遺書です。
(富田)「石田桃子を殺したのは私です」「死んでお詫びします。
寺川辰則」無理心中かもしれへんな。
(印田)男性には青酸化合物を飲んだ痕跡が口腔粘膜に見られる。
ですが女性には体表になんの所見もありません。
絞められた痕あらへんか?ありません。
(富田)頭を殴られたりもしてませんか?してません。
けどこの遺書のとおりやったら男が女を殺してそのあとに青酸化合物を飲んだっちゅうこっちゃな。
女性の体表からは明らかな他殺の形跡は見当たりません。
おもろなってきたやんけ。
何がおもろいんですか?この遺書には「男が女を殺した」って書いてある。
けど女は殺されてへん。
(刑事)検事連絡の結果来ました。
医務院で行政解剖です。
遺体搬送して。
はい。
あっすいませんうちそこなんですけどいいですか?どうぞ。
あっ。
(印田)保坂さん…。
昨日は申し訳ありませんでした。
(印田)元気そうでよかった。
(保坂)うちここの隣なんですけど石田さんのお宅どうかしたんですか?
(スサーナ)みんな誰?
(保坂)中央監察医務院の印田先生に松本先生。
そして警視庁の屋敷警部補。
ヤキケイブホ?
(保坂)偉い刑事さんって事。
妻のスサーナです。
ちょっとすいません。
後ろ通ります。
(保坂)石田さんご夫妻亡くなったんですか?オーノー!無理心中かもしれへん。
(スサーナ)ムリシンジュウ?それは解剖してみなければわかりません。
(保坂)あんなに仲良かったのになぁ。
ヒロシ石田さんち仲良くない日もあったよ。
今朝ヒロシの病院行く時ケンカしてた。
なんやて?
(スサーナの声)旦那さんと奥さんの怒鳴り声私聞いた。
なんちゅうて怒鳴ってたんや?ナンチュウ?
(舌打ち)過ぎた事は仕方ないけどね公務災害は申請しないから。
不満ないね?
(岩松・中山)ございません。
昨日のシワ寄せで今日は忙しい。
頑張ってくれたまえ。
(岩松・中山)はい。
今の部長の発言パワハラですよ。
そうなのかな?
(岩松)いやいやいやいや…。
余計な事言わないでよ!一昨日早く帰って正解だったね。
ね。
僕検案に出かけてきます。
(岩松・中山)ご迷惑をおかけしました。
はい。
(岩松)松本君。
(岩松・中山)お世話になりました。
(富田)お邪魔しまーす。
捜査のためや堂々と入らんかい。
(保坂)えっ!?
(岩松)ど…どうしたんですか?
(中山)何驚いてんの?
(保坂)すいません。
お隣さん正式な夫婦じゃなかったんですか…。
男性は寺川辰則45歳会社員。
女性は石田桃子37歳関連会社社員。
昨日石田桃子のマンションで2人揃って死亡しているところを会社の同僚によって発見されました。
寺川には妻がいますがここ2年は石田桃子と同棲中でした。
しかし寺川の妻が夫婦関係修復の申し出を家裁にした事で一度は石田桃子と別れる事になったらしいんですがなかなか踏ん切りがつかず妻と愛人の板挟みとなりついに愛人の石田桃子を殺害し自分も青酸化合物を飲んで自殺を図ったというのが状況的には自然です。
それとこの青酸化合物は青酸カリと判明しています。
世の中わかんないもんですね。
(岩松)世の中わからないといえば保坂さんちのスサーナさんです。
(中山)ハハハ…あちらの方は枯れないらしいから保坂さんも大変ですよね。
(保坂)ええまあ一日一回は愛してるよとか言わなきゃいけないもんですからね。
だから観察医務院のほうが楽なんですよ。
(中山)そう考えると日本の枯れる文化っていうのも意外にいいですよね。
始めます。
はいはいはいはい…。
(印田)よろしくお願いします。
(中山)よろしくお願いします。
(岩松)よろしくお願いします。
よろしくお願いします。

(中山)気をつけてくださいよ印田先生。
公務災害出ませんからね。
(印田)青酸中毒で死ぬ人最近いないからあなたたちもこのにおい知らなかったでしょ。
(印田)はい。
でも私は大丈夫。
寺川さんの胃を開けますよ。
(印田)食道や胃粘膜に腐食があってアーモンド臭もするから典型的な青酸中毒。
心臓肺脳にも異常は認められなかったし。
肝臓の重さを量ってください。
はい。
(岩松)死因は大動脈解離に基づく心タンポナーデだな。
胃も開いてみます。
いいよ。
死因は大動脈解離に基づく心タンポナーデなんだからさ。
ちょっ…気をつけろよちょっと!青酸カリ飲んだ痕跡はなくったってさ一昨日のあの遺体みたいにカプセルで飲んでる可能性はあるんだからさ。
わかってます。
(岩松)そこで胃を開けるな!
(岩松)気をつけろよ。
気を…気をつけろよ気を!やめろ!味噌のにおいがします。
味噌?
(岩松)味噌?
(中山)味噌?
(保坂)味噌?
(富田)味噌?石田桃子さんは亡くなる直前に味噌汁を飲んでいます。
グアヤク試験紙も陰性なので青酸中毒ではありません。
石田桃子は青酸カリ飲んどらん?そうです。
石田桃子さんの死因は大動脈解離による心タンポナーデです。
(岩松)だからそれは僕が言っただろ。
どういうこっちゃねん?
(印田)寺川辰則さんの死因は青酸中毒。
石田桃子さんの死因は心タンポナーデ。
全然関係ないやんけ。
そうです。
石田桃子は殺されてへん病死や。
つまり…なんや?無理心中。
無理心中じゃあらへんっちゅうこっちゃ。
そうです。
そしたら寺川辰則が書いた遺書はなんなんでしょう?女が男を殺したって事はないの?
(富田)あっそれ…。
(寺川倫子)主人はそこに手をついて泣いて謝ったんです。
石田桃子と別れるって。
私とやり直すって。
調停員の前でも絶対に石田桃子と別れるって誓いましたし誓約書も書きました。
(倫子)これです。
(富田)はあ…。
(倫子)弁護士を立てて石田桃子にその事を通告したところだったのに…。
なんで主人があの女を殺す必要があるんですか!?主人はあの女に殺されたんです!
(中山)どっちにも調子いい事言ってたんだ寺川さんは。
まあ男っちゅうんはみんな目の前の事に流されますさかいな。
(岩松)わかるな〜。
現場で検視官が測定した直腸温度は寺川辰則さんが34度石田桃子さんが34.5度です。
ほぼ同じじゃない。
ほぼ同じですがわずか0.5度石田桃子さんのほうが高いです。
という事は石田桃子さんが寺川さんよりあとで死亡した可能性もあります。
えっどういう事ですか?わかります?お前一回刑事辞めえ。
死亡すると人間の体温は下がり始めます。
つまりこの2人の場合直腸温度が低いほうが先に死亡し高いほうが後から死亡したという事です。
(富田)寺川辰則が先に死亡してそのあと石田桃子が死亡した。
やっぱり女が男に青酸カリを飲ませて殺したんじゃないの?女は男を殺したあと1人で病死したんですか?それもしっくり来ないですけど…。
しっくりけえへんな。
(富田)男殺してから女が青酸カリを飲んだのならわかるんですけど…。
青酸中毒はものすごく苦しむからそれを見て女はショックで心タンポナーデを起こしちゃったとか?印田先生君はいつから刑事になったんだ!?ここは刑事部屋ではない。
誰の影響だ!?屋敷君ここは君の遊び場じゃない。
監察医たちを巻き込んで面白がるのはやめてもらいたい。
そらまたどえらい言いがかりでんな。
監察医は正しい死因の解明が仕事だ。
どっちが先に死んだかなんていう事は警察の仕事であって監察医の仕事ではない。
死因がわかればいいんだ死因が!ほんまの死因を突き止めるのに監察医も刑事もあらへん。
この話は前もしたやろ!
(印田)今回のケースは状況がわからなければ正確な死因は解明出来ないんですよ。
印田先生君は本当に変わってしまったな。
君たちも!今こそ一昨日の汚名返上する時なのに何やってんだ!
(岩松)すみません。
(保坂)すみません。
司法解剖するなら明日大学の法医学教室に送れ!うちではやらない!中央監察医務院の泉澤部長なんであんな熱なったんですか?死因さえわかったらあとはどうでもいいんですかね。
賭けへんか?男が女やったんか女が男をやったんか。
やめてください。
死亡したのは男のほうが先やったんですから。
男が女やったいう説は成り立たへんでしょう。
それはまだわからへんで。
俺は賭けません。
(小林保)富田!青酸カリの入手ルートは女の勤め先なんだろう!?
(富田)はい。
(小林)こんな小さなヤマとっとと処理しろ!お前らいつから監察医務院の人間になったんだ?ここは警視庁だ。
(机を叩く音)忘れるなよ!あのおっさん中央監察医務院の泉澤部長にそっくりやのう。

(扉の開閉音)
(保坂)明日はこのお二人大学の法医学教室に運ばれるんですよね。
その前にまだやる事があります。
まだ?これから保坂さんのお宅に行ってもいいですか?えっ?うちに?こんなとこで飲んではるんですか?いつも。
シャンパン?いきなり赤?ほなビールで。
ビール?ビール…生でいい?生で。
はい。
印田先生は屋台泉澤部長は立ち飲み屋。
みんな変わってますな。
印田先生とは屋台よく行くの?金借りたい時あそこ行ったら印田先生つかまりますねん。
金…金借りてるの?ええ。
そうなんだ…。
(店員)失礼致します。
じゃあ乾杯。
ようわかりまへんけど…。
あ〜っ!でなんの用ですか?まあまあいいじゃない。
今日は僕とずーっと一緒に飲もうね。
ずっとずっと…他に誰とも会えないよ。
屋台にも行けない。
僕とずっとずっと一緒。
ねっ。
飲もう。
僕とずっと…。
(チャイム)ヒロシおかえり!ハハハ…ただいまただいま。
すいませんね。
松本先生はアメリカ育ちだから驚きませんよね。
ヒロシこの人と仲良しだね。
いや松本先生は中央監察医務院の希望の星なんだよ。
だから好きなのか?バカ言ってんじゃないよ!俺が好きなのはスサーナオンリーだと毎日言ってるじゃないか。
スサーナさん石田さんの部屋の前で聞いたケンカの声思い出してください。
(スサーナ)はあ?ケンカの声を聞いたって言いました。
聞いたよ。
でも日本語よくわからなかった。
思い出してください。
ずっと僕と飲もう。
ねっ?ずっと飲もう。
そうやなわかった…。
次のタクシー黒か緑か。
1万円。
(2人)えっ?じゃあ緑。
あっ黒です。
あっちゃ〜!1万!もう1回!次取り返すから待って。
次は緑に2万!燃えますやろ。
燃える?君と印田恭子が燃えてるようにか!?はあ?賭けはやめだ!そら卑怯ですがな!卑怯はお前だろ!何を言うてまんねんな。
おっ来た来た来た来た…。
あっ緑だ緑だ!2万2万…。
ずっと飲もう。
ねっずっと飲もうよ。
この2万で飲めばいいじゃん!わからんけど本郷まで。
はい。
2万貸しな。
さっき1万負けてる…。
青いのう…。
パリって言ってた。
(保坂・真央)パリ?フランスのパリか?ノンジャセサパリ。
フランス語か。
ノンジャセサパリ…。
(石田桃子)ノンジャセサパリ…。
(寺川辰則)なんだと?桃子!桃子!「桃子ハゲ!」と旦那さん言ってた。
桃子ハゲ?わかりました。
お疲れさまです。
(携帯電話)はいはいはいはい…。
あち〜。
はい。
石田さんと寺川さんの遺体が最初に発見された時の現場写真を私のパソコンに送ってください。
アドレスは…。
《直腸温度34度》《外気温23度》《体重60キロ》《ただし着衣ありクーラーありのため補正体重50キロ》《この数値を当てはめると死後経過時間およそ4時間30分》石田桃子さんと寺川辰則さんは並んで死亡しているところを発見され寺川さん直筆の遺書の内容から寺川さんが桃子さんを殺害しその後青酸カリを服毒して自殺したと考えられる状況でした。
しかし解剖の結果桃子さんは殺害されておらず死因は大動脈解離による心タンポナーデだと判明しさらに直腸温度がわずかに桃子さんのほうが高かった事から桃子さんが寺川さんを青酸カリによって殺害しそのあと病死したのではないかと考えました。
でもその2つの説はいずれも違う事がわかりました。
先に死亡したのはやはり桃子さんです。
(印田)どうして?これは遺体発見直後の現場写真です。
桃子さんは布団の中でかけ布団をかけて死亡しています。
つまり…。
つまり直腸温度の下がりにくい状態やったんや。
そうです。
かけ布団がかけられていたために先に死亡した桃子さんの直腸温度が下がらず布団の外にいた寺川さんの直腸温度が低くなってしまったのです。
かけ布団ね…。
直腸内温度に外気温着衣や寝具などの環境因子を合わせてノモグラム法を使って死後経過時間を調べ直したところ…。
死亡したのは石田桃子さんが先である事がわかりました。
桃子さんは大動脈解離による心タンポナーデで苦しくなり死を予感した瞬間玄関から出て行こうとしている寺川さんに「飲んじゃった青酸カリ」と言ったのではないでしょうか。
「飲んじゃった青酸カリ」?その声を保坂さんの奥さんがドアの外で聞いています。
(桃子)飲んじゃった青酸カリ…。
(寺川)なんだと?桃子!桃子!
(寺川)吐け!吐け!「ノンジャセサパリ」でなく「飲んじゃった青酸カリ」。
「桃子ハゲ」でなく「桃子吐け」だったんですね。
(桃子)ねえやだお願い。
まだ行かないで。
お願い…。
(寺川)桃子。
すまないこうするしかないんだ。
あっ…!うう…!飲んじゃった青酸カリ…。
なんだと?桃子吐け!吐け桃子!桃子吐け!本妻のもとに戻る決意をして桃子に別れ話をした寺川に対し最後っ屁みたいに桃子は言うた。
「飲んじゃった青酸カリ」。
全くわからん。
一体なんなんだ?女心ですがな部長。
君になんで女心がわかるんだ?
(秋山)私わかる気がするな。
自分を捨てて出て行く男に飲んでもないのに飲んじゃったって言う気持ち。
ちょっと待って。
誰も君に意見は聞いていない。
青酸カリを持ってたって事は元々2人は心中するつもりもあったって事ですよね。
そやろな。
男のほうも青酸カリの有り場所知っとったわけやしのう。
それなのに男は一緒にもならず心中もせず家に帰ろうとした。
(印田)だから女は頭にきて言った。
飲んじゃった青酸カリ。
そうです。
寺川さんは桃子さんが病気で死んだとは思わず本当に青酸カリで死んだのだと思い布団を敷いて寝かせそれから「石田桃子を殺したのは私です」「死んでお詫びします寺川辰則」という遺書を書きました。
これで2つのご遺体は司法解剖に回す必要はなくなりました。
松本検案書まとめて。
はい。
自分警視庁にスカウトしたいわ。
ご遺体をご遺族にお返しします。
いいわね?はい。
ちょっちょっちょっ…。
誰も彼も刑事のようになって…。
この腹痛はストレスだ。
部長昨日誰と飲んだんだろう?寺川さんの奥さんから電話でご遺体引き取らないそうです。
(秋山)石田桃子さんも身寄りがないそうです。
皮肉ですね。
こんな形で2人が一緒になるなんて。
(保坂)本当の事がわかっても誰も救われない。
それでも私は真実が知りたいんです。

監察医務は人間が受ける最後の医療である
監察医とは正しい死因の究明によって死者の尊厳を守り一人の死を多くの生に繋げる使命を負う者である

(鐘)ほらいけよ!いけよ…!はよけしかけろ…!はよけしかけ…。
いけいけいけいけ…!あっ!ほんまにあかんたれやのうほんま…。
ねえ。
ああ?快楽殺人で死刑確定した大学教授の事件って覚えてる?小杉貞夫やろ?まだ東京拘置所で生きとるで。
(印田)殺された被害者たちって共通点ってなかったの?どないしたんや?そんな話持ち出して。
その死刑囚と松本真央どういう関係なの?ええ?2番4番6番やな…。
ねえいっちゃん。
私がこの話すると必ずとぼけるけど本当は色々知ってるんじゃないの?ほんま刑事みたいになってきよったな。
泉澤部長がヤキモチ焼くで。
ほらまた逃げた!
(小杉)誤解して毒をあおる。
その事件はまるで『ロミオとジュリエット』だな。
『ロミオとジュリエット』ってなんですか?ハハ…。
それは…君はお母さんよりひどいな。
お母さん理科系だったから文学には興味はなかったけども『ロミオとジュリエット』ぐらい知ってたぞ。
君はお母さんによく似てる。
だけどお母さんの頭脳は君の比じゃなかった。
そんなに頭がいいのになぜ私を捨てたんでしょう?それは頭の良し悪しとは関係ない。
それに捨てたと言うより預けたんだよ施設に。
なぜ預けたんですか?育てる経済力がなかったから。
頭がいいのにお金がなかったから?あなたもいるのに。
私はしがない大学教授だよ。
あなたが産ませたんですか?私の父はあなたですか?そうだったらよかったんだけどね。
残念ながら違うんだ。
私の父は誰ですか?知る必要はない。
君のお母さんは素晴らしい頭脳の持ち主だったが男を見る目がなかった。
そのバランスの悪さがお母さんの魅力でもあったんだが困ったもんだったよ。
私の父親は最低な男なんですか?大丈夫だよ。
君はお母さんにそっくりだから。
はぐらかさないでください!あなたは印田先生に言いましたね。
私のために3人の男を殺したと。
そんな事は言ってない。
印田恭子は嘘つきだ。
あの女を信用するな。
真実は必ず向こうから歩いてくるんです。
不詳の一酸化炭素中毒。
死の真実は全く違います。
(小杉)語る時が来たようだ。
母の死の真実です。
2014/08/21(木) 21:00〜21:54
ABCテレビ1
ゼロの真実〜監察医・松本真央〜 #6[字]

脚本・大石静−死因不詳の遺体を解剖中に青酸中毒で次々と意識を失い倒れる監察医務院のメンバー。更に新たに青酸化合物で無理心中したと思われる男女の遺体が見つかり!?

詳細情報
◇番組内容
中央監察医務院で死因不詳の遺体を解剖中に、岩松(六角精児)、中山(尾美としのり)、保坂(でんでん)の3人が、次々と意識を失い倒れる。胃の中に残留していた青酸ガスを吸い込み中毒症状を起こしたのだ。さらには、青酸化合物で無理心中したと思われる男女の遺体が見つかるが、真央(武井咲)による解剖の結果、予想外の死因が導き出される…。
◇出演者
武井咲、佐々木蔵之介、生瀬勝久、和田正人、六角精児、小松和重、水沢エレナ、宮